米国の“例外なき”イラン産原油輸入全面中断要求に、韓国政府は「予想不能な状況」だと明らかにした。何よりもイラン制裁が再開されても、イラン産原油を買い続けられるようするために、米国側と“例外”交渉をしてきただけに、米国の突然の発表に当惑している。
27日、産業通商資源部の関係者は「まだ米国側から輸入全面中断要求は来ていない」として「原油輸入制裁免除(waiver)を受けられるよう米国と協議を続ける」と明らかにした。米国は日本に対しては、19日に開かれた両国政府局長級会議を通じてイラン産原油の輸入の中断を公式に要求した。
日本と異なり、韓国には公式要求がなかっただけに、韓国政府は米国との“免除”協議が可能と見て動いていた。5月8日、米国の一方的な核協定破棄の直後、イ・インホ産業部次官を責任者とする「イラン輸出入および原油需給支障対策班」を設けて、精油会社など民間業界と対応策を議論して、米国側に韓国の立場を伝えるなど、免除交渉のための事前協議を進めてきた。
韓国は2016年1月のイラン産原油輸入制裁解除の前にも、例外国としてイラン産原油を輸入してきた。ただし、米国が輸入量を減らした国家にのみ例外を認めたために、イラン産原油の輸入量は2011年の8720万バレルから2015年には4240万バレルに減少した。米国は先月、核協定脱退後にも同盟国に「原油輸入を縮小する意志を基準として例外の可否を決める」という通知をしたことがあるが、突然「問答なしに減らさなければならない」という強攻モードに切り替えた。
政府の輸入中断例外協議に期待をかけていた精油業界も当惑している。韓国では、現代オイルバンク・現代ケミカル・SK仁川石油化学・SKエナジー・韓火トータルの5社がイラン産原油を輸入している。これらの輸入量は制裁解除後に急増し、昨年には1億4787万バレルに達した。精油会社らは「原油全体の輸入量にイラン産が占める比重は13.2%で大きくないため、輸入代替は難しくないだろう」と明らかにした。当面の原油需給には支障がないだろうという話だ。
だが、国際原油価格の上昇にともなう石油化学業界の被害は避けられない。米国政府の要請以後、国際原油価格は揺れ動いた。26日、ニューヨーク原油先物市場で米国西部テキサス産原油(WTI)が前日より2.45ドル高いバレル当たり70.53ドルを記録し、5月下旬以後約1カ月ぶりに70ドルを突破した。
さらに大きな問題は、米国が今後原油以外に商品や金融など他の分野にも「例外なき強力制裁」を同盟国に要求しかねないという点だ。貿易協会によれば、韓国の対イラン輸出は昨年40億2100万ドルで、前年比8.2%増えた。主に自動車、合成樹脂、鉄鋼版、自動車、紙製品、冷蔵庫、ディスプレイを輸出している。サムスン電子やLG電子など韓国産家電製品のイラン市場占有率は60%を超える。特にイランとのドルやユーロ貨幣決済まで禁止する制裁措置が強行されれば、事実上輸出の道が完全に詰まりうると憂慮されている。産業部関係者は「事態を綿密に注視している」として「韓国経済に及ぼす被害が最小化されるよう努める」と話した。