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円安襲撃…日本企業 青信号、韓国企業 赤信号

登録:2013-04-23 23:46 修正:2013-04-24 07:33
日本が為替レートを上げ始めた後
昨年末までは輸出が減り
今年1分期は1.2% 増加
"Jカーブ効果 開始" 分析
23日午後、ソウル中区(チュング)明洞(ミョンドン)のある両替所の看板の向こう側で日本人観光客対象の土産品販売店職員が顧客を待っている。 イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr

円-ウォン為替レート 損益分岐点
中小企業 1343ウォン 大企業 1290ウォン
一部では "円安に対する免疫力が高まった" 分析も

 円-ドル為替レートが騰勢を継続している。 ゴールドマンサックスは22日、1ドル当たりの日本円の1年後の展望値を95円から105円に調整した。 クレディスイスは1年後に日本円が1ドル当り120円に達すると見通した。

 円-ドル為替レートの急上昇勢は、昨年9月末に安倍晋三前日本総理が自民党総裁に当選した後から始まった。 安倍総理は当時 「輪転機で円を印刷する」として積極的な通貨政策を予告し、中央銀行である日本銀行が今年1月に大規模資産買い入れに乗り出したことにより表面化した。 ここに日本の貿易収支赤字が昨年5兆8000億円に拡大し、国内総生産(GDP)がマイナス成長を記録したことから円安は急流に乗った。

 韓国銀行の資料によれば、日本円の通貨切下げ幅は22日現在、昨年1月(平均)と比較すると29.7%に達する。 傾斜も急だ。 去る5日の為替レートと比べれば、20日ばかりで日本円の通貨切下げ幅は4.5%に達する。 黒田東彦 日本中央銀行総裁は4日衆議院で 「日本銀行は(量的緩和関連で)できるすべての仕事をしていて、追加措置が必要ならば迷うことなく施行する」と話し、円安は相当期間持続する展望だ。 反面、我が国のウォン-ドル為替レートは昨年1月に比べて22日現在2.4%平価切上げられた。

 円安がわが国の経済に及ぼす影響は少なくない。 円安を背負って日本企業の輸出競争力が相対的に強化されるためだ。 現代経済研究院は今月初めに報告書を出して、今後日本円の価値が1ドル100円、110円まで下がれば、韓国の総輸出はそれぞれ3.4%、11.4%減ると見通した。 これは我が国の国内総生産(GDP)の60%を占める輸出の主要品目が日本と多く重複しているためだ。 韓国貿易協会の分析によれば、我が国輸出上位100品目の中で約50%が日本の100大品目と重複している。 実際、産業通商資源部の‘1分期対日本競合品目輸出増加率’統計を見れば、1分期の鉄鋼輸出は前分期対比で11.3%、自動車は3.5%減少した。 自動車と鉄鋼の競合度はそれぞれ0.63, 0.58で造船(0.75)を除けば最も高い方だ。

 このような傾向は‘Jカーブ効果’を考慮すれば一層深刻化される可能性もある。 Jカーブ効果とは、ある国の為替レートが通貨切下げされれば、3~6ヶ月間にわたり輸出が一旦減少してから増加する現象をいう。 実際、産業部の資料によれば、今年1分期の我が国輸出が0.5%増加に終わった反面、日本の輸出は1.2%増加した。 日本の輸出が昨年12月まで前年同月対比で6.9%減少し、7ヶ月連続マイナスを続けた点を考慮する時、Jカーブ効果がすでに始まったという分析も可能だ。

 円安ショックの体感度は大企業より中小企業が高いものと憂慮される。 韓国自動車産業研究所は最近出した報告書で、我が国輸出大企業の円-ウォン為替レートの損益分岐点は、100円当り1290ウォンだったが、中小企業ではこれよりはるかに高い1343ウォンと推定した。 円安で弱まった価格競争力を回復するために大企業が中小企業に不公正に費用を転嫁する可能性もある。

 反対に日本企業らの経営には青信号が点った。 トヨタが2012年会計年度(2012年4月~2013年3月)で5年ぶりに営業利益を黒字に転換させた。 大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の分析によれば、米国市場で円安の影響で韓-日間機械類価格差が10~20%差から5~10%水準に減少し、日本の自動車販売が増加している。 中国とヨーロッパ市場でも日本製化粧品と消費財が注目されているとKOTRAは付け加えた。

 円安に最も弱い部分がまさにここにある。 企業の採算性悪化で限界企業が増加すれば、雇用など他のマクロ指標も落ち込みうる。 企画財政部関係者は「円安は単に輸出だけに影響を及ぼすのではなく、限界企業の増加による金融市場悪化など複合的な影響を及ぼす。 そのため過去の外国為替危機の度に前奏曲は常に円安であった」と話した。

 円安が世界経済の回復に肯定的な影響を及ぼすという分析もある。 米国とヨーロッパ連合の量的緩和のように、日本の低迷した内需景気を復活させ、貿易収支と財政収支まで改善される過程と見るということだ。 国際通貨基金(IMF)が最近日本の経済成長率展望値を1月に比べて0.4%高い1.6%に上方修正し、 「日本政府の野心的な量的緩和計画を歓迎する」と話したのもこのような脈絡だ。 現代経済研究院イ・ジュンヒョプ研究委員は「米国とヨーロッパが2008年から先を争って量的緩和をしてきたというのに、日本の量的緩和に反発することは難しいだろう」と見通した。

 我が国企業はかなり以前から生産基地の国外移転で為替レートリスクを分散してきたし、一定水準の輸出競争力を備えるなかで円安に対する免疫力が過去のいつにも増して大きくなったという診断もある。 産業部関係者は「昨年8月以後、円-ドル為替レートが20%以上騰がったことに比べて、我が国企業らの輸出が善戦している。 円-ドル為替レートが悪化したがウォン-ドル為替レートが好転する中で再び輸出が増加していて、円安と我が国の輸出減少に連動性があると断定するのは難しい」と分析した。

クォン・ウンジュン、ノ・ヒョンウン記者 details@hani.co.kr

 Jカーブ効果:ある国の為替レートが上昇(通貨価値の下落)する場合、初期には貿易収支が赤字を記録し、一定期間が過ぎれば黒字に転じる現象をいう。 その形がアルファベットの‘J’と似ているためにJカーブと呼ばれる。 為替レート上昇初期には輸出入物量に大きな変化がない状況で輸出価格は下落し、輸入価格は上昇するため一時的に貿易収支が悪化するが、一定期間が過ぎれば為替レート効果が現れ輸出量が増加し貿易収支が改善される。

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/584245.html 韓国語原文入力:2013/04/23 21:34
訳J.S(2761字)

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