米国が為替レート報告書を出し、韓国を2回連続で「観察対象国」に指定した。「ウォン高」圧迫を継続するという意味だ。雪だるまのように増えた米国の経常収支赤字幅を減らすことが目的だ。しかし、今年末の米国の政策金利引き上げを控えて本格的なウォン安現象が起きる可能性が高い。為替レート報告書イベントが終わり、外国為替市場介入に対する韓国政府の負担も比較的減ったと言える。
米財務部は14日(現地時間) 「主要交易対象国の為替レート政策報告書」を公開した。6カ月毎に米議会提出用に作成される報告書だ。交易対象国の外国為替市場政策に対する米国政府の対応基調をこの報告書で見ることができる。米財務部は今年4月の報告書に続き、今回も中国、ドイツ、日本、台湾と共に韓国を観察対象国に2回連続で指定した。スイスは今回初めて観察対象国に含まれた。
米財務部は3つの基準で貿易国の外国為替政策を評価する。200億ドル以上の対米商品収支黒字、国内総生産に対する経常収支黒字額3%以上、自国通貨価値を引き下げる方向の外国為替市場介入の3つだ。3つの基準をすべて満たすと、米財務部は該当国を「深い分析対象国」に分類し有形無形の制裁に乗り出す。2つの基準を満たした国家に対しては「観察対象国」に指定するだけで直接制裁には出ない。
観察対象国になった韓国は今回も2つの基準に当たっている。報告書は「韓国の経常収支黒字規模が今年前半期に国内総生産の8.3%で、主要20カ国中ドイツに次いで2番目に高く、対米商品収支黒字規模も300億ドルだった」と明らかにした。最後の基準である「外国為替市場への一方向での介入」に関連しては「韓国政府は韓国ウォンの切り上げも切り下げも防御するために市場に介入したと推定される」と報告書は言及した。
米財務部がこの報告書を作成する理由は、米国の増えた経常収支赤字にある。交易相手国が意図的に自国貨幤の価値を引き下げて対米輸出を増やしたことに伴う結果だと、米国側は見ている。経済協力開発機構(OECD)の資料によれば、米国の経常収支赤字は1992年から25年連続で続いている。2010年以後昨年までの経常収支累積赤字額は2兆6千億ドルに達する。反面、観察対象国と指定された国家は同じ期間に概して経常収支黒字を継続している。韓国は1998年から毎年経常収支黒字を継続していて、2011年以後に黒字規模が急増している。
同報告書は「韓国当局が外国為替市場への介入活動に対する透明性を高め、財政政策を含め内需振興手段を追加で実施するよう推奨する」と明らかにした。財政を使って韓国の内需を育て、米国産商品やサービスをさらに買えという趣旨だ。
しかし、米国の意図に反してウォン-ドル為替レートは今後上昇(韓国ウォン安)する可能性が高い。12月に予告された米国連邦準備制度(Fed)の基準金利引き上げを控えて、世界の金融市場に不確実性が高まり、安全通貨であるドルを買おうとする動きが拡大する余地が大きいからだ。ウォン-ドル為替レートは今年2月から9月まで傾向的に下落(ウォン高)してきたが、今月に入り上昇に転じている。企画財政部は「政府は人為的な市場介入を行っておらず、グローバル金融市場の不安などの影響で危険資産に対する投資意欲が弱まっている」と明らかにした。