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「マガジンESC」カバーストーリー:応答せよ、2012ホンデ(弘益大)前

登録:2012-11-03 08:02 修正:2012-11-03 10:06
ホンデだけの思想と魅力を活かした
「ジャンダリ・フエスタ」現場探訪記
10月20日、vホールにて公演中のインディーズバンド・ギャラクシーエクスプレス

「こんなに多彩な音楽を聴けるなんて思いもしませんでした。てっきりこの街頭でも'GANGNAM STYLE'ばかり流れてるのかと思い込んでいたものですから(笑)」

カナダから来たジュリエット・ムーア(28)氏はそう言った。彼は二ヶ月前に結婚して世界旅行の途中で韓国を訪れたと言う。「旅行ももうすぐ終わりですが、この様な場所は今まで見たことがありません。本当に楽しくて活気に満ち溢れた所だと思います」と彼は話を続けた。

2人とは19~20日ソウル麻浦区にある弘益大(ホンイクデハッキョ、略称ホンデ)近くの通りや舞台で繰り広げられた第1回ジャンダリフェスタで出会った。ジャンダリは弘益大前の西橋洞(ソギョドン)の昔の名前(ソセギョ)から取ったらしい。今度のフェスティバルも、去るシーズンを盛り上がらせた様々な音楽フェスティバル同様、ただ有りふれた祭りの一つに過ぎないのではないかと思われた。

しかし、この期間に出会ったプランナーやミュージシャン、観客たちはそれぞれ異なった新たな夢を抱いてジャンダリフェスタに集まった。沢山の大型コーヒー専門店と大型衣類店で覆われた、このソウルの普通の繁華街と何ら変わらない「ホンデ前」に新しい生命力を吹き込もうという試みだった。このフェスティバルは「タウン・フェスティバル」を標榜した。タウンフェスティバルとは、特定の都市、地域、町などの通りのあちこちで繰り広げられるフェスティバルの事だ。だから地域独特の文化とインフラ、フェスティバルが一つに交じり合えるという利点がある。

この19〜20日、弘益の近くで開かれたジャンダリフェスタ。ホンデ前の「サンサンマダン」と言う建物の前にある第2ブースでCDと記念Tシャツなどを売っている

「Crying nut」と「No Brain」

-13年ぶりに遭遇したジャンダリフェスタ

19日、クラブ・DGBD(ディージービディー)の前には終りが見えないほどの長い列が出来ていた。ここを訪れたジュ・チャンヨン(38)さんの表情は嬉々としていた。

「9年ぶりですね、弘大公演会場は。私の20代はすべてここに捧げたようなものです」彼女が205のチームが公演している中からここを訪れた理由はまたひと味違う理由だった。 「13年ぶりだそうですね。何がって、Crying nutとNo Brainが同じクラブで公演するんですよ。ホンデのインディシーンの歴史は彼ら抜きには語れないじゃありませんか。そんな人たちが一つの舞台に集まるんです。これ以上嬉しいことなんて無いでしょう?」

ジュさんと一緒に来た他の一行は今回が初めてのホンデ公演会場訪問だ。その一人であるイ・ミョンジュ(33)さんは「知っているチームは、最近テレビに出たNo Brainくらいです。物凄く盛り上がってますね。なぜもっと早く来なかったのかと後悔しています」と話した。

しかし、思い出と懐かしさだけが溢れるフェスティバルではない。イ・ユミ(28)さんは「最近どの音楽フェスティバルに行っても、舞台に立つバンドや歌手にあまり差を感じられないんですよね。ここは違いますけど。今まで知らなかった新しいバンドが本当に沢山見つかるんです。まるで宝探しをしている気分です」と、感想を述べた。ロックからブルース、ジャズまで。あらゆるジャンルの音楽が響き渡る中で宝を見つけようと聞き耳を立てる観客たちの顔には楽しげな笑みが浮かんでいた。

インディーズバンドの「Eastern sidekick」が20日カフェ「mug for rabbit」で公演をしている。

ホンデ前は変わった、と言う人たちがいる。変わったのは事実だ。どこか優雅で、夕方にはあちこちの街角で芸術を繰り広げる人たちと、それを楽しむ人たちはもう見られなくなった。複雑で煩雑な、居酒屋ばかりの場所になってしまった。しかし、そういった精神まで消えたわけではない。ジャンダリフェスタの共同企画者であるゴン・ユンヨンさんは 「ホンデ前がインディーズ文化で栄えたときは特にありません。しかし、これほど面白い場所もまたありません。毎週音楽フェスティバルが開かれるのと同じように、数え切れないほど沢山の公演が会場で繰り広げられます」と言った。彼らは'ホンデ前の沢山の良い所を自慢したい'と話した。ホンデ前という地域の中に組まれたインフラと、その中にに留まる芸術家、そして彼らが織り成す、絶え間なく湧いて来る文化コンテンツを。「そして、観客達も一緒に参加して本当に楽しいと感じて頂けるようにしたい」と、ゴンさんは付け加えた。

サンス駅裏通りにある会場兼カフェの「ム─大陸」。ここを含めた20余りの公演会場と街のあちこちでジャンダリフェスタ公演が開かれた。

会場密度は全国最高

毎日がフェスティバル、色褪せないインディーズバンドの聖地

20日、最後の公演を終えた後、音楽家たちは公式飲み会が開かれる場所に集まった。一目見ても100人を超える音楽家たちと関係者たちは、お互い嬉しそうに挨拶しながら杯を交わした。この地下会場では閉幕記念公演まで演じられる事になった。自立音楽生産組合のパク・ダハムさんは「ただ全てが決められた通りに進むフェスティバルに参加してるんじゃなくて、音楽家たちが精魂を込めて演じたフェスティバルに参加してると言うのが良かったです。彼らがそれぞれ作ったユニークなポスターを披露出来たこともね」と語った。Crying nutの所属事務所であるドラッグレコードのキム・ウン代表が見守り参加したフェス​​タだから、また格別な意味もあるはずだ。 「この様にホンデ前の音楽家たちと団体が一つになったことはありませんでした。これからが大事ですね。一年、また一年と本当に頑張って作って行けば、いずれホンデ前インディーズ文化をもっとよく知らせられるのではないか、と思っています」キム代表はそう語った。

過去の記憶と追憶、そして現在のエネルギーと新しい時代ががぶつかり合うホンデ前。ホンデ前はいつも輝いていた。音楽家、画家などの芸術家たちが集まり、彼らが世の中に出したものを追って流れて来た若者たちがぶつかり合い、溢れるエネルギーを産み出す。そしてそのエネルギーはますます強まるばかりだ。これからもホンデ前、韓国インディ─ズの聖地は輝き続けるだろう。

文 イ・ジョンヨン記者 xingxing@hani.co.kr 写真 パク・ミヒャン記者 mh@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/557307.html 韓国語原文入力:2012/10/24 18:41
訳H.H.J(2643字)

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