本文に移動
全体  > 文化

「韓国映画の地位の変化、コリアン・アメリカンにチャンスを与えた」

登録:2023-10-07 09:45 修正:2023-10-07 13:57
第28回釜山国際映画祭「コリアン・ディアスポラ」 
ジョン・チョー、ジャスティン・チョン、スティーブン・ユァン、チョン・イサクが記者会見
6日午後、釜山市海雲台区のKNシアターで行われた「コリアン・アメリカン特別展:コリアン・ディアスポラ」の記者会見を終え、俳優のジョン・チョー(左から)、ジャスティン・チョン監督、俳優のスティーブン・ユァン、チョン・イサク監督がポーズを取っている/聯合ニュース

 「米国にいた時はそれぞれの仕事で忙しくて集まれなかったコリアン・アメリカンの同僚たちに、韓国の釜山で会うことができて本当に嬉しい」(ジャスティン・チョン)

 いま米国で最も忙しい映画人の一人である俳優のジョン・チョーとスティーブン・ユァン、チョン・イサク監督とジャスティン・チョン監督が一緒に舞台に上がった。合わせるのが難しい日程を最後まで調整するなど、母国で集まるために奮闘した彼らは、第28回釜山国際映画祭の特別展「コリアン・ディアスポラ」に参加し、5日と6日の2日間にわたって観客と対面した。

 4人の監督と俳優は、白人中心の米エンターテインメント業界で偏見と闘いながらキャリアを積み、最近目立った成果を見せた代表的なコリアン・アメリカンだ。チョン・イサク監督は2021年、俳優ユン・ヨジョンにオスカーをもたらした映画『ミナリ』を演出し、スティーブン・ユァンは全世界で話題を呼んだネットフリックスドラマ『BEEF/ビーフ』で主演を務め、韓国系米国人2世の人生を細やかに演じた。ジョン・チョーは2018年、ハリウッドの主流スリラーでアジア系俳優として初の主演を務めた映画『search/サーチ』が大きな成功を収め、ジャスティン・チョン監督はアップルテレビの最高成功作『パチンコ』をはじめとする様々なドラマや映画の演出、演技などで韓国からの移民の話をハリウッドに定着させるのに大きな役割を果たした。

 釜山市海雲台区(ヘウンデグ)のKNシアターで行われた6日の記者会見で、スティーブン・ユァンは「最近コリアン・アメリカンが作った作品が大きな共感を得ているのが嬉しい」とし、「これは、違いを認めあい互いの距離感を尊重しながらも、同時に皆がつながっているということを告げる大衆文化界の大きな変化だ。ディアスポラとして生きていく人への励ましになる」と語った。

 チョン・イサク監督は「私たちの世代はハリウッドにロールモデルがなかった。親世代に映画の仕事をする人がほとんどいなかったばかりか、私たちが映画の仕事をすると言えば強く反対された」とし「似たような子ども時代を経て自分たちのやり方でキャリアを切り開いた移民2世の話が、多くの人々の共感を得る理由は、韓国人でなくとも、根を下ろせていないという感覚を抱きながら生きている人々(移民)が徐々に増えているからではないだろうか」と述べた。ジャスティン・チョン監督も「移民の話は、それぞれの島に住んでいると考えている現代人が、自分一人ではないんだと思える機会を与えてくれる。韓国人(移民)の話を観て、インドやアルメニア出身の人たちが『私もそうだ』と語ってくれることが多い。スティーブン・ユァンが出演したドラマ『BEEF』が素晴らしいのは、移民の人生を通じて現代人が普遍的に共感できるテーマを引き出したため」と語った。

 俳優のジョン・チョーは、自伝的な経験をもとに、1992年のロサンゼルス暴動を素材に人種差別と移民少年のアイデンティティの葛藤を描いた小説『問題児 Troublemaker』を昨年書き、アジア太平洋米国文学賞を受賞した。ジョン・チョーは前日開かれたイベント「アクターズハウス」で「幼い頃、両親はあるコリアン・アメリカンがSAT(米国の大学入学準備試験)で満点を取ったという韓人向け新聞記事を見せて、お前はどうしてこうできないのかと叱った。韓国移民2世のほとんどはこういう話を聞いて育ち、常に完璧じゃない、間違っているという考えに陥って生きている。もっと率直になろう、私たちは完璧じゃないんだ、という話をしたかった。それを本に書くことになった」と語った。また「最近、映画やドラマだけでなく文学界でも優れた移民の物語を見せてくれるコリアン・アメリカン作家たちの活躍が目立って、誇らしい思いだ」と述べた。

 ジョン・チョーは「映画の中心軸が、長い間独占していたハリウッドから急速に多層的に変わっている。韓国映画の地位の高まりが良い例」だとし「韓国映画が国際的に脚光を浴び、韓国コンテンツの地位が上がり、今はコリアン・アメリカンの映画人がこの恩恵を受けている。文化的激変の時代、芸術家の一人としてポジティブな役割を果たしたい」と抱負を語った。

釜山/キム・ウンヒョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1111162.html韓国語原文入力:2023-10-06 17:48
訳C.M

関連記事