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[コ・ジョンソク コラム] 朴露子を思う

原文入力:2012/03/18 19:21(1904字)

←コ・ジョンソク言論人

 ノルウェー、オスロ国立大学で韓国学を教える朴露子教授が進歩新党比例代表として今回の4・11総選挙に出馬する。 学者・論客のイメージが強い朴教授が現実政治に飛び込むことが彼自身にとって良い結果になるかそうでないかはよく分からない。 だとしても彼の出馬決心の背景には進歩新党指導部の強い要請があったようで、その党の党員として、また、左派知識人として彼が苦悩の末に下した決断だった以上、まず歓迎するのが良いだろう。

 私は朴教授の文を残らず渉猟できたわけではないが、彼の草創期の文から最近の文までを関心と愛情に押されてそれなりに読んできた。学んだことが多い。 彼の専攻である韓国古代史と関連した文だけでなく、彼が定期的に書く政治評論を読みながらも自分の知的怠惰を悟ったりもした。 ところで彼の初期政治評論に大きく共感した私の目にはこの頃の彼の文からは観点の移動が観察される。 初期の文で彼は米国民主党左派程度のリベラルだったが、この頃の文では明確に社会主義者だ。 朴教授の考えにその間変化があったのか、でなければ彼が初期には自分の考えを明確に表わさなかったがこの頃になって自己主張を明確にしているのかも分からない。 またもしかしたら彼はそのまま変わっていないのに、私が彼の文を誤読したために彼の観点が変わったように思えるのかもしれない。

 この頃、朴教授の文を読むと心がちょっと安らかでない。 たとえ資本主義が大きく壊れているとは言っても、それをよく修理して使えば良いだろうと考える保守主義者にとって、資本主義自体を根本的悪と感じその後を企てる彼の見解はとてもざらついて見える。もっと言えば危険に見えたりもする。 資本主義を叩き壊す過程で生じる副作用が資本主義自体の副作用より大きいだろうという判断のためだ。 私たちはその副作用を前に世紀に70年にわたってすでに目撃した。 朴教授のとても深い国際主義も、今の国民国家体制を仕方なく受け入れている私としては耐えもてあましてしまう。 美しくても醜くても、人類の現在の進化段階で階級は民族や国民に勝つことはできない。 換言すれば血(という観念)は階級より濃い。 左派を自認する政権がいわゆる国益を得ることにかけて右派政権に劣らず敏捷だということが一つの傍証だ。 愛国主義は左右すべての政治家たちが打ち振る旗だ。

 そのために時には対内的には民主主義者の役割をする政治家が対外的には帝国主義者の役割をするおかしな風景も生まれる。 代表的な例がフランス第3共和国の政治家ジュール・フェリーだ。 フェリーは長官と総理を歴任して義務教育、女性教育、無償教育、世俗教育を振興させただけでなく言論の自由と労働者権益を擁護した民主主義者であった。 しかし彼の民主主義はフランス国境を越えることができなかった。 彼がチュニジアを保護国にしマダガスカルを植民地化してコンゴとインドシナを征服した時、彼の民主主義は跡形もなく消えた。

 朴露子教授は世の中の複雑な結び目を階級闘争という刃物で一気に切り捨てる。 それは彼が人の本性を信頼しているという意味でもある。 邪悪なように見える人間の行為は窮極的には階級矛盾のために生じるものと彼は判断しているようだ。 人の本性を朴教授ほどには信頼できない私は、世の中の複雑な結び目をわずらわしくても注意深く解きほぐさなければなければならないと考える。 快刀乱麻は反動を呼び起こすのが常と信じるためだ。 それは歴史が幾度も教えたことでもある。

 しかしこれらすべてのことを別にして、朴露子教授は韓国社会の不正義と世界の悲惨を真に胸痛く感じ、その解決を模索する倫理的人間だ。 大韓民国国会でこのような倫理人に会うことができるならば、それは韓国人皆にとって良いことである筈だ。 朴教授は進歩新党比例代表名簿の6番に上がった。 進歩新党は比例代表国会議員職を二年ずつ分けて遂行することに決めているので、通常の政党で比例代表3人を当選させられる政党支持率を得ればパク教授は二年後に大韓民国国会議員になる。 比例代表議員3人を割り当てるためには政党支持率5%内外を得なければならない。進歩新党に送る支持率5%は韓国の有権者が発揮できる自尊心の最低線であろう。 それが10%になればまたどうか。

コ・ジョンソク言論人

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/523974.html 訳J.S