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韓国銀行が60年ぶり移転 数千億円の現金輸送で極秘作戦

登録:2016-05-21 00:15 修正:2016-05-21 07:20
本館と別館を2020年まで補修工事 
ソウル太平路にあるサムスン本館の「借家人」に 
鉄壁の警備で車両100台以上で輸送
今年2月、ソウルの韓国銀行本店で旧正月の名節資金として都市銀行に出される紙幣が積み上げられている=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国銀行(韓銀)で史上最大規模の現金輸送作戦が行われる。 韓銀が来年6月、ソウル中区太平路のサムスン本館に「借家人」として入るためだが、南大門路周辺に居を構える最古参の韓銀が移転するのは、朝鮮戦争時に釜山に避難したことを除き、今回が初めてだ。

 韓銀は本館と別館の改善補修工事期間に使う建物にサムスン本館を優先交渉対象に選定したと20日明らかにした。 サムスン本館は保安性が良く、受け入れ可能空間が広い点などで、競争候補の乙支路(ウルチロ)サムスン火災ビルより高評価を得たという。 韓銀関係者は「サムスン本館は旧韓末の造幣機関の典圜(てんかん)局跡に近く象徴性も良い」と話した。

 中央銀行が引越しする際に莫大な現金をどう運ぶかも関心事だ。 カ級(最上級)の国家保安施設である韓銀地下金庫は、鉄扉の厚さが30~40センチで壁も厚い。 武装した警備員が24時間鉄壁の警備をしている。 金庫には数兆ウォン(数千億円)の現金があるという。 市中に出回っていない新券、市中の銀行が廃棄貨幣と再使用貨幣を分類するために預けてある現金が大部分だ。 一部は外国貨幣や鋳貨もある。 紙幣の包装単位には100枚を帯封で縛る「小束」と、それを10個まとめてレンガのように包装する「大束」があるが、5万ウォン券の大束を現金輸送用スターレックス車両に満載すれば最大で400億ウォン程度(約40億円、1万ウォン券なら80億ウォン)を運送できるという。

韓国銀行が改善補修工事期間に入居するソウル・太平路のサムスン本館=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 韓銀はソウルの駅三(ヨクサム)洞にある江南本部に金庫を移すことを検討している。 サムスン本館は現在の韓銀建物から400メートルしか離れていないが、工事が終わる2020年まで中央銀行の金庫として使うのは難しい。 韓銀関係者は「輸送方式と時期、輸送先は全て機密事項」と話した。 しかし、保安上の理由でも韓銀本部に最も近い江南本部が有力候補になっている。 同じく現金を保管している韓銀釜山本部が2013年に移転した際は、警察がものものしい警護を実施した。 今回の「作戦」には輸送車両だけでも100台以上が動員されると見られる。

 輸送対象から金塊は外されることにより、かなり楽になると見られる。韓銀は104.4トン(約5兆7千億ウォン分)の金塊も保有しているが、英国の中央銀行のイングランド銀行に保管している。 2000年代初めまでは韓国国内に金を保管していたが、その後、保有量が多くなり金の売渡機関のイングランド銀行に預けている。 相当数の国家が保管の便宜性などのためにイングランド銀行に預けているという。 韓銀は朝鮮戦争の時、保管中の金のうち1070キログラムを急遽釜山本部に移転させたが、移しきれなかった223キログラムは北朝鮮軍の手中に入った。

 1912年に朝鮮総督府が建設した現在の貨幣博物館から出発した韓銀は、隣接地に本館と別館を建設し使用してきた。

ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/744730.html 韓国語原文入力:2016-05-20 21:00
訳J.S(1541字)

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