中国の外貨当局が6日、ドルに対する人民元の価値を2005年7月以降の11年間で最大幅の切り上げを行った。
この日、中国の中央銀行である人民銀行傘下の為替交易センターは、人民元相場をドル当たり6.8668元と告示した。昨年12月6日(6.8575人民元)以来最も低い水準であり、前日告示した為替相場(ドル当たり6.9307人民元)より0.93%も切り上げた。切り上げ率は、中国が人民元の価値を米ドルにのみ連動させていたが、各種通貨の価値を加重平均してレートを公表するように制度を変えた2005年7月22日(2.05%切り上げ)以来最も大きかった。中国は前日も人民元の価値を0.32%切り上げた。
ひとまず人民元の切り上げはドル高の伸び悩みに影響を受けた。4日(現地時間)の米連邦公開市場委員会(FOMC)の12月議事録が市場の予想よりもタカ派的(金利引き上げに積極的)ではないと解釈され、翌日発表された米民間雇用指標も低迷したという理由からだ。
しかし、中国の外貨当局が7日の外貨保有高の統計発表を控え、人民元の投機勢力に強い「警告」をしたという見方も出ている。昨年11月9日、米大統領にドナルド・トランプが当選し、12月14日に米基準金利が引き上げられ、ドル価値は高騰した。これにより人民元の価値は11月9日以来、年末にかけて対ドルで2.26%も切り下げられた。中国資本の流出が進み、中国当局が人民元の価値の防御に乗り出すことで中国の外貨保有額は11月基準で3兆510億ドルまで減った。チョン・スンジ・サムスン先物研究員は「12月の為替保有高が3兆ドル未満と発表される場合、昨年初めのように人民元安にかける投機勢力が猛威を振るう恐れがある。最近の人民元切り上げはこれを黙って見てはいないという中国政府の市場介入の意志を見せたものと解釈される」と話した。
この日のウォン相場は前日より6.7ウォン(0.56%)上がったドル当たり1193ウォン(約116円)で取引を終えた。これは前日のドル安と人民元の対ドルレート急落の同調化効果で20.1ウォンも急落した韓国の為替相場が再びバランスを取り戻した一方、米労働省の雇用報告書の発表を見守ろうという様子見が影響を及ぼしたものと解釈される。