二度にわたる劇的な逆転ドラマは準決勝でも再現されるだろうか。
クリンスマン・コリアが歴代サッカー韓国代表チームでは見られなかった二度にわたる終盤の大逆転で、アジアカップ準決勝に進出したことで、サッカーファンたちの期待が高まっている。底力不足を露呈してきた代表チームの姿とは異なり、相次ぐ土壇場の逆転劇で「負けないチーム」のイメージが固まっている。
韓国は7日午前0時、カタールのアフメド・ビン・アリー・スタジアムで行われる2023アジアサッカー連盟(AFC)アジアカップ準決勝で、ヨルダンと決勝進出を争う。1次リーグE組で引き分け(2対2)の後、再びぶつかる両チームが真剣勝負に挑む。サッカー統計メディアの「Opta」は、韓国の決勝進出の可能性を69.6%とみている。
もう一つの準決勝は、イランとカタール(8日午前0時)の対決に圧縮された。開催国カタールは準々決勝で、PK戦の末、ウズベキスタンを下した。
中東地域で開かれる大会がほかの地域の国々にとって難しいのは、準決勝に進出した4カ国のうち、中東地域以外の国は韓国が唯一であることからも明らかだ。日本やオーストラリア、ウズベキスタンなどは準々決勝で苦杯を喫した。
韓国は1次リーグで期待外れの試合(1勝2分け)をしたものの、決勝トーナメントから最強の力を発揮できたのは、アジア圏のレベルを超えた選手たちを保有しているためだ。攻撃陣のソン・フンミン(トッテナム)、イ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)、ファン・ヒチャン(ウルバーハンプトン)の3人は、どんな状況でも結果を変えられる存在感を放っている。
ソン・フンミンが3日、オーストラリアとの準々決勝(2対1勝)の延長線で、フリーキックで成功させた逆転ゴールはその象徴的な事例だ。相手守備の壁を越えて隅に突き刺さったキックの正確度は、チームに最も必要とされる瞬間にゴールを決められる超一級選手の力を立証した。1次リーグでペナルティーキック2発のみに終わったという批判は、このゴールで成り立たなくなった。オーストラリア選後半、アディショナルタイム6分に単独突破でペナルティーキックの判定を引き出した場面でも、勝負を決めるスーパースターの顔を見せてくれた。海外メディアは「ソン・フンミンのマジック」と表現した。
イ・ガンインはファンの視線を最も多く集めた選手だ。「彼にボールが行くと、安心する」という評価のように、ボールを扱う技術に長けている。オーストラリア戦の後半、相手守備ラインの後方から入り込むイ・ジェソンに合わせた感覚的なロービングパスだけでなく、延長後半の終盤に披露した大砲のような左足シュートは、極めて高いレベルの感覚をうかがわせる。イ・ガンインは1次リーグでファンタスティックなフリーキックでネットを揺らしたが、これもまた韓国チームのセットピースの武器となっている
ファン・ヒチャンは、決勝トーナメントを戦う韓国にとって戦術の軸となる存在だ。臀部筋肉の負傷で1次リーグ最後のマレーシア戦で交代出場したファン・ヒチャンは、決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦と準々決勝のオーストラリア戦で先発出場し、攻撃の活路を開いた。オーストラリアとの準々決勝後半のアディショナルタイムに決めたペナルティーゴールは、世界最高峰のイングランド・プレミアリーグで鍛えられた自信を裏付けるものだった。
オーストラリアのグレアム・アーノルド監督は、韓国の鋭い攻撃力について「非常に速いスピードで試合する欧州のトップリーグでプレーする選手が多い」ことをその理由にあげた。
ユルゲン・クリンスマン監督の存在感も高まっている。クリンスマン監督は準々決勝を控え、オーストラリアのメディアが韓国の弱点として監督の力を挙げたことで、プライドを傷つけられた。しかし、結果で評価を受けるのが監督だ。クリンスマン監督は「選手たちを馬のように走らせる」ことで、韓国を64年ぶりの優勝に導く名将候補になった。
キム・デギル解説委員は「日本は全員が上手いが、韓国は別格の選手がいつも登場する。組織的な完成度の面では劣るかもしれないが、彼らには勝負を変えられる個の力がある。クリンスマン監督が選手たちをうまく管理し、献身的にプレーできるようにしている。ますます良くなっている」と指摘した。