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[ルポ]再び到来した“漫画喫茶の全盛時代”

登録:2017-01-23 01:31 修正:2017-01-30 02:53
「ウェブ漫画時代」にまた生まれる「漫画カフェ」たち

新村・江南などに漫画カフェ盛業中

もう臭くなく快適な雰囲気“クルバン”
ラーメンは基本…コーヒー・ビール・餅も
父母たち、子供と一緒にマンガ本デート

古本の値段が上がりフランチャイズも増加
独立型貸漫画屋は売上急減危機に

漫画カフェ「楽しい徒党」のメニュー「スパムバターライス」。漫画「深夜食堂」からアイデアを得た=「楽しい徒党」提供//ハンギョレ新聞社

 ある日曜日の朝、K氏はふと紙の漫画が読みたくなった。そう思うと携帯電話の画面で読むウェブ漫画はちょっと違うような気がした。後が知りたければぱらぱらとめくって読める便利さ、1冊1冊積みあげていく満足感、ごろごろして読みながら眠る怠惰さ、先に読み始めたシリーズを他の人が追いついてくるときの緊迫感も感じてみたかった。近所の漫画レンタル店を検索してみた。歩いて行ける距離では見つからず、漫画喫茶を検索してみた。なかった。地元ごとに一つずつあったあの多くの漫画喫茶は、みんなどこへ消えてしまったのだろうか。しかし、すぐに答えが見つかった。

 「ウェブ漫画時代」に紙の漫画への渇望を抱いた「漫画カフェ」がこの2~3年間、雨後の筍のように増えている。流動人口の多いところに密集していて、新村(シンチョン)、江南(カンナム)、弘大(ホンデ)の周辺では、10軒あまりの漫画カフェを見つけることができる。漫画カフェのフランチャイズ事業も3~4社が乱立するほど盛んだ。建物の地下や2階、繁華街の路地裏などに場所を置いている点は昔の漫画喫茶と似ている。しかしかび臭いにおいはなく、プラスアルファがある。運営する人の個性が感じられる「複合空間」として、訪れる店ごとに一味違った楽しみを感じることができる。今度の旧正月連休には一人でも寂しがってばかりいないで、漫画カフェに浸ってみることもできる。

漫画カフェ「楽しい徒党」の書斎の下にはもう一つの秘密のスペースがある=「楽しい徒党」提供//ハンギョレ新聞社

新しいスタイルの漫画カフェの元祖「楽しい徒党」=パク・ミヒャン記者//ハンギョレ新聞社

■漫画、ラーメン、そして…

ソウル大学路(デハンノ)の「演劇より(観てから)漫画」に入ると、靴箱の鍵を受け取り(靴箱で収容人数を制限する)カウンターに渡すと番号札をくれる。漫画喫茶のように漫画カフェも時間当たり料金制だ。漫画を選ぶ時間10分を別に与えてくれ、時間当たりの料金は2400ウォン(約240円)だ。平日終日券は1万ウォン(約1000円)、休日終日券は1万5千ウォン(約1500円)だ。カカオトークで予約することもできる。店の壁の一面には、楽に横になって読むことのできる洞窟部屋が2階に設けられている。一方の壁側には「正しい姿勢で精読」やパソコン作業のできるテーブルがあり、ソファーもある。

 漫画喫茶では缶飲料とラーメンしかなかったが、漫画カフェでは「おいしいコーヒー」が基本だ。簡単に調理できる食べ物も提供される。ここにまた漫画カフェの特色が生きる。「演劇より(観てから)漫画」では、カップラーメンやチーズカレー餅、ナチョス、クロックムッシュ、カップご飯などを販売している。生ビールもある。ソウル西橋洞(ソギョドン)の「楽しい徒党」では、漫画「深夜食堂」からモチーフを得た猫まんま、スパムバターライス、明太子バターライスなどを販売する。ラーメンもカップラーメンではなく、茹でて作ってくれる。

 「望遠漫房(マンウォンマンバン)」の支店であるソウル龍山区(ヨンサング)解放村(ヘバンチョン)の「新興漫房(シンフンマンバン)」では「ゆっくり餃子」が名物だ。「(梨泰院の有名な餃子店である)ジョニー・ダンプリングより餃子も大きい」というレビューもある。新村の「ピーマンとトマト」では、ジャージャー麺を注文できる。乾き物も売っている。「延南洞漫画」ではビールを売り、1本当たり1時間無料だ。

「演劇より漫画」のハチの巣型洞窟部屋。部屋の形がフランチャイズ店に活用されたりもした=「演劇より漫画」提供//ハンギョレ新聞社

デートに人気の「ディングルディングルアルタミラ」=パク・ミヒャン記者//ハンギョレ新聞社

■マニアも、ウェブ漫画も

漫画カフェが始まりは2014年4月、西橋洞の「楽しい徒党」だ。代表のキム・ミンジョン氏は「学生の時は漫画がとても好きで、よく漫画喫茶に行ったりしたが、会社を退勤してから漫画喫茶に行くには快適でない空間だった。書斎兼遊び場にしてみようと思って作った」という。漫画喫茶や漫画レンタル店が消えて行った頃だったので「事業的に確信はなかった。趣向のある人たちが来れば維持はできるんじゃないか」と思った。洞窟部屋の元祖でもある。

 漫画・グラフィックノベルまで3万5千冊を備え、漫画カフェの中ではライブラリの規模が最も大きい。「出た新刊はほとんど買っている。スペースの限界のため選択と集中は必要で、武侠小説、アダルト漫画よりはグラフィックノベル、一般コミックスに集中している」

 訪れる客も店の性格になる。「たまに整理すると、こんな本も読んだのだなあ、と思う漫画マニアが多い。3年近く運営したが、よく手に取られてすり減ったもの以外は皆きれいに本を読んでいる。盗難も5件程度しかなかった」。客が最も多く読む漫画は「スラムダンク」と「ワンピース」だ。「本がすり減って3回ほど購入した。多分どこでも同様だろうと思う」

 漫画が目的でなく訪れる客もいる。「漫画を読んでいた人が、ある時はパソコンを持ってきて作業をしています。どこよりも静かだと言ってます」。コーヒー1杯注文して長時間座っていると人の目が気になるカフェに比べ、時間当たりで計算されるため顧客が「堂々と」占有できるのが強みだ。

 出版社に勤めて、2014年末に「演劇より(観てから)漫画」を始めたパク・チョンボク社長もまた漫画に対する思い出が多い。「日曜のたびに妻と一緒に家の近所の漫画喫茶に行くのが日課だった」。会社を辞め「妻の提案だが、『自分の家にお客さんを招待する』ようなコンセプト」でカフェ型漫画喫茶を構想した。もともと漫画マニアであったので、漫画を探す際に古本業者にリストを渡した。「演劇より(観てから)漫画」の特徴は「大学路周辺なので若い人が多く、ウェブ漫画の原作の漫画がよく読まれる」という。客をひきつける源泉は、やはりコンテンツだと信じる。「好奇心で来た人に再び来てもらうためには、読みたい漫画を備えておかなければならない」

「演劇より漫画」は漫画カフェで一番重要な「漫画コンテンツ」に忠実だ=「演劇より漫画」提供//ハンギョレ新聞社

■フランチャイズの襲撃

IMF(1997年)以降、雨後の筍のように増え、全国2万軒に達していた漫画喫茶は、現在1千軒あまりの水準だ。食べ物を売る場合は休憩飲食店、酒を売る場合は一般飲食店、レンタルもする場合は図書レンタル業の許可を受けるため、「漫画喫茶」に対する統計は確認不可能だ。ただ、古本漫画流通業者アニポップのチョン・サンジュン代表は「漫画家ファン・ソンさんの漫画は全国の漫画喫茶でみな購入していると考えられるが、約800冊ほど新作として入庫されている」とし、全国で運営中の漫画喫茶の規模を予想した。このような漫画喫茶も新しい企画を探して変化している。千軒あまりの漫画喫茶があった釜山にも、昨年から漫画カフェができ始めた。

 このような地殻変動の先頭にはノルスプ、ボルトゥン、カートゥーン空間などフランチャイズ漫画カフェ業者がある。「プレミアムカートゥーン・アンド・ブックカフェ」を標榜するノルスプは2015年11月末、京畿道安山市(アンサンシ)に1号店を出したのをはじめとし、1年で京畿道東灘(トンタン)に100号店をオープンし、現在は130号店まで拡張した。400坪以上の規模を持つ店舗も多く、以前の「チムジルバン(健康ランド)」が登場して狙っていた「複合的娯楽」を提供する。レポートを書く学生、寝不足の青年、デートにきた恋人たちなど「漫画」と特に関連がなくても楽しめる「複合空間」を標榜する。メニューでもブランチやピザやパスタなど、本格料理も披露している。20世紀末に「不健全」のレッテルが貼られもした漫画喫茶のイメージもまた刷新しようとしている。ノルスプは「ビールを売らず、未成年者鑑賞不可の漫画も置かず、親がキッズカフェとして活用することもある。子どもを連れてきて数時間後に戻るようなかたちで利用される方もいる」と話した。

島漫画カフェは白と青で明るい雰囲気を演出した=パク・ミヒャン記者//ハンギョレ新聞社

■パン屋フランチャイズのようになるのか

フランチャイズが従来の漫画喫茶の商圏周辺に布陣したことで、アイデアを使って勝負をかけた初期の漫画カフェのオーナーたちの悩みは深い。「楽しい徒党」のキム・ミンジョン代表は「徒歩1分の距離に漫画カフェが3軒できた。焼き貝屋、チムタク(鶏の煮物)屋、サーモン食べ放題屋のような存在になったのではないだろうか」と語る。フランチャイズのインテリアがこれら初期漫画カフェを模した場合が多く、「著作権」に関する問題も提起される。

 「演劇より(観てから)漫画」のパク社長は「周辺の漫画カフェもそうだが、売り上げが目立って減った」と言い、「それなりに個性で構成されていた漫画カフェ市場が、一辺倒の方式に変わってきている」と話した。フランチャイズの漫画カフェはソーシャルコマースなどを通じて割引クーポンを撒き、市場価格を揺さぶりもしている。さまざまな面で、フランチャイズのパン屋が町のパン屋を脅かした事例と似ている。

 パク社長は古本漫画の価格上昇も尋常ではないと話した。「漫画を揃えた頃は1000ウォン(約100円)だったが、今は2500~3000ウォン(約250~300円)で取引されている。2年間で2~3倍に高騰したことになる。漫画市場は古本を基本としている。古本は限られているのにフランチャイズは開業しなければならないため、価格が跳ね上がっている」

 アニポップのチョン代表は「漫画カフェ起業ブームは昨年夏がヤマだと思ったが、現在も続いている」とし、「3月の学期始業とともに閑散期になると、コンテンツを備えていないフランチャイズ店は倒産の危機に追い込まれる場合もある」と話した。パク社長は「古本を備えて開業する市場なので、一つが倒産すると一つが立ち上がるという構造だ。従来の独立型漫画カフェや漫画喫茶が滅び、フランチャイズが立ち並ぶのではないか」と憂えた。

‘청춘문화싸롱’의 아파트형 방=박미향 기자//ハンギョレ新聞社

ク・ドゥルレ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2017-01-23 11:00

https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/779825.html 訳M.C(3936字)

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