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国民年金、外国企業でも社会的責任‘逆走行’

登録:2013-02-14 23:11 修正:2013-02-15 06:05
アップル・グーグルなど14ヶ所に25兆 投資
株主総会 倫理的案件 13件中 8件に反対
"過度に収益性だけに焦点" 指摘
動物実験最小化提案に反対
同性愛者雇用差別禁止にも反対

 国民年金は昨年4月に開かれたジョンソン&ジョンソンの株主総会で‘動物実験を最小化しよう’という株主提案に反対票を投じた。 「会社が関連政策を樹立し施行している」という理由であった。 多国籍生活用品企業であるジョンソン&ジョンソンは化粧品の製造過程で動物実験を行っている。 さらにボディーショップをはじめとする多数の化粧品会社とヨーロッパ連合(EU)等が動物実験を完全に禁止していることと逆行する流れだ。 チョ・ヒギョン動物自由連帯代表は「動物実験を行っているジョンソン&ジョンソンに投資することからして問題だが、国民年金はこれを減らそうという主張にも反対した。 国際的恥さらしになりかねない」と話した。

 昨年5月マルボロ ブランドで有名な米国系タバコ会社であるフィリップ・モリスの株主総会で‘マーケティング倫理委員会を設置しよう’という株主提案が上がってきた。 企業の社会的責任を考慮して広告執行をさらに厳格にしようということだった。 だが、会社の株式を保有した国民年金は反対意見を出した。「会社の広告政策が政府基準に符合しており、創出される価値が追加される費用に達し得ない」という理由であった。 ‘法的に問題がない上にお金も多くかかる’ということだ。 国民年金は2011年にもこの会社の株主総会で‘タバコ広告が低所得層に及ぼす影響に対して報告しなさい’という株主案件に反対した。

 国民年金がグローバル企業の株主総会で社会的責任の強化を要求する案件に多数の反対票を投じたことが明らかになった。 収益性だけに焦点が合わされた国民年金の議決権行使基準を調整しなければならないという指摘が出ている。

 国民年金は昨年6月基準で全体基金367兆ウォンの内、国内株式に62兆ウォン、海外株式に25兆ウォンを投資している。 国内外株式市場の‘大手’である国民年金に社会的責任を要求する声が高まっている。 これに先立って国民年金を正す国民行動は6日「労働者を弾圧するイーマートに対する投資を撤回せよ」と要求した経緯がある。(<ハンギョレ> 2月7日付17面)

 昨年国民年金が議決権を行使したグローバル企業は、アップル・アマゾン・グーグルなど計14企業だ。 国民年金は海外株式投資総額に占める比重が0.5%(1270億ウォン)以上、または該当企業の持分率が1%以上である企業に限り議決権を行使している。 国民年金基金運営本部が公示した昨年の海外株式議決権行使内容を見れば、国民年金はグローバル企業の株主総会に提出された社会的責任案件13件の内8件に反対意見を出した。 △金・コルタンのような‘紛争鉱物’除去(シスコ) △性的趣向にともなう差別禁止(エクソンモバイル) △政治後援支援金内容公開(アップル・ファイザー・グーグル)等だ。

 国民年金が社会的責任に逆行する決定を下す理由は何だろうか? 先ず議決権行使基準が収益性に片寄っている。 国民年金は議決権行使の根拠に‘議決権行使指針6ヶ条’をうたっている。 「株主価値に害になれば反対、得になれば賛成」と要約できるが、これも具体的ではなく抽象的だ。

 議決権行使指針に「環境・社会・企業支配構造など社会的責任投資要素を考慮する」(4条)は社会的責任原則が上げられてはいる。 だが、実際の判断基準となる‘細部基準’には社会的責任が抜けている。 オ・ゴンホ グローバル政治経済研究所研究室長は「国民年金に無条件に社会的責任だけを要求することはできない。 だが、収益性と社会的責任を併せて考慮するべきなのにそれができていない」と話した。

 複雑な国際的問題に対して判断できる人材・能力も不足している。 そのために国民年金は海外株式関連議決権行使にあたってISSという国際議決権行使諮問機関にほとんど全面的に依存している。 国民年金関係者は「株主提案で上がってくる問題に対して、その背景をいちいち把握することは難しい。 結局、ISS報告書に依存して判断を下さざるを得ない」と話した。 ISSはモーガン スタンレーキャピタル インターナショナル(MSCI)の子会社で、基本的に株主価値向上という‘収益性’を基準として判断を下している。

チェ・ヒョンジュン記者 haojune@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/573973.html 韓国語原文入力:2013/02/14 21:00
訳J.S(1973字)

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