米国は世界最高の宇宙探査国だが、小惑星探査においては日本に遅れを取っている。日本の探査機が二度も小惑星のサンプルを地球に持ち帰る間、成果を出せなかった米国の探査機が、ついに小惑星のサンプルを持って地球に帰還する旅路に就いた。日本より遅れたものの、採取したサンプルの量ははるかに多い。
米国航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「オシリス・レックス」(OSIRIS-REx)が10日午後4時23分(米国東部時刻基準、日本時間11日午前5時23分)、地球に近い小惑星「ベンヌ」(Bennu)のサンプルを載せて2年半にわたる地球帰還の途に就いた。
ベンヌは現在、約2億8700万キロメートル離れたところで太陽周回軌道を回っている。NASAによると、オシリス・レックスは同日、時速1000キロメートルの速度でベンヌの軌道を離れた。
オシリス・レックスは2018年12月、ベンヌの軌道に到着し、1年半以上ベンヌを遠隔探査した後、2020年10月、ベンヌの表面にしばらく着地し、サンプル採取に成功した。
オシリス・レックスが収集したサンプルは200~400グラムに達するものとNASAは推定する。最小目標値の60グラムよりは多いが、希望の1キログラムには大きく及ばない量だ。はやぶさ2が持ち帰った「リュウグウ」のサンプル5.4グラムに比べると、大きな収穫だ。サンプルが多いほどより多様で精密な分析が可能である。
_______
45億年前、太陽系形成初期の秘密解き明かす手がかりになるか
ベンヌは大きさ490メートルのダイヤモンド型小惑星で、太陽系形成初期の45億年前にさらに大きな小惑星から分離した一種の太陽系の残骸だ。科学者たちはベンヌがこれまで単独で宇宙をさまよってきたため、太陽系初期の状態をそのまま保存しているものと期待する。ベンヌは炭素成分が多く、外見は黒く粗い。
ベンヌのような小惑星を探査するもう一つの理由は、地球に衝突する可能性を調べ、これに備えるためだ。地球近傍天体(NEO)に分類されるベンヌは、確率は非常に低いものの、2175~2199年に地球と衝突する可能性があると推定される。今回の探査やサンプル採取により得られたデータは非常に有効に使われる可能性がある。
_______
地球出発から帰還までの7年間にわたる道のり
2016年9月に地球を出発して5年ぶりに帰郷の途に就いたオシリス・レックスは今後、金星の内側を通過する軌道で太陽を2周回り、計23億キロメートルに達する宇宙経路を辿って、2023年9月24日に地球に到着する。
しかし、地球に着陸はせず、ベンヌの岩石や土、埃などを収めたカプセルをユタ州砂漠上空から落とす予定だ。NASAはこの際、カプセルの分離に失敗した場合、2025年に再び試みる計画だ。
米国より先に、日本の探査機「はやぶさ2」は昨年12月、小惑星のリュウグウの表面で採取したサンプルを持って地球に帰還した。また、2013年には、はやぶさ1が別の小惑星「イトカワ」から微量の土壌サンプルを地球に持ち帰った。