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検察改革に「反発」の元検事を民情首席と法務次官に任命…李政権の検察改革に懸念の声

登録:2025-06-30 08:49 修正:2025-06-30 10:29
カン・フンシク大統領秘書室長(中央)が29日、ソウル龍山区の大統領室ブリーフィングルームで人事についてブリーフィングを行い、ポン・ウク民情首席を見つめている。左はチョン・ソンファン傾聴統合首席=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 李在明(イ・ジェミョン)大統領が29日、法務部長官候補に「共に民主党」のチョン・ソンホ議員を指名するとともに、民情首席秘書官に検察出身のポン・ウク弁護士、法務部次官に最高検察庁のイ・ジンス刑事部長を任命したことで、新政権の主要課題である検察改革を推進する司令部の輪郭が明らかになった。検察改革に消極的だったといわれるポン首席秘書官とイ法務部次官の前歴をめぐっては、懸念の声があがっている。

 法務部長官候補者に指名されたチョン・ソンホ議員は、李大統領の38年来の友人であり、民主党内の「親李在明派の要」とされる。ソウル大学法学部出身で、法曹界に広い人脈を持つだけに、新政権の司法・検察改革の過程で生じうる軋轢を相殺する役割を担う見通しだ。チョン議員はフェイスブックに「権力機関の正常化という時代的使命を果たすために最善を尽くす」と述べた。

 民情首席に任命されたポン弁護士は、検察での26年間の勤務歴を持ち、企画通とされる。最高検察庁次長検事時代の2019年には検察総長候補だと取り沙汰されたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領に敗れて検察を離れた。2022年10月から金・張(Kim & Chang)法律事務所に合流し、現在も所属している。イ・ジンス法務部次官は、ソウル中央地検刑事第4部長、最高検察庁刑事政策団長など、刑事事件と企画業務を主に担ってきた。尹錫悦政権時代の2023年9月に検事長に昇進してソウル北部地検長を務め、昨年5月に最高検察庁刑事部長に異動した。

 特捜通の元検事だったオ・グァンス前民情首席の辞任にもかかわらず、李大統領が重ねて検察出身者を民情首席に任命するのは、「検察改革は検察をよく知る人物が主導すべきだ」という考えが背景にあるためとみられる。カン・フンシク大統領秘書室長はこの日、ポン首席の人選について、「出身成分より検察改革をどのように進めていくかが重要だ」と述べた。

 与党内からは、かつてポン首席とイ次官が検察改革に否定的だったことをあげて懸念する声があがっている。ポン首席は2022年4月、ムン・ムイル元検察総長ら50人の元検察幹部と共に、「捜査権の縮小は国民の権益の保護に否定的な影響を及ぼしうる」とする声明を発表している。イ次官もソウル南部地検第2次長時代の同年4月、「捜査の目的は起訴するかどうかだ。捜査と起訴は分離できない」とするソウル南部地検の幹部検事団の声明に名を連ねている。検事の捜査権と起訴権を完全に分離するという李大統領の公約と相反する内容だ。祖国革新党のユン・ジェグァン報道担当はポン首席について、「検察改革に非常に消極的だった人物だと記憶している国民がいるという点で、懸念を払拭するためにはポン氏が刻苦して努力する必要がある」と主張した。

 2019年3月のキム・ハグィ元法務部次官の出国禁止の違法性が争われた裁判で、最高検察庁の過去事真相調査団から「事前に報告を受けたことはない」とポン首席が証言していることも、改めて脚光を浴びている。今月5日に最高裁で無罪が確定したイ・ギュウォン祖国革新党戦略委員長(当時は過去事真相調査団検事)はこの日、フェイスブックに「裁判所は、ポン・ウク氏の証言は事実と異なると判断した」として「民情首席という重責を担うには、任命状を受け取る前に私に謝罪すのが筋ではないか」と記している。

 ただし、検察改革の推進力が低下するという懸念は「杞憂(きゆう)」だという見方もある。「検察改革4法」を発議した議員の一人である民主党のミン・ヒョンベ議員はこの日、ハンギョレの電話取材に対し、「(この日選ばれた人物たちは)検察改革の基調に共感し、大統領の人事決定に従ったのだと思う」とし、「何より検察改革は、すべて国会での関連法の制定・改正によって行うべきこと」だと述べた。民主党のパク・サンヒョク首席報道担当はこの日のブリーフィングで、「国会の立法に沿って揺らぐことなく司法改革を完遂する」と述べた。

チェ・ハヤン、キム・チェウン、チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1205346.html韓国語原文入力:2025-06-30 05:00
訳D.K

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