本文に移動
全体  > 文化

韓国の文学評論家「ハン・ガンのノーベル賞受賞は出版界にとって雷のような祝福」

登録:2024-10-15 08:53 修正:2024-10-15 10:55
13日午前、教保文庫光化門店で市民が営業開始を待っている/聯合ニュース

 作家で文学評論家でもあるチョン・ヨウルさんは14日、「毎年、檀君(タングン)以来最大の危機を迎えている出版界にとって、ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞は干ばつの恵みの雨どころではなく、雷のような祝福」だと表現した。

 チョンさんは14日午前、CBSラジオ「キム・ヒョンジョンのニュースショー」に出演し、10日にハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞を聞いた瞬間、「地球が揺れる感じがした」としてこのように述べた。

 チョンさんは「女性作家たちは、良い知らせがあれば一緒に喜ぶためにカカオトークやSNSでよく語り合うのだが、(ノーベル文学賞受賞を聞いて)それぞれの場所でみなとても喜び、(この日を)『ハン・ガンの日』にしようと言った」とも話した。

 ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞の意味も指摘した。チョンさんは「アジア、女性、若さ。この3つがとても重要だ」として、「これまでアジア女性の受賞はなかった。ノーベル文学賞そのものが、60~80代の長老作家たちに、生涯の功労を認める賞として多く授与されてきた」と語った。1970年生まれのハン・ガンさんは53歳でノーベル文学賞を受賞。ノーベル委員会のウェブサイトによると、これまでの最年少のノーベル文学賞受賞者は、1907年に41歳で受賞したラドヤード・キップリングだ。

 チョンさんは「(ハン・ガンさんは)作品が素晴らしいのは至極当然だが、さらにまたアジア、女性、若さという難しい悪条件を一つずつ跳び越えたのだと思う」として、「ノーベルの革新」だと述べた。

2016年5月、世界3大文学賞の一つ、ブッカー国際賞を受賞したハン・ガンさんが、ソウル麻浦区西橋洞のカフェで行われた記者懇談会で取材陣の質問に答えている/聯合ニュース

 オンライン、オフラインでハン・ガンさんの本を求める人の行列ができている中、ハン・ガンさんの作品世界への入門のアドバイスもした。チョンさんは「(ハン・ガンさんの)初期作品から最近の作品まで一貫しているのは、常に人間の傷をのぞき見る文学だということ」と紹介した。そして「ハン・ガン作品は、読んでいると本当に悲しくて憂うつになるため、多くの方が少し難しいと言う」として、「でも最後まで読むと、この悲しみの中に、この闇の中に、より美しい光があるということに気付く」と話した。

 続けて「闇を最後まで掘り下げれば、その後には、最初から明るく輝いている蛍光灯のような光ではなく、闇の中で明るく光を放つ何かを見出す」として、ハン・ガン作品の入門者には『少年が来る』(2014)を、女性読者には『菜食主義者』(2007)を勧めた。

チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1162366.html韓国語原文入力:2024-10-14 10:36
訳D.K

関連記事