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ソウル・釜山出発「ユーラシア特急」、大陸経済に進出する始発点

登録:2018-05-01 06:28 修正:2018-05-01 17:02
「新南北経済協力時代」開かれる
南北鉄道網連結計画(資料:国土交通部、韓国鉄道技術研究院)//ハンギョレ新聞社

 
大陸と交通・物流網の連結 
 
韓国、北側への道途絶えた「島国」から脱皮  
鉄道・道路つながった場合はEUまで直行  
東北3省・極東ロシアなど北方圏  
巨大消費市場・資源への接近が可能に  
京義線、2007年にすでに1年間運行  
線路改良するだけで南北の連結は可能  
東海線は江陵から猪津線路を新設を

 釜山とソウルを結ぶ京釜高速道路には「アジアハイウェイ1号線」の表示板が設置されている。表示板には中国、インドを経て、トルコにつながると表示されている。国連アジア太平洋経済社会理事会(UNESCAP)が概念化したアジアハイウェイは、アジア地域と欧州を繋ぐ国際幹線道路網だ。韓国はアジアハイウェイ1号線と6号線(国道7号線・東海高速道路)の出発点だ。しかし、この道路は欧州どころかアジアにもつながっていない。これまで韓国は陸の孤島だったからだ。

 南北首脳が「板門店(パンムンジョム)宣言」を通じて南北の鉄道と道路を繋ぐと宣言したことによって、南北交流を越え、韓国経済が陸路を通じて中国やロシアなどユーラシア大陸に直接繋がるかもしれないという期待感が高まっている。特に宣言文にソウルと新義州(シンウィジュ)を結ぶ京義線と、釜山(プサン)から羅津(ラジン)の豆満江(トゥマンガン)流域まで続く東海線の連結を一次的に言及したのも、そのためと見られる。京義線は新義州を通じて欧州までつながる中国横断鉄道(TCR)と連結されており、東海線は羅津~ハサンを経て、シベリア横断鉄道(TSR)に繋がる。道路網であるアジアハイウェイ1号線、6号線ともそれぞれ重なる。南北の鉄道と道路の連結は南北分断後、事実上島国のような経済構造だった韓国が、本格的な大陸型経済に転換する始発点と言える。

 大陸と陸上交通・物流網が繋がった場合、南北の経済に及ぼす波及力はかなりのものになると評価される。中国の東北3省(遼寧省・吉林省・黒竜江省)やウラジオストクなどの極東ロシアにモンゴル地域までを網羅する北方地域は、人口1億2千万人の巨大な消費市場であり、天然ガスなどの資源の宝庫だ。海運や鉄道、道路など複合物流網を構築し、ガスのパイプラインの連結などを通じてエネルギー単価を引き下げれば、交易量が大きく増えるものと見られる。2014年の国土研究院の研究によると、京義線が中国横断鉄道と連結された場合、2030年を基準に京義線を通じた鉄道物流量は3015万トン、東海線がシベリア横断鉄道と連結された場合の物流量は754万トンになるという。

 南北の鉄道・道路の連結で、朝鮮半島北方地域が新興経済圏に浮上するという期待感も高まっている。経済大国の韓国や中国、日本、ロシアが隣接している北方地域は、昔から成長の潜在力が高い地域として注目を集めてきた。しかし、複雑な政治的利害関係によって依然として低開発の状態に止まっている。これから交通・物流ネットワークにつながることを皮切りに、国境を越える経済協力が本格化すると、この地域は欧州連合(EU)と北米自由貿易協定(NAFTA)に続いて世界第3位規模の経済圏になるものと注目されている。西海岸を産業・物流ベルトに育成し、東海圏はエネルギー・資源ベルトに育成するという文在寅(ムン・ジェイン)政権の「朝鮮半島新経済地図」の構想や、西南圏と北東圏を両軸に開発するという北朝鮮の「国家経済開発10カ年戦略」はもちろん、ロシアが推進中の羅津(ナジン)・ハサンプロジェクト、中国の東北3省開発計画、国連開発計画(UNDP)の広域豆満江開発計画(GTI)は、いずれもこのような見通しに基づいている。

 つまり、南北の経済統合と大陸との連結は、韓国経済の成長可能性を高めることに止まらずに、朝鮮半島北方の相対的に低開発状態にとどまっている隣接地域全体の成長を促し、新しい経済圏を形成しうるということだ。2014年に対外経済政策研究院が発刊した「朝鮮半島の統一が中国に及ぼす費用便益分析」報告書によると、東北3省の遼寧省、吉林省、黒竜江省の対外開放度はそれぞれ32.3%、13%、18.5%で、中国平均46.65%をはるかに下回るほど開放度が低い。

 同報告書は、朝鮮半島の統一により資本と技術が集約された韓国経済と東北3省が直接繋がり、対外開放度が中国の平均レベルに近づいた場合、2013年に5兆4440億人民元(約94兆円)だった東北3省の国内総生産(GDP)は、2020年には8兆4140億人民元(約145兆円)へと約54.6%成長すると分析した。対外開放度の上昇に伴うGDPの増大量だけで、2836億人民元(約4兆9000億円)になると推定された。同時にこれらの地域の韓国経済に対する対外依存度が高まり、韓国経済は北方地域における影響力を拡大できる。イ・サンジュン国土研究院副院長は「ドイツ統一の事例からすると、東ドイツにさえぎられていたポーランド、チェコなどの東欧諸国が、統一以降、ドイツと国境を隣り合わせていることで、欧州経済全体のパイが大きくなり、ドイツの影響力が拡大される『近隣効果』が発生したが、このような効果が極東アジア地域でも起こり得る」と説明した。

 もちろん、南北の鉄道連結事業が、ユーラシア大陸横断鉄道に繋がるまでは長い時間を要する。南北鉄道の未連結区間に新たに線路を敷いて、立ち遅れた北の鉄道を改・補修することだけでも、多くの時間と費用が必要だ。だが、京義線の場合、2000年の6・15共同宣言の成果でムンサンから開城まで線路が繋がり、2007年から1年間貨物列車が定期運行されたため、鉄道の連結自体は難しくない。

 オ・ヨンシク韓国鉄道公社社長はハンギョレとの電話インタビューで「京義線の場合、線路改良に2千億ウォン(約204億円)前後の費用を投じることで十分利用可能になるだろう」とし、「鉄道を通じた常時的南北離散家族の再会や開城(ケソン)工業団地の通勤列車などに活用できる可能性も高い」と説明した。東海線の場合、江陵(カンヌン)から猪津(ジェジン)までの104.6キロメートルの区間は線路が全くない状態なので、国連制裁と関係なく建設すればよい。国土部は該当区間の線路の新築事業費を2兆3490億ウォン(約24000億円)と推定した。国土部の関係者は「当該区間はすでに3次国家鉄道網計画にも含まれている事業」だと話した。

ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/842769.html韓国語原文入力:2018-05-01 04:59
訳H.J

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