本文に移動
全体  > 文化

[マガジンesc] 星空の下 オーロラと踊る

登録:2013-01-17 16:41 修正:2013-01-18 10:00
カナダ イエローナイフのオーロラ旅行
カナダのイエローナイフ、オーロラビレッジの空に現れたオーロラ。キヤノンEOS 5D MⅢ、16㎜、f3.5、ISO 1600、露出15秒。

踊る神の魂。神様も見たことがないのに、まして神の魂など見られるわけがない。それも沢山集まって踊る魂なんて。しかし、それは勘違いだった。零下30度の寒気の中、北緯62度のオーロラビレッジ。頭の先からつま先まで厚い防寒着で完全武装して訪れた。カナダ北部の小都市、イエローナイフの北、車で30分の距離にあるオーロラ観測体験村である。車から降りて顔を上げた瞬間、「それ」が見下ろしていた。月の光と星空だけが爛々と光っているだろうと思っていた夜空は、緑の蛍光で溢れる世界だった。

一度も見たことのない「神の魂」が、しかも沢山集まって煌めきながらゆらゆらと踊っていた。それは徐々に音もなく空の果てから一筋の光として現れ、瞬く間に全ての夜空を覆い人の世を揺るがした。星の光も月の光も消えてしまいそうな位眩しい、巨大な発光体。一ヶ所に留まる事なく、一定の形も持たないそれは絶え間なく揺れては美しいダンスを披露した。

そう。神の魂の色は明るい緑で、魂の大きさは数十キロ、数百キロ程にも及ぶように見えた。その形状はそれぞれの神毎に異なっていた。薄い緑のカーテンが垂れ下がって来るかと思えば、いつの間にかくるくると巻き上がって、ピンク色に変わっては消えた。幾つもの長い閃光が広がって来ては、どんどん大きくなって、巨大な顔の形に変わったりもした。神の魂が姿を変えるときは、底無しの深い空の割れ目から紫色の中身がちらついた。

薄い、緑のカーテンが降りてきた
桃色に煌めく舞
雪原のあちこちで漏れる溜息

暗闇の中、人々は雪原のあちこちで立ち止まって、宇宙の神秘と素晴らしさに圧倒されていた。新しい踊りが繰り広げられる度に、感嘆の声が上がった。ぽかんと開いた口が塞がらない。舌が凍り付く事もすっかり忘れてしまった。「わぁっ、すごい!」オーロラ観光客のほとんどは日本人だった。

オーロラが消えた後、人々は「ティピ」(伝統テント)の中に入り、薪ストーブで凍えた体を暖めながら、興奮の余韻を楽しんだ。ガイドは「五つある等級のうち、4等級以上の素敵なオーロラだった」と語った。日本の愛知県から来たと言う20代の女性は凍りついた口をやっとの事で開けるとこう言った。「今年の冬が、一番きれいな光景を見ることができるチャンスだと聞いて来ましたが、やっぱり幻想的ですね。最高の5等級ではありませんが、これ位でも本当にラッキーでした。」

オーロラ(極光·ノーザンライト)は、太陽の表面が爆発するときに放出される粒子達が、地球の磁場に引かれて大気圏の粒子とぶつかりキラキラと光る現象の事だ。本来はローマ神話に登場する「夜明けの女神」(アウロラ)の名前である。1621年、フランスのある科学者が女神の名前に因んで付けたと言われる。オーロラが活発に現れる緯度60〜80度に属するイエローナイフは、四方1000㎞以内に山脈が存在しない平原地帯​​で、オーロラ観測の最適地として名高い場所である。

北緯62度、カナダのイエローナイフ
四方1000㎞平原地帯
12月から翌年3月まで
オーロラ観測に最適

オーロラビレッジに設置された伝統テント「ティピ」。薪ストーブで体を暖めながら休むことができる。

イエローナイフに泊まっていた四晩の内、なんと二晩も華やかな光の旋律を鑑賞出来た。オーロラビレッジに泊まっていた夜10時〜午前1時までの間、それぞれ3時間だけ、何度も様々な姿に出会った。オーロラは、晴れの日だからといって必ず空に現れる訳ではない。輝く星空の片隅が突然緑色に染まったら、心の準備(もちろんカメラの準備も)をした方が良い。いつ、どのような姿に変わって現れて来るか分からないからである。特に良い写真を撮るなら、カメラを三脚に取り付けておいて、あらかじめフォーカス·感度などを設定しておいた方が良い。オーロラがひとしきり宙を舞い去ったすぐ後に別のオーロラが現れる事もあるし、何時間もの間全然現れなかったりもする。酷寒に耐えて待ちながら楽しむ深夜の祭りだ。

二日間一緒に過ごしたオーロラ鑑賞客、約150人の内130人余りが日本人だった。ほとんどは20〜30代の若い女性。新婚旅行に来た夫婦もいた。ガイドは 「オーロラを見た後に生まれた子供は天才になる」という俗説があると耳打ちした。日本では1990年代末、オーロラを素材にしたドラマが放送されて以来、オーロラ観光商品が大変な人気を集めているらしい。毎年1万人近い日本人がオーロラを見るためにイエローナイフを訪れる。ここのオーロラ観光客全体の80%を占めていると言うのだ。だからオーロラ体験プログラムの運営スタッフも、ガイドも、往復車両の運転手も、何処も彼処も日本人ばかり。日本旅行に来たんじゃないかと思えてくるほどである。

3年前からオーロラビレッジの案内を担当している唯一の韓国人ガイド、パク·スジン(27)さんは 「韓国のオーロラ観光は、やっと始まったばかり」の段階だと言った。 2010年には50人ほどだったが、2011年には約120人に増え、今年の冬になってから(11月中旬〜12月中旬)一ヶ月間に約30人の観光客が訪れたという。この日、取材陣に加え、オーロラビレッジを訪れた唯一の韓国人は釜山から来たチョ・ギチョル(34·会社員·海雲台区裁松洞)氏だ。チョさんは「写真でしか見たことのなかったオーロラを直接見ることができた。言葉で言い表せないほど感動している」、「ぜひもう一度、今度は彼女と一緒に見に来たい」と話した。

オーロラが最も綺麗になる時期は、太陽の黒点活動が活発になる時期と一致する。 2013年は11年周期で活発化する太陽の黒点爆発循環期に入ったため、オーロラ鑑賞に最適というのがオーロラビレッジの説明だ。イエローナイフの冬のオーロラ鑑賞時期は11月末から翌年4月初旬まで。特に半分以上晴れる1〜2月が適期だ。

オーロラ取材を終えて帰ってきて、もし誰かに「オーロラは本当に素敵だった?」と訊かれたら、一度見なければどうにも説明出来ないこの感動を、どう表現したら良いのか悩んだ。結論は、こうだ。「あれは神の領域だった」

イエローナイフ(カナダ)=文·写真イ・ビョンハク記者

韓国語原文入力: 2013/01/09 17:56

https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/568943.html 訳H.H.J(2813字)

関連記事