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[書評]日本による韓国併吞過程の固定観念を覆す2冊

登録:2017-01-20 05:28 修正:2017-01-20 07:31
『日本の韓国併合強制研究』イ・テジン著/知識産業社・3万ウォン//ハンギョレ新聞社

 焦点はそれぞれ異なるが、19世紀末から20世紀初めにおける日本の朝鮮半島侵略と大韓帝国の滅亡過程に関する既存の事実や固定観念を根本的に覆す2冊の本が出た。日本の韓国併合が「強制、欺瞞、犯罪による」野蛮な侵略だったことを当時の条約文などの文書の精密な検証を通じて明らかにしてきた国史学者イ・テジン氏の『日本の韓国併合強制研究』と、政治学者ファン・テヨン氏の『甲午倭乱と俄館亡命』だ。

 イ・テジン氏の本は1995年に出た彼の『日本の大韓帝国支配-“保護条約”から“併合条約”』(カササギ出版)をもとに、1904年の露日戦争開戦と同時に強要された「日韓議定書」から「韓国併合条約」に至るまで条約関連の全過程を再び体系的に整理・補強したものだ。ソウル大学の奎章閣に収蔵されている大韓帝国の政府文書と、高宗が秘密裏に米国人宣教師ホーマー・ハルバートに預けた外交全権委任状や正式な国交を結んだ外国元首あての親書などを精密に分析し、関連国際会議の発表文や外国の研究などを綿密に検討してきたイ・テジン氏は、乙巳条約や韓日併合条約、日韓議定書など日本が強制した文書から、明らかな“捏造”の証拠を数え切れないほど見つけ出している。合法的外交文書としての基本要件さえ備えていないもので、当初から無効だったということだ。同書は、その真実を示す資料写真も収録した。日本の月刊誌「世界」に連載されたこともあり、韓国併合をテーマにしたハーバード大学の国際学術会議の開催を導いたうえに、韓国併合100周年韓日知識人共同声明の発表にも影響を及ぼしたイ・テジンの研究は、韓国併合の国際法的正当性を主張してきた植民史観とその変種である自由主義史観に対するもう一つの痛烈な反撃だ。

『甲午倭乱と俄館亡命』ファン・テヨン著/清渓・4万8000ウォン//ハンギョレ新聞社

 『甲午倭乱と俄館亡命』は題名からして転覆的だ。甲午倭乱は、清日戦争が起きた1894年(甲午年)から閔妃(明成皇后)が殺害された1895年(乙未年.)まで、高宗がロシア公使館に身を預けた、いわゆる「露館播遷」が発生した1896年(丙申年)の事件、すなわち日本の侵略により国権を喪失して行ったその時期(第1次侵略戦争)を16世紀末の壬辰年のそれに匹敵する「倭乱」と規定する。ファン・テヨン氏はまた、朝鮮半島の占領を目標にした1904年(甲辰年)の日本による露日戦争の挑発から1910年の併合までを、甲辰倭乱(第2次侵略戦争)と呼ぶ。露館播遷を俄館亡命に改めたことからも著者の意図がうかがえる。王が宮城を離れてロシア公使館に避難したという意味の露館播遷は、無能で腐敗した王家の無策な避難というニュアンスが強いが、著者は、これは過度に受動的な観点であるだけでなく、歴史的事実とも合致しないと見ている。当時、日本の侵略に対する韓国朝野の抵抗は全面的かつ強固であり、高宗がロシア公館に行ったのは、受動的避難ではなく、積極的抗戦のための亡命だったということだ。その型破りなアプローチからして興味を引く。

ハン・スンドン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/779524.html 韓国語原文入力:2017-01-19 19:31
訳H.J(1497字)