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韓日対立の北風にも散らない花、“カルチャー”

登録:2019-09-02 09:37 修正:2019-09-02 10:13
韓日両国交流、三つのシーン  

「ソウルドラマアワード」で受賞した日本の俳優 
三浦春馬「韓国の皆さんに敬意」と感想述べ 

「釜山コメディフェスティバル」舞台に出た  
日本のコメディアンら、韓国に対する愛情を示す 

共同演出・共同出演の作品で 
世界舞台を準備する人形劇団も
「ソウルドラマアワード」で「アジアスター賞」を受賞した日本の俳優・三浦春馬が受賞の感想で両国関係の正常化に対する願いを述べた=ソウルドラマアワード組織委員会提供//ハンギョレ新聞社

 「隣国として私たちはときどき難関にぶつかることもあります。でもお互いにもっと理解しようと努力すれば、このような難関をいっしょに解決できると信じています」

 28日に開かれた「2019ソウルドラマアワード」で「アジアスター賞」を受賞した日本の俳優の三浦春馬の受賞の感想は意味深長だ。彼は「韓日関係」という単語は触れなかったが、2分弱の受賞の感想を通して、両国の関係正常化に対する願いを示した。「エンターテインメントは人々を結びつける力があると思います。今後も作品活動を通じて、アジアの国々の絆を強める役割を担い続けたい。この場に立たせていただいたことで、より一層韓国の皆さんへの敬意と愛情を持ちました」。

 三浦春馬は1997年に子役でデビューした日本の代表的な人気俳優だ。韓国では現在フジテレビで放映されている韓国ドラマのリメイク作「TWO WEEKS」の主役として知られている。日本の有名俳優が、最近のように敏感な時期に公式の場で韓日関係に関する発言をするのは容易ではない。特に、右翼論争の的となっている映画「進撃の巨人」「永遠の0(ゼロ)」などに出演した俳優という点で目を引く。ドラマアワードの関係者は「日本で反韓感情が大きくなりつつあり、受賞の感想で俳優が被害を受けはしないか、私たちが心配したほどだった」とし、「日本国内の人気俳優がこのような発言をするのは驚くべきこと」だと話した。

 韓日関係が悪化の一途をたどっている中でも、文化交流は続けなければならないという声は変わらない。1998年の韓日文化全面開放以来、長い間両国の文化共有の経験が蓄積されており、これを冷え込んだムードを緩和させるカギに活用できるという分析だ。29日、パク・ヤンウ文化体育観光部長官と日本の柴山昌彦文部科学相は仁川(インチョン)で非公開の二者会議を開き、「韓日文化交流は続けられるだろう」と強調した。

「釜山国際コメディフェスティバル」では韓日のコメディアンたちが一緒に「KOKOONとワールドワイド」の舞台に立った。彼らは公演中「アイ・ラブ・コリア」など韓国に対する愛情を示した=釜山国際コメディフェスティバル提供//ハンギョレ新聞社

 韓国と日本のコメディアンたちも一緒に舞台に立った。9月1日まで開かれた「第7回釜山国際コメディフェスティバル」に参加した日本最大のコメディアンの所属会社である吉本興業のウエスP、アキラ・コンチネンタル・フィーバーと、韓日のコメディアンたちで構成された5人組のギャグアイドルグループのKOKOONは、24~25日の公演「KOKOONとワールドワイド」を披露した。これらは韓日関係が悪化し、主催側がパンフレットから公演紹介をはずし、当初のタイトルだった「KOKOONと吉本」を修正するといった“過度な自粛”のなかでも、黙々と公演を進めた。とんちんかんなマジックで笑いを誘ったアキラ・コンチネンタル・フィーバーは公演中に太極旗を持ったり「アイ・ラブ・コリア」と書かれたプラカードを見せたりするなど、韓国に対する愛情を隠さなかった。KOKOONの韓日メンバーらは公演終了後、「公演をきっかけに両国関係が再び良くなってほしい」と話した。観客は100人ほどだったが、吉本興業の韓国事務所関係者は「両国の関係が良くないという状況にもかかわらず観客は良い反応を見せ、日本のコメディアンたちが感謝していた」とし、「文化交流レベルでも公演を続けなければならないと思った」と話した。

韓国の人形劇団「芸術舞台サン」と日本の影絵劇「劇団かかし座」が共同企画し、両国で舞台を上演した人形劇「ルル島の秘密」=芸術の殿堂提供//ハンギョレ新聞社

 韓日が手を取り合って世界の舞台に挑戦する試みも、演劇界で行われている。韓国の人形劇団「芸術舞台サン」と、影絵劇を行う日本の「劇団かかし座」が共同制作し、先月25日までソウルの芸術の殿堂で披露した人形劇「ルル島の秘密」は、2012年に交流をはじめた両国間の劇団が5年間一緒にアイデアを出して完成した。演出は共同で担当し、韓国人俳優2人と日本人俳優2人が参加する。3月に日本での初公演の後、8月ソウル公演に続き、9~10月には果川(クァチョン)と仁川(インチョン)などで幕を上げ、来年5月に国際児童青少年演劇協会世界総会に参加する予定だ。

 2000年代はじめ、ドラマ「冬のソナタ」で日本国内に韓流ブームが吹き、韓国コンテンツはアジアに広がり、これを踏み台にして成長したKカルチャーの地位はいまや世界的に高まった。韓国コンテンツ振興院の2017年度文化コンテンツ産業(出版・映画・ゲーム・音楽など)の統計調査によると、日本に対する輸出額は16億5597万5000ドルで輸入額2億1408万6000ドルの7~8倍にのぼるなど、文化コンテンツで韓国は日本を超えた。専門家らは、文化交流を通じて政治、経済で生じる両国間の緊張を緩和させる役割を探さなければならないと主張する。昨年10月、韓国最高裁(大法院)の徴用賠償判決後、テレビ朝日が防弾少年団(BTS)の出演をキャンセルするなど「韓国バッシング」が起きたりもしたが、BTSの東京公演を可能にしたのは日本のARMY(BTSのファンクラブ)たちの声だった。尚志大学メディア映像広告学部のキム・ギョンファン教授は、「韓日文化交流は政治、経済とは切り離して別途進めるべきだ。文化面では韓国が主導権を握っているので、文化行事をあえて行わない必要はない。戦線は経済の方に限らなければならない」と話した。

ナム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/907952.html韓国語原文入力:2019-09-01 19:49
訳C.M