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韓国人はなぜ北朝鮮の脅威に無感覚なのか

登録:2020-09-18 08:57 修正:2020-09-18 12:06
[書評]『分断された心たちー分断の社会心理学』キム・ソンギョン著
『分断された心たちー分断の社会心理学』キム・ソンギョン著(創批・1万8000ウォン)//ハンギョレ新聞社

 南北分断体制は、この70年間、国内政治だけでなく国際社会でもいつも懸案として扱われてきた。北朝鮮のミサイル発射や核実験は、大半が世界にリアルタイムで報道され、国際的な緊張感をもたらした。しかし、外部で朝鮮半島の戦争危機に対する懸念が高まった時でも、韓国社会は平和を保ち、人々は何事もなかったように日常を過ごしてきた。外信は、北朝鮮の挑発映像と活気に満ちたソウルの街角の写真を共に報じたりもした。

 分断問題を「心」をキーワードにして分析する著者は、分断に感情的距離を置く韓国人の態度に注目する。このような無感覚には、自分では解決できない恐怖から脱するための心理的防御機制の側面がある。しかし、これは平和に対する「不感症の資源」にもなる。「何が問題なのかを感じ取れない人たちが、何が平和な状態なのかを知るのは不可能に近い」

 北朝鮮に対する敵対感は分断に対する無感覚とコインの裏表の関係にある。独裁政権下でのスパイ事件や政治・社会的不満に付けられる「アカ」のレッテル、下火になったかのように見えるとはいえ、依然として太極旗(韓国の国旗)集会などで幅を利かす北朝鮮陰謀論などは、いまだに韓国社会の一軸を支えるイデオロギーであり、集団的感情だ。

 著者は韓国人が日常で「“何気なく”行う数多くの相互作用が、実は分断という規範の下で遂行されている実践」だと指摘する。「公権力と序列に従順な習性や集団内の彼我を区分する慣性、徴兵制による軍事文化的行動、過度な集団主義的意識、強固な家父長制的文化とそれに内在している性暴力」などがその例だ。著者は分断が構造的に解体されない限り、「分断的な心」の根本的な変化は難しいが、逆に無感覚や敵対感、嫌悪といった分断的な心が共感、連帯感に転化してこそ、分断の社会構造にも亀裂が入ると主張する。

キム・ウンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/962677.html韓国語原文入力:2020-09-18 05:00
訳H.J

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