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[社説]新しい原発の敷地選定は撤回すべき

原文入力:2011/12/23 19:10(1131字)
 政府が新しい原発の敷地の選定を強行して、慶北(キョンブク)の盈德(ヨンドク)と江原道(カンウォンド)の三陟(サムチョク)の2か所を原子力発電所建設候補地として選んだと昨日発表した。候補の敷地は原子力発電所を最大8基まで作ることができる規模で、環境性の検討を経て来年末に最終決定するという。原子力発電所を新しく建てるというのは脱原子力という世界的な流れに竿を刺す分別のない冒険主義で、直ちに止めなければならない。
 候補地に選ばれた盈德と三陟は、過去に原発と放射性廃棄物処理場の用地に選ばれて住民たちの反対で撤回されたことがある地域だ。今回も賛成の割合が半分、またはそれを下回る程度で、住民の反発が強い。政府が再び地域のあつれきと混乱を誘発させるもようで、地域住民たちの意思を無視して敷地選定を押し切ってはいけない。
 福島原子力発電所事故以降、脱原子力政策が全世界的な大勢を占めている。ドイツは国民の要求を受け入れて2022年までに、すでに設置運転中の原子力発電所17基を全部廃棄することにした。再生エネルギーの普及の努力を地道にした結果、今年の発電量が20%に達して初めて原子力発電所の発電量を上回ったことは、再生エネルギーの現実的な可能性を象徴している。マグニチュード8の地震にも耐えると言っていた福島原子力発電所が崩壊した日本は、原子力発電所の依存度を低くして分散型エネルギーシステムに変えていっている。スイスやイタリアなどのさまざまな国が、脱原子力の列に加わった理由は、過去30年間にチェルノブイリと福島の二度の大惨事で原子力発電所の安全神話があますところなく崩れたためだ。
 原子力発電所は、管理および廃棄費用まで計算すると、決して経済的でないだけでなく、未来世代には大きい荷物になる。全世界のどこも高水準の核廃棄物を安全に処理できる技術を持っておらず、再処理をするといっても高水準の核廃棄物はほとんど減らないためだ。国策研究機関である環境政策評価研究員が最近、既存の原発の使用延長を中断し、これ以上原発を増設してはならないという内容の報告書をまとめたわけも‘未来世代の持続可能な発展’を心配したためだ。原発は新しく建て始めれば中断しにくいだけでなく、事故の危険もそれだけ増えるほかない。
 我が国のエネルギー節約の潜在的な量がエネルギー全体の30%のレベルに達するという専門家もいる。それほどなら原発をさらに作らなくてもいい。敷地選定を撤回してエネルギー政策に対する新しい合意を構成しなければならない。
原文:https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/511597.html  訳T.W