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"世代間闘争は虚構だ"

登録:2013-05-14 23:22 修正:2013-05-14 23:39
定年延長・基礎年金拡大の後
‘若者たちだけが犠牲’世代論争
チョン・サンジン教授 逐一反論
チョン・サンジン西江(ソガン)大教授(社会学)

"被扶養者の生産活動 参加が
扶養者負担を減らした点を看過…
福祉を縮小しようとする勢力ら
不平等構造の隠蔽のためにまき散らした"

 昨年の大統領選挙で50代の高い投票率が注目を浴び、以後 基礎年金財源確保、60才定年延長などが議論になりながら、いわゆる‘世代葛藤’、‘世代間闘争’が国内でも主要な社会的イシューに浮上した。 だが、いわゆる‘世代闘争’は歴史的・経験的に根拠が薄弱で、既存の不公平構造を隠蔽し希薄化させるための虚構にすぎないという主張が現われた。

 チョン・サンジン西江(ソガン)大教授(社会学)は去る10日、韓国社会学会主催特別シンポジウムで発表した論文‘年金を巡る世代の戦争、世代コミュニケーションの脱英雄化?’で "世代が社会的不平等、あるいは不公平性の問題を叙述する重要概念として浮上した" と指摘し、世代間闘争論の問題点をわが国より先行して世代論争が起きた西欧の経験を土台に分析した。

 チョン教授は‘世代闘争論’の内容を次のようなテーゼに整理した。 "低出産高齢化と早期退職が福祉国家の根幹を傷つけた。利己的な老人世代が問題だ。老人たちが選挙人、政党のような利益団体の大多数を占めることによって、威嚇的な政治的影響力を行使しうる。 低出産高齢化は現在の経済活動人口の負担を劇的に増やす。 老人世代は福祉国家で利益を手にし、若者たちは損害を被る。 まもなく審判の日が到来するだろう。"

 これに対してチョン教授は次の通り世代闘争論に反論した。 世代闘争論は‘多数の被扶養者が少数の扶養者を困らせる’という前提から出発しているが、産業社会初期、成人扶養者に比べて幼い被扶養者が多かった時、子供たちが生産活動に参加することによって扶養者の負担を減らしたように、老人たちが生産に積極的に参加することによって扶養義務が深刻に増えないという効果もある。 高齢者の状況はそれぞれとても異質であるため一つの政治的単位を作ることはできない。 国家が高齢者を支援するのは単純に高齢者優待であるわけでなく、国家支援がない場合に彼らを世話しなければならない子供世代の負担を軽減することでもある。 年金と医療保険が高齢者に対する特典ならば、青少年と若者たちが受ける公教育も他の世代に対する差別だ。 チョン教授は「経験的にも理論的にも、現実的にも学術的にも、世代闘争論は薄弱で空虚だ」と結論付けた。

 チョン教授はこれと共に、世代を活用するコミュニケーション戦略も変化したと指摘した。 20世紀中盤までは世代葛藤は新しい未来か、過去の保存かのような‘歴史哲学的’問題を巡って成り立った反面、20世紀後半になるとますます‘投資収益率’が中心となる‘交換的世代契約’が強調されるようになった。 すなわち「自分が与えただけ寄越せ。 もし投資に見合って受け取れないならば契約を破棄するのは当然だ」という態度だが、それは結局、公的年金の撤廃・縮小、私的年金への代替要求につながる。

 このような世代闘争論はどうして公論の場に入城できたのだろうか? 先ず‘政治的企業家’(自身の利益だけのために政治行為をする人々)の談論生産を挙げられる。 すなわち、「政治家や専門家が(自分たちが)意図する何らかの改革を遂行するために…社会的懸案に対する新解釈を通じて客観的には存在しない利害対立を創造すること」 だ。 これが1980年代の米国で‘世代公平性のための米国人’(AGE)という団体を中心にして世代公平性論争が起きた背景だ。

 チョン教授はまた、ドイツの政治学者Christoph Butterweggeを引用して、世代問題は不平等問題を薄めるための‘社会政策的なデマゴギー(扇動的虚偽宣伝)’と語る。 "社会国家の縮小を企てる勢力が‘世代公平性’を通じて自分たちの政策的主導権を正当化する。 世代公平性議論の政治的効果は単に社会国家の縮小だけではなく不公平な権力、財産、支配関係の代わりに世代を社会葛藤の原因として想定することにより、既存の不公平な構造を‘隠蔽’するもの" とButterweggeは主張する。

 チョン教授は世代闘争論が影響力を及ぼしえた理由として不明確性と単純性を挙げた。 「明確でないためにあらゆることに世代を使うことができる。 一人の若者の逸脱に眉をひそめて‘その世代’をののしる。 一人の年配者の失敗を‘その世代’の姿に拡大する。」チョン教授は「世代はまた‘私たち’と‘彼ら’を極めて単純に分けてくれる。 不明確性と単純性は政治の道具として適当だ」と世代論の‘魅力’と‘危険性’を指摘した。

アン・ソンヒ記者 shan@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/587420.html 韓国語原文入力:2013/05/14 21:41
訳J.S(2076字)

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