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華やかで優雅な氷の王国・天王星…13本の環をすべて撮影

登録:2023-12-21 06:47 修正:2023-12-21 08:58
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、2回目の観測写真を公開
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が9月4日に近赤外線カメラで撮影した天王星。周辺の9個の青い点は衛星。2時の方向から順にロザリンド、パック、ベリンダ、デズデモーナ、クレシダ、ビアンカ、ポーシャ、ジュリエット、ベルディータ=NASA提供//ハンギョレ新聞社

 1986年にボイジャー2号が通過して撮影した天王星は、地味な青色のボールと変わらなかった。しかし、2023年2月に28億キロメートルの距離から撮影したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に映った天王星は、夜光のように輝く環を持つ派手な姿をみせた。ボイジャー2号が可視光線で撮影した天王星は特別な特徴のない物静かな姿だったが、赤外波長で撮影した天王星はきわめて躍動的な氷の王国だ。

 米航空宇宙局(NASA)は、ふたたびジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を利用し、より高感度で撮影した天王星の姿を公開した。

 写真のなかの天王星は、環や衛星、嵐、オーロラが交わり、以前よりはるかに華やかで優雅な姿を誇っている。しかも、以前の観測ではみられなかった2本の環を含む13本の環すべてが写真にとらえられた。

 また、これまで科学者が確認した天王星の27個の衛星のうちの14個を写真に収めることに成功した。さらに、環の中にある小さな衛星まで写っている。環の周辺の青い点などが衛星だ。天王星と同様に衛星も98度の角度で横たわっている。

この写真には天王星の27個の衛星のうち1枚目の写真にはない5個の衛星(オベロン、ウンブリエル、アリエル、ミランダ、チタニア)が青い点として写っている=NASA提供//ハンギョレ新聞社

白い帽子をかぶって横たわる姿勢

 写真で最も目につくのは、帽子のように北極を覆っている大きな雲、すなわち極冠(polar cap)だ。雲は奥になるほど明るく強く光っている。天王星は自転軸がほとんど横になっており、極地は中央の地点にある。

 極冠の南側の境界線の下側には、いくつの明るい嵐を見ることができる。嵐がいつどこでどれほど頻繁に発生するかについては、天王星の季節と大気の状態にかかっている。

 極冠は天王星の北極が太陽側に向いている時、さらに明確になる。天王星が太陽の光をより強く受けるためだ。天王星の北極は2028年に夏をむかえる。天文学者らは、その時に天王星がどのような季節または気象の変化を示すのか期待していると、NASAは明らかにした。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が2023年2月に撮影した天王星。13本の環のうち11本が写っている=NASA提供//ハンギョレ新聞社

 横になって太陽を回る天王星は、太陽系で最も極端な季節の変化を示す。天王星の1年は地球を基準とすると84年であるため、1つの季節の長さは21年だ。1年のほぼ4分の1は太陽が片方の極側だけを照らすため、反対の極側は21年間、暗く寒い冬を過ごす。天王星の北極は現在、四季のうちの晩春を過ぎつつある。ボイジャー2号が天王星を通過した当時は南極が夏だった。南極は現在、太陽の反対側にある闇の世界だ。

1986年にボイジャー2号が撮影した天王星=NASA提供//ハンギョレ新聞社

大きさは地球の4倍だが自転周期は17時間

 科学者がこれまでに発見した5000個ほどの太陽系外惑星のうち、2000個が天王星に似た大きさだ。NASAは、天王星がこれらの太陽系外惑星を研究するうえで役立つデータを提供できると期待している。

 天王星は半径が地球の4倍で、地球よりはるかに大きいが、自転速度は地球よりはるかに速く、自転周期は17時間しかない。そのため、短い露出時間で嵐をはじめとする大気の特性や衛星を一度にすべて撮ることは難しい。数回かけて撮った写真を結合して完成する。今回の写真もこのような過程を経て撮られた。

 2022年5月、NASAの諮問機構である国立科学工学医学アカデミー(NASEM)の「惑星科学と宇宙生物学10年調査委員会」は、2023~2032年の宇宙探査機計画の報告書を通じて、今後10年にわたって推進する大型宇宙探査機計画の1番目として天王星探査機(UOP)を勧告した。予想される費用は42億ドル(約6000億円)だ。

 報告書が海王星より天王星に優先順位をつけた理由は、技術的な課題のためだ。太陽との平均距離が29億キロメートル(地球と太陽の距離の19倍)の天王星までは、スペースXの大型ロケット「ファルコンヘビー」でも宇宙船を送ることができる。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1121104.html韓国語原文入力:2023-12-21 00:49
訳M.S

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