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[チョン・ヨンジュ コラム] 動物農場

原文入力:2012/03/25 19:21(1972字)

←チョン・ヨンジュ言論人

ジョージ オーウェルの<動物農場>には動物たちが彼らだけのユートピア建設のために作った7つの戒律が出てくる。 初めの戒が‘何であれ2本足で歩くのは敵だ’だ。 ‘2本足で歩くこと’が人には‘基本’であるが、動物農場では‘敵’になってしまう。 こうしたことはオーウェルの小説にだけ出てくるわけではない。 去る4年の歳月、そして今起きている現実を見回せば動物農場の風景は随所にある。

 2ヶ月近くストライキ中の<文化放送>のディレクターたちが作った<‘PD手帳’残酷史>には、政権に不利な主題を避けるために幹部が製作ディレクターの机の中を検索して、製作と関係がないところへ発令を出すなどあらゆる奇怪な行動と論理が登場する。 どれ程ひどければ‘PD手帳’でなく‘ピトク(訳注:血栓のこと)手帳’と呼ぶだろうか。

 同じくストライキ中の<韓国放送>新労組が明らかにしたそちらの姿も同様だ。 「ツキノワグマの二回目の出産とカブトムシが愛玩昆虫として注目されているというニュースが主要リポートとして放送される反面、ナ・ギョンウォンの起訴請託は短信として数行の文章で処理し、内谷洞(ネゴクトン)私邸波動時は取材記者1人も送らずに大統領府釈明だけをそのまま伝達するニュースがKBS9時ニュース」と新労組は皮肉った。

 この政権の人々のあらゆる不正と非理腐敗をはじめとして守旧勢力に不利な主要ニュースは無視・歪曲・縮小される反面、‘ツキノワグマ二回目出産’等の柔らかな話が主要ニュースになるのが夜のニュース放送の日常的風景だ。 5ヶの報道機関の同時ストライキは‘2本足で歩くのは敵’という奇形的な今の言論状況を明澄に示している。‘事実報道’と‘権力監視・批判’という言論の‘基本’をしようとする一線記者・ディレクター・アナウンサーを‘敵’と規定し、解職などの懲戒と財産仮差押措置まで取る動きが動物農場風景ではなければ何か。

 言論界だけではない。 李明博政権の根元である守旧勢力が執権してきた去る4年間、本当に多くのものがひっくり返りながら‘2本足で歩くのは敵’になった。 民主主義の根本と言える報道機関と表現の自由はミネルバ、PD手帳、主要20ヶ国(G20)首脳会議ポスターネズミの絵などにで見るように、ならず者のような政治検察の刃にバッサバッサと切られ、経済政策は金持ち減税と財閥の放牧、大型土木工事などに見るように主に‘持てる者’中心だ。 南北関係も冷戦時代に回帰し米国産兵器が怒涛のように流れ込んでいる。 金持ち減税で政府収入は大幅に減り、大型土木工事に米国産兵器の大量購買などで政府支出は大きく増え、国の負債は雪だるまのように増えている。 福祉と未来のために使わなければならない財源がそのようにして枯渇して行く。 本当に悪い政権だ。

 その上、李明博大統領側近の不正と非理腐敗、不法・違法・脱法がまかり通っている。 ゲートに広がっている民間人査察とその隠蔽工作、内谷洞私邸問題、BBKとキム・キョンジュン氏企画入国説を巡る新たな疑惑、放送と言論環境を乱闘場にしたメディア悪法、復元不能な自然破壊に大型不正と災難の素地を抱いている4大河川事業…。

 李政権下で‘2本足で歩く’基本と常識がひっくり返った動物農場風景をいちいち数え上げるのにも息が切れるほどだ。 そのような政権とその政権の根元を形成している守旧言論、守旧政党を清算・克服できないならば私たちはやむを得ず動物農場のような世の中でこのままずっと生きていくほかはない。 名前を変えて青い制服から真っ赤な制服に着替えてみても、その本性が変わるだろうか。 この間、名前と真っ赤な制服の向こう側に維新の幽霊もちらついている。

 このような条件が続く中で、この動物農場のような条件の中で、特に自分たちの夢を実現することはもちろん探すことすら難しい若い世代に‘4・11の選択’は切迫している。 2010年地方自治体選挙当時の統計を見れば19才以上20代の有権者が758万人、10%だけ多く投票すれば76万票がさらに出てくる。 金大中大統領が39万票、盧武鉉大統領が57万票差で当選したので、20代の10%である‘76万票の力’は世の中を変えてあまりある。 特に少ない票差で当落が分かれる国会議員選挙でその力は絶対的だ。 若い世代が自分たちの未来のために自分の人生の主体として積極的に飛び込めば世の中は思いのほか簡単に変わる。 それが希望だ。

チョン・ヨンジュ言論人

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/525085.html 訳J.S