中国、ロシア独自の技術確保し輸出難航
受注しても利潤を残すのは難しい
全世界の永久停止原発は増加
■「脱原発」で原発市場は競争力を失うのでは?
「私たちが2500億ウォン(約248億円)かけて原子炉を作りました。2500億ウォンをかけて22兆ウォン(約2兆1800億円)分を輸出していた事業が弱まることになったので残念です」(韓国水力原子力の役員)
新古里(シンゴリ)原子力発電所5・6号機の工事中断と関連し、原発業界が最も憂慮する部分は「原発市場の中の競争力」だ。韓水原などは、李明博(イ・ミョンバク)政府時代、国内技術で作った韓国型原子炉(APR1400)をアラブ首長国連邦(UAE)に22兆ウォン分売ったことが競争力を示す事例だと話す。原子力工学科教授を中心に集まった「責任あるエネルギー政策樹立を求める教授一同」は、脱原発政策で「輸出競争力を確保した原発産業が死に、良質の働き口が消える」と批判する。国内の人材と技術で作った原発産業が急激に減ると、中小企業が中心となる機器供給業者や設計・エンジニアリング業界が大きな打撃を受けるだろうという主張だ。原子力工学科の学生は“働き口”を心配する。13カ所の原子力関連学科の学生会が集まる「全国原子力大学生連合」は20日、記者会見を開き、「国家指導者の政策決定ひとつで夢を失う危機に直面した」と明らかにした。
それならば政府の「脱原発ロードマップ」は、発展可能性の高い原発産業に足を引っ張られるのか? その答えは60年以上の全世界の原発産業が現在どのように流れているのかを見ればいい。原発業界の主張と違い、全世界の原発市場は先進国中心から開発途上国中心に、急速に再編されている。
世界中の原発の数字を見てみると、原発産業は「ばら色」のように見える。「世界原子力協会(WNA)」の統計によれば、7月基準で稼動中の原発は48カ国で446基ある。現在建設中の原発は59基で、このうち半分以上は中国とロシア、インドに集中している。欧州ではポーランドとトルコだけ建設を計画している。ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアは計画がない。
韓水原などは外国に原子力発電所を建設し、利潤を残す事業が必要だと主張している。しかし、海外市場進出は限界があるのは否めない。かつてイギリスとフランスから原発の運営技術を得て独立した中国や、独自の技術を保有したロシアに原発を輸出することは容易ではないからだ。一時、原発産業を率いていた米国・フランスなどはすでに事業をあきらめた。古里(コリ)1号機建設事業を受注した米国の原発会社ウェスティングハウスは今年破産した。米国でエネルギー価格の下落と日本の福島原発事故以後強化された安全規制で多くの費用が追加でかかり、赤字を克服すること難しかった。ウェスティングハウスの親会社である東芝も、海外原発市場から撤退することにした。フランスも2025年までに全体58基のうち17基を閉鎖することにした。フランスの原発会社のアレバが事業難に陥っているためだ。原発業界は1基当たりの建設費用(約4兆ウォン=約3960億円)を計算してみれば、全世界の原発市場が640兆ウォン(約68兆円)規模だと言うが、原発建設で利益を残すのは容易でない状況だ。
そのために原発業界が新規原発建設に固執せず、「廃炉市場」などに目を向けなければならないという主張が出ている。全世界的に設計寿命が尽き永久停止に至る原発が、2040年に300基を超えるものと見られるからだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も「韓国の技術力は先進国の80%の水準であり、原発解体に必要な商用化技術58個のうち41個を確保している」とし、「原発解体産業の先導国家になれるよう、努力と支援を惜しまない」と述べたことがある。原発業界は韓国水力原子力・韓国電力公社などに派遣された人材が3千人と言うが、原発の解体産業などに進出すれば雇用が増える可能性も高い。実際に未来創造科学部が2016年に出版した「原子力白書」によると、原発関連の人材は2014年基準で3万3497人と、昨年9年間で平均5.3%増に止まった。原発の建設だけに固執するのが原子力工学科の学生の「働き口創出」を防ぐということだ。