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[社説]政府のカナダ産牛肉輸入告示が農家の怒りに火をつける

原文入力:2012/01/20 16:17
 農林水産食品部がカナダ産牛肉の新しい輸入衛生条件に関する長官告示を20日付の官報に載せた。これにより国内の業者は2003年5月の狂牛病発生によって禁止されたカナダ産牛肉を9年余りで再び輸入できることになった。検疫など必要な手続きを考えれば来月後半ごろからカナダ産の牛肉が市場に出回るという。牛の価格暴落で深刻に悩む畜産農民のはげしい反発が予想される。農食品部の今回の告示は時期的にも不適切で手続き的にも落ち度がないとはいえなかった。  農食品部はカナダ産牛肉輸入再開は、12月30日に国会が新しい輸入衛生条件審議結果報告書を可決したのに伴う措置だと説明する。しかしこれは形式論にすぎない。当時国会農林水産食品委員会議が多数意見として採択した審議報告書には‘国内韓牛産業に及ぼす影響を勘案して輸入再開時期は先送りしなければならない’となっている。また国内畜産業支援強化、輸入牛肉を国産として偽造販売を防ぐための根本的な対策工夫などを輸入再開の前提条件として付け加えている。
 しかし農食品部はこのような国会審議の結果をたんに‘参考意見’としてだけ受け入れて新しい輸入衛生条件の告示を強行した。長官告示は行政府の固有権限であるだけに国会審議結果にしばられないという理由からだ。これは2008年の家畜伝染病予防法改正の趣旨からはずれる判断だ。当時国会はろうそくデモに表れた国民世論を反映して狂牛病発生国の牛肉の輸入衛生条件は国会審議を義務的に経るようにする家畜伝染病予防法改正案を与野党合意で可決した。法案改正の主役だったカン・キガプ議員(統合進歩党)は“改正案で定めた輸入衛生条件に対する国会審議結果は行政的拘束力も持つというのが法制局の担当責任解釈”として、“農食品部の告示強行は国会を無視する行為”と非難した。
 政府はカナダに続き米国、オーストラリア、ヨーロッパ連合(EU)加盟国とも牛肉輸入拡大交渉を検討している。牛肉需給および価格安定対策が不十分なまま、これ以上の牛肉輸入量の増加は国内畜産業界の基盤崩壊につながることは明らかだ。中長期的に国内牛肉価格の急激な変動を助長して消費者にも被害を与えるということを政府は肝に銘じなければならない。国民健康と食品安全のためには、無分別な牛肉輸入拡大は自制しなければならない。
原文:https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/515675.html 訳T.W