グローバル家具企業‘IKEA’が今年末、京畿(キョンギ)光明市(クァンミョンシ)に韓国1号店を開店する。 先月30日、1号店の広報館の役割をするポップアップストアがソウル永登浦区(ヨンドンポグ)のタイムスクエア2階にすでに開店した。 そのために9兆ウォン内外と推算される国内家具市場に非常灯が点った。 IKEAの韓国上陸にともなう波紋を探ってみた。
新規分譲市場の回復に対する期待感と住宅リモデリング需要の増加で、昨年末から待望の急上昇を続けてきたハンセムと現代リバーツなど国内家具企業の株価が‘予告された伏兵’のせいで今月初めから大きく座り込んだ。去る2日、これら業者の株価は前日比で2%から8%墜落した。 証券アナリストはIKEAがソウル永登浦(ヨンドンポ)のタイムスクエアにポップアップストアを5月30日に開場したことが悪材料として作用したと口をそろえる。
今年末に京畿(キョンギ)光明市(クァンミョンシ)に開店するIKEA韓国の売場1号店の広報館の役割をするポップアップストアは来る8月22日まで一時的に運営される。 IKEAは消費者が購買して組立を自分で行う組立式(DIY)家具を中心に各種生活用品を安価で販売するスウェーデン産ホームファーニッシング企業だ。 「不便さを売ります」をスローガンに掲げる程、組立を通じて世界で私が作った唯一の家具は自尊心を植え付けることによって消費者と生産者の間の壁をなくすというのがIKEAの経営哲学だ。 これを通じて価格を下げ、消費者の負担を大きく減らす構造なので、韓国に直売場がなくともすでに若い消費者層には数年前からうわさされている状態だ。 現在まで全世界26ヶ国に303の売り場を直営していて、52ヶ国に1046の協力業者を率いている。
今年末に開店するIKEA光明店は売場の大きさで世界最大規模という。 今後、京畿道(キョンギド)高陽市(コヤンシ)近隣とソウル江東区(カンドング)高徳洞(コドクトン)一帯に拠点を設け、2020年までに韓国に5店の超大型売場を建設する構想を持っている。
今年末に光明に超大型売場 開業
家具だけでなく流通業も衝撃を受ける展望
首都圏零細業者の倒産・廃業の憂慮の中で
‘競争を通じて体質強化が可能’分析も
IKEAの本格上陸を控えて証券街では最近相次いで報告書を出し、業界の対応策や今後の市場推移などに対する展望を発表している。 多くの報告書はIKEA突風が今後、国内家具業界のみならず台所・浴室用品、衣類、雑貨など流通分野全般にわたって市場地図に急激な変化を起こす可能性が高いと口をそろえる。 その一方では、ブランド家具企業等の玉石を分ける契機になりえて悪くはないという展望も出ている。
韓国内での家具消費パターンが高価よりは低価格型合理的製品を好む傾向に反転しているので、IKEAの国内上陸が国内家具業界に活力を吹き込む要因になり得るという分析も出てきた。 ピョン・ソンジン未来アセット証券アナリストは「国内ブランド企業の場合、全国的営業網を備え台所やインテリア施工まで行うなど、韓国市場に最適化されたサービスを提供しており、営業リスクは制限的だろう」としつつ「反面、IKEAの進出で低価格型組立式家具文化が普及する場合、国内家具市場のパイが大きくなりうる」と診断した。
問題は家具業界の95%以上の比重を占めている零細家具業者と生活小道具の生産業者がどんな自己救済策で‘IKEA津波’を凌ぐかという点だ。 家具業界の統計値を見れば、韓国の家具産業は首都圏比重が60%を越えており、企業の95%以上が小企業・小商工人だ。 そのために京畿道高陽市とソウル市、高徳地区などにIKEA売場が続いてできる場合、少なからぬ首都圏企業等が廃業や倒産の危機に追い込まれかねないと訴えている。 ヤン・ヘチェ韓国家具産業協同組合連合会理事長は「全国1千社余りに達する中堅製造・販売業者会員会社が、政府次元で家具業界の対策案を用意することを促しているが、政府は法体系上難しいという言葉だけを繰り返し、足掻いている状況」と話した。
組合連合会は打開策の一つとして、現行関税法上イケアの場合、家具完成品または半製品を持ってくるので関税を納めていないという点を上げ、国内家具製造業者にも原材料に無関税を適用することを要求している。 現行関税法上、原木を持ってくる製造業者は8%の関税を払うことになっている。
零細業界では政府次元でデザイン開発と流通先進化方案などを支援する仮称<家具専門センター>の設立も提案している。 零細な事業構造のために大企業のように大規模国外調達推進などは思いもよらないという現実的困難も抱えている。
その一方では、国内家具企業等が危機をチャンスにする逆発想を通じて競争力を育てる格別の対策を講じなければならないという指摘も出ている。 日本の場合、業界次元の国外調達や吸収・合併等を通して‘IKEA津波’を克服した事例を容易に見出すことができる。 1970年代に日本に初めて上陸し撤収したIKEAが、2006年に再び日本に足を踏み入れるや、日本最大のホームファーニッシング業者であるニトリは2008年から3000余り品目価格をIKEAと同等、もしくは更に安価で出して正面対抗した。 国外調達体制と大々的なコスト削減で競争力を備えられた。 地場産業者の玉石を分けることを通じて市場の強者に浮上する、いわゆる‘ナマズ効果’を得たのだ。
韓国でもハンセムなど一部ブランド企業が売場の大型化などを推進している。 ダイソーコリアと新世界インターナショナル、無印コリアなどの生活雑貨流通企業も価格割引等を通してIKEA上陸に備えている。
チェ・イクリム記者 choi21@hani.co.kr