李在明(イ・ジェミョン)大統領が26日、国会で補正予算案の施政方針演説を行いました。20分に渡るスピーチには誇張も、無駄もありませんでした。経済という言葉を24回、成長という言葉を12回使いました。
「新たな国、真の大韓民国作りは、大統領一人や特定の少数にできることではありません」
「引継ぎ委員会もなく発足した政権が早急に補正予算案を編成した理由は、韓国経済が直面している状況がそれだけ切迫しているからです」
「『経済はタイミング』と言います。今がまさにそのタイミングだと思われます」
演説内容に劣らず目を引いたのは、和気あいあいとした雰囲気でした。李在明大統領が本会議場に入場する際、野党「国民の力」の議員たちは立ち上がって大統領を迎えました。演説を終えた李在明大統領は、国民の力の議員に近づき、笑顔で多くの人と握手を交わしました。「老練な政治家」の姿でした。
■「闘士-行政家-政治家」進化する李在明のリーダーシップ
最近、李在明大統領の成績表はかなり良好です。韓国ギャラップは就任後初めて大統領の職務評価を調査し、27日に発表しました。支持が64%、不支持が21%でした(中央選挙世論調査審議委ホームページを参照)。
韓国ギャラップの調査で、歴代大統領の最初の職務支持率は、盧泰愚(ノ・テウ)29%、金泳三(キム・ヨンサム)71%、金大中(キム・デジュン)71%、盧武鉉(ノ・ムヒョン)60%、李明博(イ・ミョンバク)52%、朴槿恵(パク・クネ)44%、文在寅(ムン・ジェイン)84%、尹錫悦(ユン・ソクヨル)52%でした。政治の二極化が深刻化していく中、支持率64%はかなり高い数値です。
理由は何でしょうか。李在明大統領は6月4日の就任式で「統合と回復」を強調しました。「李在明政権は正義の統合政権、柔軟な実用政権になる」とし、「すべての国民を一つにして仕える『みんなの大統領』になる」と約束しました。
もちろん「内乱の克服と断罪」も約束しました。しかし、3人の特別検察官(特検)の任命手続きを速やかに終えた後は、内乱の克服と断罪を全面的に特検に任せました。李在明大統領自身は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による非常戒厳で崩れた国民生活、経済、外交、安全保障の正常化に重点を置いています。内乱の克服という言葉は一切口にしていません。
■李在明流人事「バランス、抜擢、案配」
大統領の職務評価のかなりの部分は人事が左右します。李在明大統領の人事を詳しく見てみると、三つの特徴があります。
一つ目はバランスです。李在明大統領は主に政治家や官僚を高官に任命しています。教授たちは大統領室の参謀や国政企画委員会に配置しました。「ライン」と「スタッフ」を区分しているのです。適切だという評価が多く上がっています。
政治家は高位の公職を最もうまく遂行できる人々です。与党「共に民主党」には金大中、盧武鉉、文在寅大統領が15年間にわたり政権を握った経験があります。人材の倉庫です。民主党の政治家をたくさん起用するのは当然です。
二つ目は抜擢です。個人的によく知らない人たちを果敢に抜擢しています。李在明大統領は中央政治の経験が多くありません。高官を任せられるような側近があまりいません。知らない人を抜擢して起用するしかありません。
抜擢人事は言葉のように簡単ではありません。危険だからです。なのに、これまで起用した高位公職者や候補者の中に「親李在明」の人物はあまりいません。
ペ・ギョンフン科学技術情報通信部長官候補、ハン・ソンスク中小ベンチャー企業部長官候補、ハ・ジョンウAI未来企画首席などは民間分野から抜擢した人材です。
三つ目は、案配です。李在明大統領は人事の基準は実力だと明言しましたが、実際には実力に劣らず出身地域、政治的スタンス、性別などによって様々な案配を行っています。
特に、過去の政権で冷遇されていた地域にかなり配慮しているようです。たとえば、チョン・ドンヨン統一部長官候補、チョ・ヒョン外交部長官候補、アン・ギュベク国防部長官候補、ウィ・ソンラク国家安全保障室長、イ・ドンス国家情報院第1次長、キム・ヒス国家情報院基調室長は全羅北道出身です。イ・ジンスク教育部長官候補、カン・フンシク秘書室長、キム・ホホン国家情報院第2次長は忠清道出身です。チョン・ソンホ法務部長官候補、ウ・サンホ政務首席、ユン・チャンリョル国務調整室長は江原道出身です。
「内閣の女性比率30%を明示するのは難しいかもしれない」と前置きをしましたが、教育部のイ・ジンスク長官候補、保健福祉部のチョン・ウンギョン長官候補、女性家族部のカン・ソヌ長官候補、中小ベンチャー企業部のハン・ソンスク長官候補、農林畜産食品部のソン・ミリョン長官、食品医薬品安全処のオ・ユギョン処長など、女性をかなり多く起用しています。
李在明大統領が長官に指名した候補者のうち、数人は今後、メディアの検証と国会人事聴聞会の過程で辞退に追い込まれるかもしれません。だとしても、李在明大統領が内閣・高官人事を通じて国民統合を実践しているという事実を否定するのは難しいでしょう。
(2に続く)