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南北経済協力の金鉱、「情報通信経済協力」が来る

登録:2018-06-18 09:17 修正:2018-06-18 10:51
南北情報通信経済協力//ハンギョレ新聞社

「北朝鮮はソフトウェア技術が実に優れている」 
子どもの頃からの英才教育のおかげ 
モノのインターネット・AIに対応可能な 
内蔵型、アルゴリズムが卓越 
 
成功戦略 
2002~04年、ポロロの共同制作 
ハナビズ・ドットコム、9年間丹東で 
音声認識ソフトウェアを開発して販売 
サムスンも2000年に北京で合作 
 
「制裁のせいで…それでも準備を」 
北朝鮮の文化遺産探訪の仮想現実(VR)や 
離散家族の画像再会は今も可能 
中国は北朝鮮開発者たちと事業中

 朝米首脳会談後、国際社会の対北朝鮮制裁解除の可能性が浮上し、南北経済協力に対する期待感もふくらんでいる。鉄道・観光などが主な協力分野に上げられる中で、北朝鮮のソフトウェア開発力が優れているという点を挙げ、情報通信技術(ICT)分野の経済協力が優先順位に上がるべきだという提案も出ている。特に、北朝鮮が強みを表している技術分野がモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)など4次産業革命との連携が可能な分野という点で、できる領域から準備を急がなければならないということだ。

 「情報通信技術の南北経済協力」はすでに15~16年前に行われた経験がある。韓国はもちろん、海外でも人気の「ポンポンポロロ」の第1期と第2期の一部が2002~2004年にハナロ通信(現SKブロードバンド)と北朝鮮の三千里総会社の協業で製作された。韓国企業が北朝鮮開発者たちにソフトウェア開発業務を任せもした。ハナビズ・ドットコムは、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)情報センターとともに中国の丹東に2001年「ハナプログラムセンター」を設置し、2010年の5・24措置前まで各種ソフトウェアを開発して販売した。

 このような経済協力をしたことのある企業は、当時の協力を非常に高く評価した。ハナプログラムセンターで通信用プロトコルなどを開発したイ・サンサン・ハンディーソフト理事会議長は「経験していない人たちは首を傾げるかもしれないが、北の開発者たちの能力はとても優れ、非常に満足な事業パートナーになり、事業が中断された時にはとても残念だった」とし、「経済協力が再開されれば、当然また参入する」と期待感を示した。

 イ議長の言葉のように、「英才」たちを選抜し子どもの頃から没入式に情報通信技術を教育する北朝鮮のソフトウェア開発能力は、非常に優れたものと評価される。キム・ジョンソン科学技術政策研究院先任研究委員は「北朝鮮はデバイスの適用と商品化に対する概念が劣るだけで、英才教育のおかげで技術は本当に際立っている」とし、「リナックス・アンドロイド基盤のアプリや内蔵型ソフトウェアなどはすぐに使えるレベル」と話した。イ議長は「2000年代序盤に北朝鮮はマシンラーニングや音声認識分野の開発をしており、アルゴリズム開発能力も当時の韓国よりずっと優れていた。今も特定の分野では学ぶべき状況かもしれない」と話した。内蔵型ソフトウェアや音声認識・アルゴリズムなどは、第4次産業革命の核心技術として評価されるモノのインターネットや人工知能にもそのまま活用が可能な分野だ。

 特に、北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長政権以降からは科学技術発展5カ年計画(2013~2017)を発表し、重要課題として「先端技術育成」を強調している。スマート機器用OSの「赤い星」と、これを搭載したタブレットPCを開発もし、最近は内部のイントラネットを通じた電子商取引や電子決済(ナレカード)も始まっている。北朝鮮が通信環境などのインフラが後れているだけで、南と交流する領域は似ているということだ

 しかし、すぐさまこの分野の経済協力が可能なわけではない。昨年、北朝鮮の核実験・大陸間弾道ミサイル発射後、国連安全保障理事会の制裁などがそのまま生きているためだ。この制裁によると、北朝鮮との合弁事業(ジョイントベンチャー)や協力体設立・北朝鮮労働者の雇用などがすべて不可能だ。米国産の部品が一つでも入っていたら北朝鮮内への装備搬入が不可能な米国商務省の輸出管理規定(EAR)も障害となる。

 このため、専門家たちは対北朝鮮制裁が解除される前でも、共同研究・調査事業、人道的レベルの交流を始めなければならないと口をそろえている。キム・チョルワン元情報通信政策研究院先任研究委員は「現在、制裁が非常に強いため、できる領域から始めていくことのいいだろう」とし、「仮想現実(VR)基盤の北朝鮮の文化遺産アーカイビング作業や離散家族の画像での再会、北朝鮮労働者に対する技術教育、放送番組の共同製作などがアイテムになりうる」と話した。

 制裁を解除する努力や例外的に適用される方法も考えなければならないという意見もある。キム・ジョンソン先任研究委員は「制裁はそれ自体を解決していく方法を模索しなければならない」とし、「今も中国企業などが北朝鮮の開発者たちを活用して事業をしている状況だということを考慮すれば、私たちもできないことはないと判断され、よく考えさえすれば十分に方法はある」と強調した。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/849447.html韓国語原文入力:2018-06-17 22:53
訳M.C

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