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[特派員コラム] 一つの中国、二つの中国/パク・ミンヒ

原文入力:2012/01/19 19:32(1715字)

一つの中国に近寄った両岸
民主主義水準は未だ二つの中国

←パク・ミンヒ北京特派員

 台湾総統選挙を控えた去る12日夜、台北の路地裏にある素朴な飲み屋で友人たちが向かい合って座った。 国民党 馬英九総統と挑戦者である民進党 蔡英文主席の政策に対する熱い討論が行き交い、誰が勝つのかに対して冗談で賭もした。 話題は中国大陸に移って胡錦濤主席の台湾政策に対する評価、今年末に登場する習近平体制がどんな難題を迎えているかに関する激しい討論も起きた。 空の酒ビンとつまみの皿がますます増えて赤い顔で討論はますます熱くなった。 これら4人の友人は台湾の若い学者と政治評論家、中国と香港の言論人だった。 台湾と中国、共産党と国民党、民進党の境界を全て越えて自由な話が行き来した。

 先週、台湾大統領選挙取材のために行った台北でみた中国と台湾は思ったよりはるかに近づいていた。 北京から飛行機が飛び立った3時間後には台北に到着し、すぐに携帯電話を点けると自動ローミングで台湾の通信網に接続した。 市内のあちこちで元貨を台北ドルに両替することができた。 故宮博物館や台北101ビルディングは中国人観光客でごった返していた。 昨年184万人の中国観光客が台湾を旅行した。

 ソウルと平壌(ピョンヤン)を直航航空便で行き来して、韓国の携帯電話が北韓で自動ローミングされ、韓国と北韓の若者たちが酒杯を傾け自由に韓国、北韓の悩みを討論できる日はいつになったら来ることになるのだろうか? 韓国、北韓の交流を全面禁止した5・24措置だけでもいつ解除されるのだろうか? 両岸知識人の対話に挟まって座った私は彼らがうらやましくなった。

 反分裂法やミサイルで台湾独立の動きを威嚇した中国は、経済関係と人的交流を強化する政策に切り替えた。 2008年‘両岸和解’を掲げた馬英九台湾総統の執権が契機になった。 現在、多くの台湾人は中国との統一は願わないが、人と経済の交流を通じて両岸の同胞が共に生きていく他はないという認識が徐々に‘一つの中国’を作り出していた。

 ‘一つの中国’が輪郭を現しながら‘二つの中国’もはっきり見えた。北京を出発して台湾に到着すると突然全てのものが見慣れなく感じられた。 同じ中国語を使う人々だが、中国では想像できないことが相次いだ。

 馬英九総統は選挙前、直接外信記者の前に出てきて即席で質問に答えた。すべての記者たちが訊きたい質問を自由にできた。 候補たちのすべての日程は記者たちに20~30分単位で公開された。 中国で指導者の日程や家族関連のニュースは‘国家機密’だ。

 選挙前夜、台北郊外の体育館で開かれた蔡英文候補の集会場に入った時は、祭りのような政治参加熱気に驚いた。 路上ではどの市民に話しかけても、選挙と台湾の現実に対する率直な意見を聞けた。 公務員たちの謙虚で誠実な態度はスローガンではなく行動で‘人民のために服務する’ことが何なのかを示した。

 ‘台湾民主主義効果’は台湾海峡を渡り中国人をざわつかせた。 中国当局は今回の選挙が中国の台湾政策の勝利であることを強調しようとしたが、中国ネチズンの関心は台湾同胞が享受する民主と自由に集中した。 中国のインターネットでは‘私が死ぬ前に指導者を選挙で選ぶことができるのか’ ‘海峡の彼方の熱い総統選挙を見ると、嫉妬が波のように襲って来る’等の反応が相次いだ。 中国の有名不動産会社 萬科の王石会長は直接台湾選挙を見守った感動を微博(ウェイボ)に上げた。 台湾に留まっている中国の友人は投票日の朝早くから投票所へ行き、生まれて初めて国民が指導者を選ぶ選挙を見て来たと語った。

 中国が経済とお金で台湾を変えているとすれば、台湾は民主主義と透明な社会の力で中国人の心を動かしている。

パク・ミンヒ北京特派員 minggu@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/515501.html 訳J.S