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「手に土が付くことを教会がためらってはならない」

登録:2013-12-04 19:37 修正:2013-12-05 04:50
フランチスコ教皇“現実参与”を強調
フランチスコ教皇が、26日バチカンを訪問した母国アルゼンチンの労働運動家たちと話を交わしている。バチカン/ロイターニュース1

最初の「教皇勧告」公開
資本主義を“新しい独裁”と批判
「ホームレスが死亡してもニュースにならないが
株価はほんの2p落ちても…これでいいのか」

 教皇フランチスコが長文の勧告文を発表して、貧しい人々を排除する規制なき資本主義を「新しい形の独裁」と痛烈に批判した。また「手に土が付くことを教会がためらってはならない」として、より良い世の中を作るための現実参加を強調した。

 教皇庁は26日(現地時間)ホームページ(vatican.va)に、「福音の喜び」というタイトルで、フランチスコ教皇が直接作成した最初の「教皇勧告」の原文を公開した。前文と5つの章にわたって計288の条文、244ページからなる「福音の喜び」の核心は、第2章第1項「現代社会の直面する幾つかの挑戦課題」だとみられる。イエズス会司祭として長年貧民司牧に情熱を捧げた教皇の社会認識がそのまま溶け込んでいるためだ。

 教皇は△排除の経済△お金の盲目性△金融体制の支配△暴力を呼ぶ不平等、などを今日の世界が直面した“挑戦課題”に挙げた。彼は「(旧約時代の) 10戒は「殺すなかれ」と教えた。いまや「排除と不平等の経済体制を維持してはならない」と言うべき時だ。このような経済体制こそが人を害しているからだ」と指摘した。彼は「極少数の人々の所得が幾何級数的に増えて、絶対多数との(所得)格差もいよいよ拡大している」 「市場と金融投機に完璧な自律性を付与しなければならないと強調したイデオロギーの作り上げたこのような不均衡が、結局、自分だけの法と規則を強制する独裁体制を作り出した」と痛駁した。教皇は「偶像として崇拝した古代の“黄金の子牛”は、今日では金銭だ」とし、「全世界的に冷酷な経済体制の独裁が横行している」と指摘した。

 右派経済学の核心主張である「トリクルダウン(落水効果)」に対する批判もあった。教皇は「自由市場を通しての経済成長が、結局はより正義のある包容的な世の中を作るという“トリクルダウン”理論は、ただの一度も現実において証明されていない。現体制を神聖化し、その中で経済権力を握っている人々の善意を盲目的に信じようという、粗雑で純真すぎる発想に過ぎない」と指摘した。

 世相に対する痛烈な反駁も続いた。 教皇は「ホームレスの老人が街で死んでいるのが発見されてもニュースにならないが、株式市場がほんの2ポイントでも落ちればニュースになるというのが、いったい話になりますか」と問うた。 彼はさらに「すべてが競争と適者生存の法則によって展開し、強い者が弱い人々を飲み込んでいる。その結果、多くの人が排除されたまま、雇用も、未来に対する可能性も、絶望から脱出する手段もなく、限界状況に追い込まれている」と付け加えた。

 人間まで使い捨て可能な“消費財”扱いを受ける世の中に対する批判も盛り込まれた。教皇は「排除された人々は、社会の底辺でも辺境でもなく疎外されているのでもない。もはや社会の一部と思われていないのだ。搾取される程度ではなく、始めから追い出されている。捨てられるべきゴミの扱いを受けている」と嘆いた。

 カトリック全州(チョンジュ)教区正義具現司祭団の“時局ミサ”と関連した論難が大きくなっている現在、教皇が提示した“教会の使命”は目を引く。教皇は「門の外で民が飢えているとき、イエスは絶えず“早くあの人たちに食べ物を出してあげなさい”と教えた」と強調した。 彼はさらに「安穏な聖殿の中に留まっている孤立した教会ではなく、街に飛び出して痣だらけになって傷つき汚れてしまった教会であれ」 「問題が起きることを恐れるより、偽りの安定感を植え付ける構造の中で沈黙を守らなければならない状況に置かれることを恐れるべきだ」と勧めた。

チョン・インファン記者 inhwan@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/religious/612955.html 韓国語原文入力:2013/11/28 08:44
訳A.K(1790字)

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