高麗大大学院総学生会が企画
ウェブトゥーン『悲しき大学院生の肖像』
1回当たり照会数5千件超える
成果横取りや教授のセクハラなど
情報提供を基に描くキム・チェヨン氏
「日常化された不条理の深刻さを込めた」
生物工学の博士課程を始めた大学院生のKさんは、いつも怠けてばかりの先輩のために、なんとなくイライラしている。先輩が怠ければその被害が直ちにKさんに及ぶためだ。教授の“傍観”の下、先輩の課題まで任され単独で進めた研究論文には、先輩の名前が共同著者として載る。「ぼくらが学生だって?勘違いするな、ぼくらは奴隷さ」。Kさんは先輩のこの言葉を噛みしめ、誤った慣行を“理解”する現実に挫折してしまう。
大学院で起きている不条理や矛盾などを扱ったウェブトゥーン『悲しき大学院生の肖像』第3話「理解する学生」に登場する話だ。ウェブトゥーンという形式を借りているが、悲しき大学院生の肖像に込められた話はすべて、全国の大学院生の生々しい情報提供を基にした事実だ。高麗大学一般大学院総学生会(高大院総)は昨年11月から彼らのホームページとネイバー・ウェブトゥーン「ベスト挑戦」などで、7回にかけウェブトゥーンを載せたが、教授の暴力やセクハラ、研究成果横取りなどの不当さを訴える情報提供は、今もたくさん寄せられている。
高大院総がこのウェブトゥーンを企画することになったのは「学問をする大学空間で“人間対人間”としての研究倫理が成り立っていない問題」を指摘するためだ。高大院総から事情を聞いて高大院総を描くキム・チェヨンさん(21、ソウル大学視覚デザイン学科)は「大学院生が体験している現実は、今まで以上に就職養成所に転落している『大学の危機』と無縁ではないと感じた」とし「大学院で日常的に行われる暴力問題の深刻さを扱いたい」と話した。ウェブトゥーンを描く過程でキムさんが主眼を置くのは「誰も一方的な加害者や被害者として描かない」ことだ。キムさんは後輩に自身の責任を転嫁した後、私利を得る先輩の話を紹介した第3話を描く時が「最も辛かった」といい、「似た経験をすれば誰だってあんな風に無気力になる気がした」と話す。
大学院で広がる不条理に対するこうした接近方法に、インターネットユーザーも熱く反応している。ウェブトゥーンが掲載されるたびに5000件を超える照会数を記録するかと思うと、「こういう小さな動きがどんな被害でも些細なことだと考えない文化を定着させるだろうと信じる」といった応援のコメントが寄せられている。
29日に高大院総のホームページには仕事をして勉強する「学生の気持ち」の理由が扱われ、来月は同僚大学院生にセクハラされた後、うつ病に罹った大学院生の話を伝える予定だ。キムさんは「大学院生が辛い現実を語ることに『自ら選択したこと』と責任を転嫁すべきでない」と訴えた。
韓国語原文入力:2016-01-27 22:09