朴槿恵(パク・クネ)大統領の中東歴訪の主な成果として紹介された保健・医療分野におけるサウジアラビア進出の実績が、かなり誇張されたものであることが8日確認された。政府は朴大統領中東訪問に合わせ、国内製薬会社がサウジと500億ウォン(約55億円)規模の医薬品輸出契約および1500億ウォン(約165億円)規模の製薬工場進出の了解覚書(MOU)締結など、総額2000億ウォン(約220億円)規模の成果を上げたと発表したが、医薬品輸出予想額の500億ウォンは、政府が具体的根拠もなく漠然と作り出した数値だった。1500億ウォン規模になるというサウジ製薬工場建設事業にしても 両国企業が具体的費用および支払い方式が今後変わることもあると了解覚書に釘を刺していた事実が確認された。
政府が当初、朴大統領と共に中東を訪問した保健・医療分野の民・官合同代表団のサウジ進出の成果として前面に打ち出した内容は大きく二つある。韓サウジ両国が保健・医療分野協力を拡大させるとしたことと、国内製薬業者および医療機関のサウジ市場進出を後押しする数件の契約および了解覚書締結などだ。保健福祉部は2000億ウォン規模の韓サウジ製薬企業間の医薬品輸出契約2件と、製薬工場進出をはじめとする3件の了解覚書交換などを主な根拠に、「21世紀は韓国保健・医療が第2の中東ブームを牽引するだろう」と4日発表した。
国内製薬業者のサウジ進出にともなう予想売上額2000億ウォンは、BCワールド製薬、保寧製薬、鍾根堂による医薬品輸出額500億ウォンと、中外製薬の持ち株会社であるJWホールディングスのサウジ現地での輸液工場建設の売上額1500億ウォンなどに分かれるというのが政府の主張だ。
問題は医薬品輸出額の500億ウォンを算出する具体的根拠がないという点にある。8日、ハンギョレが確認した結果、サウジ側製薬業者のSPC社と抗癌剤輸出などに関する了解覚書を交わした保寧製薬と鐘根堂の他、鎮痛剤など17品目を輸出することで契約まで終えたというPCワールド製薬とJWホールディングスなど関連4製薬業者のすべてが、SPC社と輸出規模を具体的に合意した事実がない。
ホン・ソンハンPCワールド製薬社長は「SPC社と17品目の輸出契約を結んだが、一つひとつ(サウジ政府の)許可が必要で、具体的数量と納品価格は契約書に盛り込まなかった。価格が合わず供給しなければそれで終わり」と述べた。同様にSPC社に抗癌剤など8品目を輸出することにした保寧製薬のイ・ジュンヒ理事も「具体的輸出規模が決まらず総額がどれくらいになるのか今のところ全く分からない」と話した。他の二つの製薬業者の態度も似たようなものだ。
政府が2件と明らかにした医薬品輸出契約の件数まで誇張されていた。韓サウジ製薬業者間で交わされた契約が2件とする福祉部は、「JWホールディングスは今後5年間に輸液剤と抗生剤など4品目をサウジSPC社に輸出する契約を締結した」と明らかにしている。だがJWホールディングス関係者は「輸液剤などを納品することにしたのは間違いないが、まだ契約は結んでいない」と話した。
政府が1500億ウォンだと主張するJWホールディングスの輸液工場建設事業も過大評価との指摘は避け難い。同社は3日にサウジSPC社と該当事業を進めるための了解覚書を交わした。これについて今回中東を共に訪問したある製薬業者関係者は「製薬産業は他の分野とは異なり現地の規定や法律があまりにも厳しく、正式契約でない限り、いくらでも金額など合意内容が変わることがある」と話した。
8日、金融監督院の電子公示システムを通してサウジ輸液工場建設了解覚書締結と関連したJWホールディングスの公示内容を実際に調べると、1500億ウォン規模の建設代金などと関連し同社は「現地SFDA GMP規定と法律により費用および支払い方式は今後協議」とすると明示されてある。GMPとは医薬品製造・管理基準を示す。
製薬分野のサウジ進出実績が誇張されているのではないかとする指摘について福祉部関係者は、「サウジを共に訪問した製薬会社から『医薬品を輸出することになれば、その程度(500億ウォン)の規模になる』という話を聞き発表するに至った」としたうえで、「サウジ進出の全体成果を2000億ウォン程度にする製薬会社の『アクセプト(同意)』があった」と説明した。
韓国語原文入力:2015.03.09 08:08