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独島(トクト)の下には汝矣島(ヨイド)10ヶ分の巨大な水中世界が…

原文入力:2012/08/28 09:48(2651字)

←独島全景. 写真提供:韓国海洋科学技術振興院

[科学の香り] 最近、独島を巡り韓日両国間の感情が高まっている。 すでにキム・チャンフン、ソン・イルグク、ソ・ギョンドク教授および200人余りの学生が8.15独島横断プロジェクトを進めたのに続き、芸能番組‘1泊2日’、‘無限挑戦’までが独島行を決めて関心が集中している。

 このように最近より一層注目されている独島だが実際に独島についてどれくらい知っているだろうか。 独島は大韓民国で一番最初に朝を迎える地だ。 地理的には鬱陵島(ウルルンド)から東南側に87km、最も近い陸地である慶北(キョンブク)、蔚珍郡(ウルチングン)の竹辺港からは217kmの距離に位置している。 独島警備隊と住民が居住する東道と西島をはじめとして海上に露出した大小の付属暗礁89ヶから形成されている。

 独島という名前は1900年代から公式に使い始めたが、鬱陵島の住民たちから口伝されてきたトルソム、トクソムに由来したと伝えられている。 歴史的には于山島、三峰島、カジ島、トル島など多様な名前で呼ばれた。 一方、国際的にはリアンクール岩礁(Liancourt rocks)という名前で初めて知らされた。 時期は鯨を捕るために東海を航海したフランスの捕鯨船リアンクール号が1849年に独島を通った以後からだ。

 独島は数百万年前に火山活動により海底2,000mから湧出した溶岩が固まって形成された火山島で、島全体が火山岩と火山砕屑性堆積岩で形成されている。 東島と西島の山嶺周辺には長い間の風化作用で形成された黒褐色および暗褐色の残積土が散在している。 この僅かな残積土の上に自生植物が根を下ろし現在の緑の独島を見ることができるようになった。 島の周辺では溶岩が冷えながら作り出した柱状節理と数万年にわたる風化と海蝕で形成された海蝕洞窟、海蝕台、海蝕崖が美しい景観を作り出している。 このような姿は水中にも続いており複雑な地形構造に多様な生物が棲息している。

 陸上にあらわれた独島の全面積は187,554㎡で東島と西島2島は151m程度離れている。 西島の高さが169mで東島(99m)に比べ高くて、東島の頂上には火山の火口跡がまだ残っている。 火山活動によって生成された独島は長い期間にわたり風化してその大きさが徐々に減ってきている。 生成当時には現在よりも大きく高かったと予想される。

 切り立つようにとがった陸上地形はあたかも氷山の一角のような形だが、海底2,000mから隆起して作られた海山は水深100m付近で半径10kmにわたり平坦な平原を形成している。独島の下には汝矣島(ヨイド)の面積の約10倍に及ぶ巨大な水中世界がある。 もう一つ驚くべき事実は、独島からいくらも離れていないところに陸地になることができずに海中にかくれた海山が2つ更にあるということだ。 最近、海底地形調査を通じてこれらの海山を発見して‘シム・ホンテク海山’と‘イ・サブ海山’と名付けた。











↑ 鬱陵島(ウルルンド)-独島周辺の海底地形(鬱陵島-アン・ヨンポク海山-独島-シム・ホンテク海山-イ・サブ海山)。 図提供:韓国海洋科学技術振興院

 独島は陸地から遠く離れているだけでなく、暖流と寒流が出会う境界面に位置する特性により東海沿岸や鬱陵島とは異なる独特の海洋生態系を構成している。 かつての東海海の姿をそのまま大事に保管した清浄さと健康性を維持しており、独島を語る時には‘黄金漁場’、‘生物多様性の宝庫’という最高の修飾辞がつく。

 地理的起源を別にして暖流と寒流でそれぞれ生きている生物が独島という狭い空間に共存することが高い生物多様性の根源になっている。 このように数多くの生命を抱いた独島の海の能力はどこからくるのだろうか?

 その最初の糸口は独島の主とも言える元気な海藻群落に求めることができる。 ホンダワラ、昆布、アラメ、甘海苔など大型の褐藻類が一年中ずっと島の周辺に沿って豊富な海藻の森を形成する。 このような海藻の森は沿岸の生態系に安定した食物連鎖を維持させる最も基本となる構造だ。 同時に他の生物に生息地、産卵場、隠れ場所も提供してくれる。

 水深30~40mの空間では海底の地形構造が変わる。 陸地から削り取るように落ちた傾斜が緩やかになり、あちこちに散在した数メートル大の岩盤もほとんど消える。 この付近には海草類が棲息する量が急激に減り、ヒドラ、イソギンチャク、ヒトデがそこを占める。 水深50m以上の深い地域は砂利と砂でできた広い平原だ。 こちらには花ゴカイのように堆積物にからだを埋めて棲息する生物の出現頻度が高い。 海底に住む他の底棲動物に比べて相対的に冷たい水が好きな北方型の大型ヒトデとナマコは水温にそって垂直移動してこの海底平原で夏をすごす。













↑ 独島の海洋生物。左上から時計周りで花ゴカイ、石鯛、タコ脚ヒトデ、マダコ、イソバナ、ハコダテギンポ、ウミウシ。写真提供:韓国海洋科学技術振興院

 独島の多様な海洋生物はどこから来て、どのように適応して生きているのだろうか。 海洋生物が生きていくには、水温の変化が重要な影響を及ぼす。 海洋で水温分布は季節にともなう気温変化はもちろん、海流の影響を支配的に受ける。 海流は生物が移動する動力を提供するだけでなく、散乱した生物の卵や胞子を遠くまで広げる役割をする。 独島に定着した多くの海洋生物も最初は海流により移動してきたのだろう。

 生物地理学的観点で見る独島は、多様な変数が存在する興味深い研究主題だ。 生物種により、あるいは学者により多様な意見が提示されている。 ところで最近済州沿岸で観察されたソラスズメダイなど南方性魚類の越冬が観察されるなど、地球温暖化にともなう海水温上昇の余波が独島でも感知されている。 独島に対する関心が刹那で終わるのでなく独島の自然生態系を維持して保護しようとする努力につながることを願う。

文:ペク・サンギュ韓国海洋科学技術振興院専任研究員

*本コンテンツの著作権は韓国科学技術情報研究員(KISTI)にあります。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/science/kistiscience/549016.html 訳J.S