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冷めゆくサムスンのスマートフォン人気…“高マージン・多量販売”の終焉

登録:2014-10-07 22:43 修正:2014-10-08 14:02
サムスン電子、第3四半期実績不振
//ハンギョレ新聞社

予想より速い“ギャラクシー早期老化”
S5のデザイン・性能革新は不十分との評価
S3にも届かない販売量予想

iPhone6+、大画面市場を威嚇
中国企業など中低価格市場を蚕食
占有率30%未満に下落

高スペックに中低価格製品の発売を予想
市場占有率回復の“反撃”に乗り出す模様
低マージン構造の固定化憂慮がジレンマ

「スマートフォンの企業間競争が激化している状況で、販売量は小幅に増えたがハイエンド(高価)製品の販売比重が縮小し、旧モデル価格が軟化したために平均販売単価(ASP)が下落した。 攻撃的マーケティング費用の執行もマージン縮小の原因として作用した」

 サムスン電子は7日、第3四半期実績(暫定値)を発表し“不振”の主要原因をこう診断した。 第2四半期の実績発表当時に出した第3四半期実績改善展望を完全に覆したのだ。 やや乱暴に要約すれば、ますますサムスン製品を売ることは難しくなっている。 イ・スンウ IBK投資証券研究員は「第2四半期に積極的なスマートフォン在庫の圧縮をしたにもかかわらず、こうした状況が起きているのは、今までアンドロイド生態系を支配してきたサムスン電子“ギャラクシー”に対する市場の反応が以前と変わったという意味」であるとして、サムスン電子の代表選手ギャラクシーの“早期老化”が予想より急速に進行していると診断した。

■“早老”する代表選手

 サムスン電子はこれまでプレミアム戦略スマートフォンのギャラクシーシリーズの人気を背景に“多量販売・高マージン”政策を展開してきた。一定水準の利益率が保障されないスマートフォン事業部門には進入せず、ブランドの“後光効果”を通じて500ドル以上の高価市場はもちろん、300ドル以下の低価格市場でも同クラスの他社製品より80ドル(「ギャラクシーコア2」と「レノボS8」の価格差)程度は高い価格を付けてきた。

 だが、4月に世界で発売された“ギャラクシーS5”などの戦略新製品がデザインや性能面で大きな革新を見せられなかったという評価を受けて、このような後光効果が色あせているという評価が出ている。ハイ投資証券は、S5の今年の販売量を3250万台と予測した。前作の“ギャラクシーS4”の昨年販売量(4600万台)はもちろん、2012年の“ギャラクシーS3”の販売量(3850万台)にも満たないということだ。

■上・下から挟まれた“ナッツクラッカー”

 サムスン電子は現在、上・下から激しく打って来るライバルに挟撃される“ナッツクラッカー”に嵌まった状態だ。

 高価品市場では、アップルが“片手哲学”(スマートフォンは片手で持つべきとする考え)を放棄した“iPhone6+”を発売し、サムスン電子が独占するかに見えた5インチ以上の大画面市場を威嚇している。 LG電子やソニーなども競争力のある製品で機会を狙っている。 一段階下と見ていた中国企業等は、価格はもちろん技術競争力まで追いつき、サムスン電子が占めている中低価格市場のパイを奪っている。

 特にサムスン電子が守ってきた中低価格品市場が奪われる速度に加速がついている。 サムスン電子は2分期に、創業4年目である新生企業シャオミー(小米)に世界最大のスマートフォン市場である中国の市場占有率1位を明け渡した。 危機は中国に限定されてはいない。 サムスン電子は第2四半期に全世界100ドル未満の低価格スマートフォン市場でレノボに1位を奪われた。 その結果、サムスン電子の第2四半期全体市場占有率は2012年以後初めて30%を切る25.2%まで下落した。

■市場占有率とマージンのジレンマ

 “上”(高価市場)も心配だが、“下”(中低価格)からの攻撃を防御することがサムスン電子にはより喫緊の課題となる。

 サムスン電子のスマートフォン売上のうち、中低価格フォンの比重が70%に達するうえ、成長停滞に直面した高価品市場とは異なり、300ドル未満のスマートフォン市場は新興市場を中心に日々大きくなっているためだ。 市場調査機関ストラテジーアナリティックス(SA)などは、300ドル未満の中低価格スマートフォンが全世界市場で占める比重が2011年の51%から今年は66%に増加すると見ている。 こうした中で、中国の競争企業などが中国だけでなく海外輸出まで拡大していて、サムスン電子の市場占有率を蚕食している。

 サムスン電子はこれに対し、スペックは高めで価格は下げた中低価格新製品を発表し、中国企業などの攻勢に“反撃”を加える計画だ。 業界ではサムスン電子が近い将来に300ドル台のスマートフォンである“ギャラクシーA”シリーズを公開するだろうという話が出回っている。 ギャラクシーAシリーズは最近発売された“ギャラクシーアルファ”のようにメタル フレームを適用し、4.8インチと5インチなど多様な大きさと仕様で発売されると見られる。 また、大画面スマートフォンである“ギャラクシーメガ2”はもちろん、100~200ドル台の製品まで多様な中低価格製品が市場に姿を現すだろうという話も出回っている。

 問題は“マージン”だ。 高スペック・中低価格戦略を通じて市場占有率はある程度回復できるだろうが、低マージン構造が固定化しかねないためだ。 ソン・ミョンソプ ハイ投資証券研究員は「市場占有率の下落とマージンの圧迫を同時に体験しているサムスン電子の立場では、二匹のウサギのうち一匹でも捉えることが最善の選択にならざるをえない」と話した。

イ・ジョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/658775.html 韓国語原文入力:2014/10/07 20:59
訳J.S(2576字)

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