1936年ベルリン五輪での世界初の白黒テレビ中継、1964年東京五輪での初のカラーテレビ衛星中継、2006年トリノ冬季五輪での初のモバイル基盤生中継、2008年北京五輪での初のユーチューブの生中継、2012年ロンドン五輪での「4スクリーン(テレビ、インターネット、スマートフォン、タブレットPC)中継」…。
五輪は当代の先端情報通信技術(ICT)と放送技術が総動員される技術競演の場だ。今回の平昌(ピョンチャン)冬季五輪でも、5世代(5G)移動通信技術の試験サービスが行われる予定だ。自動運転車、超高画質(UHD)生中継、バーチャルリアリティー等の最新技術も披露される。国内企業は技術力とブランドを知らせることができる絶好のチャンスである五輪を迎え、その効果を極大化しようと足を速めている。
5G、自動運転車…「技術オリンピック」駆け足
5Gは現在使用されている4世代移動通信技術であるLTEよりダウンロード速度が40~50倍速く、処理容量も100倍ほど増える次世代移動通信技術である。自動運転車、モノのインターネット(IoT)、バーチャルリアリティー、クラウド、ドローンなど、各種の新技術が円滑に活用されるためには、5G水準の通信速度が必要になる。5Gをよく「4次産業革命のインフラ」に比喩するのはそのためだ。国内外の主な通信社と装備メーカーは、2020年前後に5Gを商用化する目標だ。韓国政府は先月30日「2019年に5Gを世界で初めて商用化する」と発表した。政府は平昌五輪で5Gモデルサービスを披露するために、KT、サムスン電子などとともに関連インフラ、装備を準備中だ。KTは平昌五輪通信分野の公式パートナーであり、サムスン電子はワールドワイドパートナーだ。KTは10月末、江陵(カンヌン)アイスアリーナなど一部の競技場と平昌・江陵の一部地域に、基地局と中継器など5Gモデルネットワークの構築を終えた。サムスン電子は5G専用端末(タブレットPC)を提供する。政府は5G用周波数である28ギガヘルツ帯域の試験周波数を五輪期間中に提供する予定だ。
平昌五輪で5G技術を基盤に提供されるサービスは、先端の試合中継と自動運転車だ。5Gモデルネットワークが敷かれている競技場では5G専用端末を通じて、ボブスレーに超小型無線カメラと通信モジュールを装着し選手の視点で見る高画質映像をリアルタイム伝送する技術の「シンクビュー」▽多視点ストリーミングで競技中に視聴者が望む視点のリアルタイム映像と各種情報を見ることができる「オムニビュー」▽バーチャルリアリティー(VR)専用カメラで撮影された「360度VR」▽映画『マトリックス』のシーンのように時間を止めて被写体を中心にカメラを回転するような映像を提供する「タイムスライス」などが適用された中継映像を鑑賞することができる。キム・ヒョンジュンKT平昌五輪推進団長は「全世界の耳目が注がれている平昌で、5Gモデルサービスを通じて韓国の情報通信技術の優秀性を改めて伝え、5Gの商用化推進にも拍車をかけたい」と話した。
大会期間には平昌と江陵の一部地域で「5Gバス」が運行される。レベル3水準(部分的自動運転の段階。危険状況では運転者の介入が必要)の自動運転車で、現代自動車が提供する。現代自動車は今回の五輪で次世代水素燃料電池自動車(FCEV)を公開し、エコ自動車技術も披露する計画だ。
「第2の平昌ロングダウンコート」作ろう…マーケティング競争
流通・衣類・食品業界なども積極的にマーケティングに乗り出している。「平昌ロングダウンコート」の発売で興行に成功したロッテデパートは、来年1月にはいわゆる「平昌スニーカー」を販売し、五輪の盛り上がりにつなげる計画だ。スポーツ衣類部門の公式パートナーであるノースフェイスは、最近コート、ジャケット、マフラーなど様々な製品で構成された「平昌五輪リミテッド・エディション(限定版)」を発売した。
新世界グループ系列会社の新世界フードは、平昌五輪ケータリング公式後援社として平昌選手村、アルペンシア・スポーツパーク、国際放送センターで選手団と運営人材など1万人の食事に責任を負う。国内企業が国際大会で選手団の給食を預かることになったのは今回が初めてだ。公式飲料用水に選定された江原道平昌水は、五輪の象徴である五輪旗を刷り込んだ製品を出した。食品業界の関係者は「世界が関心を持つ五輪マーケティングで成功すれば、グローバルブランドに跳躍するチャンスになりうる」と話した。