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予告されていた‘ローンスター攻勢’…政府は情報抱え込み消極対応

登録:2012-11-22 21:53 修正:2012-11-23 05:43
初の投資家-国家訴訟 波紋
投資家-国家 訴訟制(ISD)進行手続き 及び ローンスター進行現況

去る5月、仲裁意向書提出の際も
政府 "協議要請" 報道資料のみ
民弁の情報公開要求にも‘不可'

立場の差が大きく仲裁困難
敗訴すれば税金 数兆ウォン流出も
‘FTA再改正'の声 高まる公算

 韓国政府を相手にしたローンスターの‘投資家-国家訴訟’(ISD)提起はすでに予想されたことだった。 紛争当事者間の主張に差があまりに大きく、仲裁を通じて合意に至ることができなかったためだ。

 外交通商部キム・ヨンジェ通商法務課長は「(先立って行われた仲裁交渉で)相互間の立場があまりにも違いが大きかった。 わが政府は‘一銭も支払わない’という立場であったし、ローンスターもやはり譲歩する立場ではなかった」と話した。

 去る5月、ローンスターの訴訟提起の可能性が高まった以後、わが国政府は関連情報を公開したことがない。 出だしからそうだった。 去る5月28日、金融委員会は夜6時頃に報道資料を出し‘ローンスターがわが国政府に協議を要請する文書を伝達した’とのみ明らかにした。 投資家-国家訴訟という単語は一言も出てこなかった。 代わりにローンスターが5月30日に報道資料を出し、仲裁意向書提出の事実を知らせた。 また、民主社会のための弁護士会が仲裁意向書に対する情報公開要請をしたが‘非公開処分’を下した。 結局、ローンスターが直接報道資料を出して仲裁意向書を公開した。

 今回の訴訟提起の際もやはりローンスターが提出してしまってから、1ページの資料で‘ローンスターの国際仲裁提起に対する我が政府の立場’を発表した。 要約すれば‘この間準備を十分してあり、最善を尽くす’ということだ。 今後訴訟手続きがどのように進行されるのかなど、何の情報も含まれていなかった。 外交通商部関係者は「ローンスターの訴訟提起はすでに予想された状況だとし、当初は多様な情報を含めようという話もあったが、結局最小限だけを話すことにした」と語った。

 ローンスターは仲裁意向書で2003年外換銀行引き受け以後、数回にかけて売却しようとしたが韓国政府のせいで失敗したと主張している。 2006年国民銀行に売却しようとしたのをはじめ、2007年にはシンガポール DBS銀行、HSBC等、数回の試みが政府のために成功できなかったとのことだ。 それにともなう損害を弁償しなければなければならないとローンスターは主張している。 更に去る2月ハナ銀行に外換銀行を売却したことに伴う収益に課税された4310億ウォンなども不当だと指摘している。

 今回の訴訟事件は概略2~3年ほどかかり、訴訟関連費用だけで数億ウォンがかかるものと見られる。 仲裁人の一日の手当てが3000ドル(約340万ウォン)にもなる。 その上、政府が敗訴する場合、数兆ウォンの税金が投入される。

 このために韓-米自由貿易協定(FTA)に含まれた投資家-国家訴訟制に対する再改正の声が高まる展望だ。 ローンスターが訴訟根拠とした韓-ベルギー・ルクセンブルグ投資協定よりさらに多くの毒素条項が含まれているためだ。 代表的なものとして韓-米自由貿易協定は実際の投資ではない投資契約さえも訴訟対象になりうる。 韓神(ハンシン)大イ・ヘヨン教授(国際関係学)は「契約金が明示された了解覚書などの投資契約も韓-米自由貿易協定では訴訟対象になりうる。 その上、わが国政府の同意を求めず、6ヶ月間の冷却期間を経ずに即座に訴訟を提起できるなどはるかに多くの毒素条項がある」と話した。 また 「オーストラリアのように投資家-国家訴訟制を完全に削除することを筆頭とし、国家が同意しなければ訴訟を提起できない事前同意制度を削除するなど問題解決のための多様な検討が必要だ」と付け加えた。

イ・ジョンフン記者

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<‘韓-米FTA廃棄’怒りの声> 韓-米自由貿易協定(FTA)阻止汎国民運動本部会員たちが22日午前ソウル、貞洞(チョンドン)のフランチスコ会館で開かれた‘韓米FTA強行通過1周年 韓米FTA廃棄時局宣言記者会見’で韓米FTAと書かれた大型立て札を壊している。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

朴 "標準約款のようなもの" 文 "毒素条項再協議" 安 "国際規範に合わせるべき"

‘ISD’3候補の考えは?

 米国系私募ファンド ローンスターが投資家-国家訴訟(ISD)を提起したことに伴い、韓-米自由貿易協定(FTA)の代表的な毒素条項に挙げられる投資家-国家訴訟条項に対する大統領候補の態度も関心を集めている。

 主な大統領選候補の自由貿易協定(FTA)をはじめとする投資家-国家訴訟に対する意見が大きく分かれている。 セヌリ党朴槿恵候補は投資家-国家訴訟制に対して「標準約款のようにほとんどすべての協定に皆入っている制度」と明らかにした経緯がある。 だが、標準約款も相当な差がある。 韓神大イ・ヘヨン教授(国際関係学)は「中国が結んだ自由貿易協定を調べれば、ほとんどが最高裁判決まで受けるなど国内法手続きを全て踏んだ後に国際訴訟を提起できるようになっている。 標準約款が皆同じではない」と話した。

 反面、民主統合党 文在寅(ムン・ジェイン)候補は韓-米自由貿易協定の毒素条項中の一つとして投資家-国家訴訟制を挙げている。 文候補は「韓-米自由貿易協定が締結されたことは尊重するが、投資家-国家訴訟制など毒素条項に対しては再協議を要求する」と話した経緯がある。

 次いで無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補は公約集で、投資家-国家訴訟制に対して「問題発生時、韓-米自由貿易協定文に基づいて国際規範に符合するよう改正に努力する」と明らかにした。

イ・ジョンフン記者

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/561960.html 韓国語原文入力:2012/11/22 20:52
訳J.S(2580字)

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