登録 : 2015.06.17 22:55 修正 : 2015.06.18 07:29

 出版社にEメール
 「読者には申し訳なく思うが、私を信じてほしい」
 創作と批評社
 「両作品の類似性比較は難しい…盗作根拠薄弱」

小説家の申京淑氏 //ハンギョレ新聞社

 小説家の申京淑(シン・ギョンスク)氏の短編『伝説』が日本の小説家の三島由紀夫の作品を盗作とする主張に対し、申氏が全面的に否定した。

 申氏は17日、出版社の創作と批評社にEメールを送り、「かなり以前に『金閣寺』を読んだ以外には読んでいない作家で、該当作品(『憂国』)は知らない。このような騒乱を体験することになり、私の読者の皆様に申し訳なく心が痛い。これまで波風を共に受けてきたように、私を信じて下さるよう願うのみで、真実か否かとは関係なく、こうしたことは作家に傷だけが残ることになるので対応しない」と明らかにした。

 『伝説』が収録された小説集『ずっと前に家を出た時』と『ジャガイモを食べる人々』を出版した創作と批評社も「実際、二つの作品の類似性を比較することはとても難しい。類似している点は、新婚夫婦が登場するという程度」として「善男善女の結婚と新婚の時にありがちな性愛に目を開く場面の描写は日常的な素材であることに加え、作品全体を左右する独創的な描写でもない」と明らかにした。 また「引用場面は二つの作品共に全体に占める比重が大きくない」として「該当場面のいくつかの文章に類似性があっても、それを根拠に盗作云々することには問題がある。 盗作論議で争うことになる“包括的非文献的類似性”や“部分的文献的類似性”を持って問い詰めれば、盗作と判断する根拠は薄弱」と反論した。

イ・ジェソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

以下は申作家と創作と批評社の立場文全文

■申京淑作家の立場

 出版社が作家に問い合わせた結果、次のような立場をメールで送ってきた。執筆中には連絡がほとんど不可能な申京淑作家は、現在新作執筆のために数カ月間ソウルを離れている状態だ。

 「かなり以前に『金閣寺』を読んだ以外には読んでいない作家で、該当作品(『憂国』)は知らない。 このような騒乱を体験することになり私の読者の皆様に申し訳なく心が痛い。これまで波風を共に受けてきたように、私を信じて下さるよう願うのみで、真実か否かとは関係なくこうしたことは作家に傷だけが残ることになるので対応しない」

■創作と批評社文学出版部の立場

 マスコミと読者の方々に『伝説』と『憂国』の両方を読んで判断するようお願いする。 両作品の理解を助けるために、少し短く整理すれば以下のとおりだ。

 三島由紀夫は日本の極右指向の民族主義者で、1970年にクーデターを主張する演説を行い45歳で割腹自殺した作家だ。 1960年に発表した『憂国』は作家の晩年の人生を予想した短編と見て差し支えないが、作品の主人公は天皇を絶対的に信奉し男性(中心)主義に陥った極右民族主義者だ。

 (作品の)時代的背景は、1936年天皇直接統治を主張してクーデター(2.26)を起こした勢力が三日天下で失敗した日だ。 クーデターの大義には同調したが、新婚である点を考慮した友人が排除したせいで義挙に参加できなかった主人公(武島信二中尉)が割腹を決意して、「天皇の軍隊万歳」という遺書を遺して自殺する過程を詳細に描き(腸があふれ出ても死なないので、自ら短刀で首を刺して死んでいく過程の描写、それを妻(麗子)に目の前で見守らせた後、麗子もまた彼の信念を当然として後を追って短刀で首を刺し自決するという結末で終わる。 性愛描写が目立つ男性主義的なファンタジーと見ることもできる短編だ。

 申京淑作家の小説集『ジャガイモを食べる人々』に収録された短編『伝説』は、朝鮮戦争を素材にした優れた作品で、戦争を体験できない世代の作家が書いたものとは信じられない程の臨場感と描写に優れ、人間の根源的な愛と戦争における人間存在の意味、因縁と関係の流転などを鮮やかに描いた。

 実際、両作品の類似性を比較することはとても難しい。類似した点は、新婚夫婦が登場するということ程度だ。また、善男善女の結婚と新婚時にはありがちな性愛に目覚める場面描写は日常的な素材であることに加え、作品全体を左右する独創的な描写でもない(文章自体や前後の脈絡を考慮して、あえて問い詰うならばむしろ申京淑作家の音楽と結びついた描写の方がより比較優位にあると評価する)。 また、引用場面は両作品共に全体に占める比重が大きくない。 したがって該当場面のいくつかの文章に類似性があっても、それを根拠に盗作云々することには問題がある。盗作論議で争うことになる“包括的非文献的類似性”や“部分的文献的類似性”を持って問い詰めれば、盗作と判断する根拠が薄弱だということだ。

 もう一点、改訂版のタイトルに対する言及があったので答を差し上げる。イ・ウンジュン氏は、改訂版のタイトルを変えたことを持って何か問題があるような論調で話したが、遺憾に思う。これまで改版時には作家だけでなく出版社内外の意見を取りまとめ、より相応しく、またその時期に合ったタイトルに変えているが、それを盗作論議と関連づけて問題にすることは度を越した憶測であることを明らかにする。(2015年6月17日)

韓国語原文入力:2015-06-17 16:31
http://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/696359.html 訳J.S(2279字)

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