登録 : 2016.09.08 22:35 修正 : 2016.09.15 05:10

「最低賃金未満労働者10人に3人だけが低所得世帯の構成員」
ユン・ヒスクKDI研究委員が発表… 
勤労奨励金拡充、多様な働き方への支援が必要 
労働研究院のイ・ビョンヒ研究委員が反論… 
「最低賃金の貧困抑止力は依然大きい」

アルバ労組の組合員が7月18日、ソウル汝矣島の国会議事堂前で開かれた「2017年最低賃金6470ウォン、1万ウォンは一体いつ?」記者会見で、「2017年最低賃金6470ウォン」と書かれたプラカードに“無効”のステッカの貼っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 最低賃金の引き上げが貧困問題の解決にはあまり役立たないという主張が出てきた。最低賃金も受け取れない勤労所得者10人のうち、貧困世帯の構成員は3人しかいないという理由からだ。貧困問題は世帯基準で考えるべきで、政策もこのような観点で作らなければならないという主張だ。

 韓国開発研究院(KDI)のユン・ヒスク先任研究委員は8日、「個人・世帯単位の所得推移比較分析と貧困政策に対する含意」報告書で「最低賃金制度は貧困政策手段として限界がある」として、このように明らかにした。こうした主張はこれまで労働界など革新陣営が所得不均衡の解消や低賃金労働者の所得水準の改善だけでなく貧困問題解決の道具としても最低賃金制度に注目してきたことと異なるものだ。

 ユン委員のこうした主張は、最低賃金に満たない労働者のうち、貧困世帯(中位所得の50%以下)の構成員は30%程度にすぎないという分析結果から出発している。「韓国労働パネル」データをベースにしたこの分析は、最低賃金に満たない労働者の10人に7人は世帯としては中産層、もしくはそれ以上の階層に属する世帯の補助所得源という意味だ。世帯主は年俸1億ウォン(約935万円)を受け取る大企業の幹部だが、大学を卒業したばかりの彼の子供は中小企業でインターンとして働くケースがこれに当たる。

 同報告書は「かつては世帯当り一人がフルタイムで経済活動する構造であり、勤労者の賃金上昇がすなわち世帯所得の上昇だった。だが、女性雇用が増え、時間制勤務が拡散したため、賃金と世帯所得間の関係が複雑化した」として「(最低賃金の引き上げなど)賃金政策の有効性を再検討し、環境の変化に合わせた適切な貧困政策手段を模索する必要がある」と明らかにした。

 このような脈絡から、政府の貧困対応は最低賃金制度のような個別労働者に焦点を合わせた制度から、世帯基準で実施されなければならないと同報告書は強調する。ユン委員は、低所得世帯を対象にした勤労奨励金(EITC)制度を例にあげた。この制度は、夫婦の合算所得と保有財産を総合評価して、低所得世帯を対象に税金を払い戻す制度だ。同報告書は「夫婦が共働きをしても貧困ライン以下の場合、現行の勤労奨励金を拡充するだけで貧困ラインを脱出できる」と話した。さらにユン委員は、ハンギョレとの電話インタビューで、勤労奨励金の他にも世帯を対象とする適合型福祉と雇用政策の強化の必要性を強調した。彼女は「貧困ラインからの脱出に最も重要な要素は、世帯内の就業者数であるため、労働市場への進入過程で直面する困難を減らす支援策が強化されなければならない」として「(政府の雇用支援事業である)『青年就職パッケージ』の場合、就職準備期間に支援される生活費支援額が充分でない」と主張した。

 最低賃金制度が貧困問題の解決には効率性が低いというこうした主張は、最低賃金の引き上げには意味がないということではない。最低賃金制度は貧困世帯問題解決の万能薬ではないが、依然として貧困世帯を減らすのに効果があるからだ。労働市場と貧困問題に精通した韓国労働研究院のイ・ビョンヒ先任研究委員は「韓国は最低賃金労働者に世帯主が占める比重が半分に達するほど大きく、10代や20代前半の比重が大きい米国とは異なり、最低賃金労働者に占める中壮年の比重も大きい方だ」としたうえで、「貧困を抑制する手段としての最低賃金制度の有効性は軽視できない」と指摘した。ユン・ヒスク委員も報告書の趣旨について「貧困対応のために所得支援と同時に、就業者数を増加させ就職力量を育てる政策の重要性もバランス良く強調されなければならないという意味」だと話した。

キム・ギョンナク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-09-08 17:34
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/760566.html 訳J.S(1752字)

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