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日本・ヨーロッパに続き中国も金融緩和…「為替戦争」加熱に憂慮

登録:2014-11-24 00:44 修正:2014-11-24 07:06
中国基準金利引き下げの波紋
韓国企業の対中輸出には青信号
長期的には韓国の競争力が低下する見込み
ソウル明洞の外換銀行本店で、職員が為替レートの動きを見守っている。 イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 中国の中央銀行である人民銀行が2年4か月ぶりに電撃的に基準金利を引き下げると、韓国をはじめとする世界経済に及ぼす波紋に関心が集まっている。 中国がヨーロッパ中央銀行(ECB)と日本銀行の「金融緩和」の隊列に合流し、為替レート戦争が加熱しかねないという展望も出されている。

 専門家たちは今月21日、貸出金利と預金金利をそれぞれ0.4%、0.25%引き下げた人民銀行の金利引き下げ措置が、振るわない中国経済に一定程度の活力源になると展望した。 王軍 中国国際経済交流センター研究員は23日『チャイナ デイリー』に、「基準金利の引き下げは以前の銀行支払準備率引き下げとは異なる直接的処方」であるとし「今回の措置は資金調達に困難を来している企業の負担を減らすことによって、安定的成長と仕事の創出などに役立つだろう」と話した。

 中国当局が経済成長を下支えする意志を誇示した点も、市場に心理的安定感を与えるという解釈も出ている。 馬曉萍 香港上海銀行(HSBC)アナリストは「今回の金利引き下げは、低迷した中国の不動産市場に直接的で肯定的な信号を与える」とし「予想より早い措置は、中国当局が成長率の下落を傍観しはしないという強い信号を送った」と話した。 中国の国内総生産の20%ほどを占める不動産市場は、供給過剰のせいで墜落を続けている。 先月は中国70都市のうち68か所の不動産価格が下落した。そのために主要国際金融機関は今年の中国の経済成長率が目標値の7.5%前後に届かない7%台序盤に終わるという展望を相次いで出した。

 だが、今回の金利引き下げに対する強い憂慮を示す反応も少なくない。北京のある経済専門家は「今の中国経済沈滞の原因は、市場とかけ離れた生産過剰と在庫増加、不動産景気の冷え込み」とし「根本原因を解決せずに企業の資金難を解消するだけでは景気の回復は疑問」と話した。 すでに相当な不良債権を抱えている都市銀行が、融資拡大などに積極的に乗り出すかどうかも疑問だ。

 マーク・ウィリアムス ロンドン キャピタルエコノミクス アジア専任研究員は「今回の措置の最大受恵者は超大型の国有企業」と話した。習近平中国国家主席と李克強総理は、就任後から持続的に経済の構造調整と市場中心の改革を叫び、放漫な国有企業の改革作業を強調してきた。だが、今回の措置は改めて「大石は死なない論」を広め、改革の障害物になりかねない。

 中国の金利引き下げは、韓国経済にも相当な影響を与えるものと見られる。 キム・ハクキュンKDB大宇証券投資戦略チーム長は「韓国の対中輸出が増える効果はあるだろう」としつつも、「現時点では中国景気が反騰するか不確実なうえに、中国企業の競争力が高まり韓国企業の得る恩恵は制限的だろう」と分析した。

 長期的には、中国の金利引き下げがヨーロッパ中央銀行、日本銀行の通貨供給拡大政策と同時に成され、韓国の対外輸出競争力を悪化させかねないという展望も出ている。 日本銀行は先月末、年間の長期国債買い入れ枠を50兆円から80兆円(755兆ウォン)に拡大することにし、ヨーロッパ中央銀行のマリオ・ドラギ総裁も21日に1兆ユーロ(1350兆ウォン)規模の通貨を解くと示唆した。

 ある中国経済専門家は「米国を除き、日本、ヨーロッパ、中国などがいっせいに景気を浮揚するため金融を緩和すれば、為替レートの流れを歪曲させかねない」として「韓国の輸出企業としては、既存の円安現象に元貨までが低評価になれば負担が大きくなりうる」と話した。

北京/ソン・ヨンチョル特派員、世宗/キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/665732.html 韓国語原文入力:2014/11/23 20:08
訳J.S(1746字)

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