‘企業所得還流税制’導入
政府「企業と家計所得の好循環が目的」
企業所得を‘外’に誘導すると言うが
税制設計は複雑…海外蓄財の憂慮も
専門家「法人税を引き上げ原状回復すべき」
政府が24日に出した企業所得還流税制は、いわゆる‘内部留保課税’と呼ばれ、新経済チームの経済政策方向の中で最大の論議の的に浮上した。 企業所得還流税制は、家計所得と企業所得間の不均衡を減らすために導入される制度で、投資や配当、賃金引き上げなどに十分に金を使わなかった企業には追加で税金を払わせるというのが主な内容だ。
この制度が導入されたのは、2008年李明博政府時期に起業に良好な環境を作るとして、法人税最高税率を25％から22％に引き下げた影響が強く作用した。 去る5年間、企業に対して割り引いた法人税の金額は28兆ウォン(約2.8兆円)を越えたが、これは積極的な投資や働き口創出につながらなかった。 チェ・ギョンファン経済副総理 兼 企画財政部長官は去る22日、報道機関経済部長懇談会で「李明博政府時期に法人税を引き下げたが、企業は投資を増やさなかった。 企業所得還流税制の導入は、企業の成果が家計に回らなければ法人税引き下げの恩恵は与えないという意味」と話した。
政府が構想している企業所得還流税制は2～3年の猶予期間を置いても企業が利益を投資や賃金、配当に使わなければ、残った部分のうちの一部を法人税として追加課税するということだ。 課税対象利益は来年から発生するものの、実際の課税は2017～2018年に初めて行われる可能性が高い。 政府は自己資本が一定規模以上の法人(中小企業を除く)を対象に、この税制を適用する方針だ。
政府は企業所得還流税制は内部留保に対する課税ではないと説明した。 この税制は過去に蓄積された内部留保に対する課税ではなく、今後発生する企業利益の流れに対する税金賦課であるためだ。 ムン・チャンヨン企画財政部租税政策局長は「企業利益と家計所得の好循環を誘導する政策を作ることであって、税収を増大しようということではない。 政府の目標は企業所得還流税制を通じた税収がゼロになること」と話した。 税制の具体的な内容は8月初めに税法改正案として発表される予定だ。
だが、企業所得還流税制は設計が複雑で、実際に課税が始まる時期も遅くなり、早くも実効性論議が起きている。 財界では主要大企業が利益を国内に持ってこずに海外に積み立てる可能性が高いという‘脅迫’性憂慮も提起している。 また、当期純利益が多い企業は、一部の財閥系列大企業に限定されるだけに、実際この税制が効果を発揮するとしても、その恩恵は大企業の正規職労働者や株式保有者だけが得ることになるという主張も出ている。 したがって、本当に政府が確実な企業所得の家計所得還流を目標にするならば、法人税を引き上げ、政府が直接家計を支援する方がはるかに効果的だという指摘が出ている。
カン・ビョング仁荷(インハ)大教授(経済学)は「法人税実効税率が低く、社会保障寄与金雇用主負担が少なく、我が国の企業の税負担は経済開発協力機構(OECD)平均より少ない。 企業所得還流税制の導入ではなく、李明博政府の時に引き下げた法人税を再び原状回復させなければならない」と強調した。オ・ゴンホ‘私が作る福祉国家’共同運営委員長も「家計所得拡充のために税金が必要な状況で、‘政府が増税はしない’と言ったために、実効性が劣り論議が大きい‘企業所得還流税制’が登場した。 法人税を引き上げて福祉政策に使えば、家計所得に直接役立てられる」と話した。
財界は企業所得還流税制導入に対して批判的な立場を明らかにした。 全国経済人連合はこの日論評して「企業利益に対する課税は企業ごとに処している現実が違う点を勘案して、企業の自律性を最大限に尊重する方向でなされなければならない」と明らかにした。 大韓商工会議所も論評して「企業に対する二重課税問題など、慎重な検討があることを願う」と主張した。
世宗/キム・ソヨン、キム・ギョンナク記者、イ・ジョンエ記者 dandy＠hani.co.kr
訳J.S(2008字)
