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[ルポ]未来に向け設備拡充したSKイノベーションの電気車バッテリー工場

登録:2015-07-30 10:09 修正:2015-07-30 11:36
既存の300MWh規模から700MWhに生産設備を拡大した忠清南道瑞山のSKイノベーションの電気車バッテリー工場で自動工程でバッテリーセルが生産されている=SKイノベーション提供//ハンギョレ新聞社

公害が深刻な中国への供給拡大予想
昨年は赤字でも投資を進める
まだ日本企業等が市場を先導
環境に優しい省エネ政策の拡大など
成長潜在力は高く需要増加期待

 29日訪ねた忠清南道瑞山市の舞將産業路にあるSKイノベーションの電気車バッテリー工場。A4用紙より小さな平たいパウチ形態のセルがコンベヤーベルトの上に載せられ、各種工程を待っていた。セルに電解質をくまなく塗り、電気をよく通じさせ、バッテリーの電圧と抵抗数値を検査して範囲から外れたセルは廃棄する。このセル273個が一つにパッキングされ、中国の北京市でタクシーとして使われる北京自動車の電気車EV200のバッテリーとして搭載される。深刻な大気汚染に悩む中国で、電気車に対する関心は高まっている。

 2012年5月に完成し、年間300MWh容量(電気車1万5000台分量)のバッテリーを生産するSKイノベーションの瑞山(ソサン)工場は、今月700MWh(3万台分量)を生産する規模に設備を大幅に拡大した。SKイノベーションが納品する起亜自動車の電気車「ソウルEV」と、中国の北京自動車の「EV200」等が昨年の年末に生産量を大きく増やすことを要求してきたためだ。SKイノベーションは現在、起亜車のソウルEVとレイEV、北京車のES210(ソンバオ)とEV200等の電気車にバッテリーを供給している。昨年、北京車と北京電工と共に「北京BESKテクノロジー」という合作法人を設立し、現地パッキングも始めた。

 電気車のバッテリーの生産は徹底的に自動工程でなされ、工場は24時間365日稼動する。水分が入れば悪影響を及ぼすので、水分と異質物を取り出すため、半導体のように外部接触を最小化したドライルームで主に生産する。完成されたセルは顧客の要請に合わせ23度の室温で14~18日ほどエイジングテストを行い、砂漠の気温である45度で高温エイジングも行う。

 電気車のバッテリーはまだ期待通りの収益を出す事業ではない。昨年末の基準で、国内の電気車の登録台数は2703台に過ぎなかった。1056台は起亜車レイEVで、ソウルEVが385台だった。国内需要の半分ほどをSKが担っており、市場自体がまだ微小だ。アメリカ、ヨーロッパなどを中心に世界市場は成長しているものの、パナソニックなどの日本の企業が先導している。国内ではGM等に納品するLG化学の生産規模が最も大きく、BMWの電気車に提供するサムスンSDI、起亜、北京車のSKが後を追う。

 こうした中、特にSKイノベーションは昨年の原油価格下落で37年ぶりに赤字を出す中で投資を進めているのだが、その理由は潜在力だ。走行距離の拡大など電気車の技術進歩が爆発的な需要増加につながるか注目されているのだ。また、アメリカやヨーロッパだけでなく、中国まで環境にやさしい省エネ政策を拡大しつつあり、「テスラ」の突風を考えれば、アメリカの電気車バッテリー生産業者「A123システムズ」が破産した2012年とは状況が異なるとSKは見ている。

 SKイノベーションは今年2万台の分量のバッテリーを納品する計画だ。中国の自動車業者にハイブリッドバス用のバッテリー供給を推進するなど、中国受注拡大に集中する予定だ。SKイノベーション・バッテリー事業部のキム・ユソク常務は「ハイブリッドよりはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)と純粋な電気車(BEV)のバッテリー受注を優先させ、既存顧客中心に、充実した事業を運営する計画だ」と話した。

瑞山/ソン・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-29 20:55

https://www.hani.co.kr/arti/economy/car/702355.html 訳Y.B

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