原文入力:2012/06/06 20:06(2314字)
外国為替保有 2000億→3100億ドル
通貨スワップ 300億→1200億ドル
短期外債比重 51.9→33.1%
世界金融市場が大きく揺れるたびに‘得意客’のように挙論された韓国の外貨流動性危機論議が今のところはおとなしい。
ヨーロッパ危機がどのように展開するかが不透明な状況であるのに加え、まだ危機が本格化していないという要因もあるが、何回も繰り返された産みの苦しみを味わいながら韓国経済の体質が強化されたことも一つの理由に挙げられる。
外貨流動性憂慮は小規模開放国家の避けがたい宿命のように見られてきた。 貿易と金融部門の対外依存度が高いためだ。 米国とヨーロッパの株価が波打てば韓国証券市場はより大きな‘波高’に耐えなければならなかった。 外貨流動性憂慮は為替レート暴騰につながり、再び国家信任度に悪影響を及ぼす悪循環が繰り返されたわけだ。 ヨーロッパ危機の進路により国内金融市場から外国人資金が引き潮のように抜け出る場合、外貨流動性危機は常に再燃しかねない不安要因だ。
当局者は一抹の不安感の中でも自信を示している。
企画財政部関係者は6日 「我が国の外国為替保有額は危機対応に十分な水準と判断される」と明らかにした。 金融委員会高位関係者も「現時点では外貨流動性問題は憂慮しなくても良い」と話した。 まずこのような自信の本質には最近外国人投資資金が一方的に流出するばかりではないという分析が基礎にある。 外国人は最近国内株式は売っているものの債権は着実に買い入れている。 株式・債権全てを売った過去とは異なる様相だ。 金融監督院の集計を見れば、先月国内株式市場で外国人は3兆3847億ウォンを売り越した。 反面、債権市場では6302億ウォンを買い越した。
有事の際に使える‘ドル実弾’が大幅に増えた事情もある。去る2008年の金融危機の時に2000億ドルまで減った外国為替保有額は、3年間で50%ほどが増えて去る5月には3100億ドルを記録した。 外国為替保有額は危機状況に備えた一種の非常用資金であり保険金だ。 外国為替当局が売れるドル貨がそれだけ多くなり為替レート急騰を抑制する効果もある。 危機にはいつでもドルの輸血を受けられるパイプライン(通貨スワップ)が開設されているという点も主要な根拠だ。 通貨スワップは去る2008年に外国為替当局が米国と300億ドル規模の契約を締結し、ウォン-ドル為替レートが一日で177ウォンも急落させるほどに強力な効果を見せた。 当局は昨年にも中国、日本とそれぞれ500億ドル、700億ドル規模に通話スワップ規模を拡大した。 専門家たちは最近国際金融市場の不安にも関わらずウォン-ドル為替レートが大きくは揺れ動かなかった理由を外国為替保有額と通貨スワップに求めている。
また、外債の質は改善された。 外国人の国内債権投資が増えながら、対外債務総額は着実に増加しているものの、1年以内に返さなければならない短期外債比重は2008年9月の51.9%から去る3月末には33.1%まで下がった。 純対外債権残額も995億ドルで対外負債より対外債権が依然として多い。 国内銀行は追加でドルを調達しなくても3ケ月ほどは十分に持ちこたえられる状況だ。 去る4月現在の国内銀行の1年未満短期資金借り換え率は85%台に留まっている。 満期が巡ってくれば一部は満期延長をせずにドルで返しているという意だ。
その上、着実に続いている経常収支黒字基調はドルを蓄積し対外信用度を高める最も強力な武器だ。 1997年外国為替危機と2008年世界金融危機を体験した当時、偶然にも二度の危機前にはどちらも経常収支、特に貿易収支部門で赤字が続いていたが、最近の貿易収支は去る1月を除いて27ヶ月連続黒字を継続しており経常収支黒字を後押しした。 ただし、輸出入共に大幅に減りながら‘不況型黒字’(輸入が輸出増加率の減少幅より大きい)構造を示しているという点で憂慮もある。
2008年危機の時より‘防波堤’が高いとは言え、完全に安心することにはならない。 ‘波高’もまた、当時よりさらに高くなるかもしれないためだ。 スペインから銀行危機が溢れでる可能性がある上に、ギリシャ事態もいつでも極端に昇りつめることができる薄氷状態だ。 危機が高まれば政府の危機対応能力も簡単に枯渇しかねない。 例えば外国為替保有額は2008年9月、金融危機が勃発したた時、わずか2ヶ月で400億ドルも減った。 危機の長期化も変数だ。 ヨーロッパ負債危機は2009年から3年近く続いている。 政府高位関係者は「スペインとギリシャがどうなるか分からないというのが最も大きな心配」としつつ「まだ大丈夫だが、危機が非常に長く続くだろうという前提の下で息の長い準備をしなければならない」と話した。
根本的には資本市場の対外依存的構造から抜け出さなければならないという指摘が出ている。 チャン・ポヒョン、ハナ金融経営研究所研究委員は「ヨーロッパ側資金の借入比重が低くなった代わりに、米国と英国側の資金が増えたが、こちら側にも危機が伝染すれば安全な資金とは見られない」として「今後、外貨借入依存度を低くしなければならない」と話した。
イ・ジェミョン、リュ・イグン記者 miso@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/536457.html 訳J.S