尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が再議要求権(拒否権)を行使した「ドイツモーターズ株価操作への(大統領夫人)キム・ゴンヒ関与疑惑」と「大庄洞50億クラブ疑惑」の特検法案が29日、再表決の末に否決された。
同日の本会議で、キム・ゴンヒ特検法は、在席議員281人中賛成171人、反対109人、棄権1人で否決された。大庄洞50億クラブ特検法も、在席281人中賛成177人、反対104人で否決処理された。
キム・ゴンヒ特検法は、2010年前後に起きたドイツモーターズのクォン・オス前会長らの株価操作事件にキム女史が加担したかどうかを究明する内容を盛り込んでいる。大庄洞50億クラブ特検法は、京畿道城南市大庄洞(ソンナムシ・テジャンドン)の開発過程で、事業を主導した資産管理会社「火天大有資産管理」が法曹界の要人などに50億ウォン(約5億6千万円)ずつを提供したという疑惑を明らかにすることが主な目的だ。
両法案は昨年12月28日、与党「国民の力」の議員らが退場した中、「共に民主党」など野党主導で、本会議で議決された。当時、キム・ゴンヒ特検法は在席議員180人、大庄洞特検法は在席議員181人全員が賛成した。尹大統領はこれら二つの特検法を「総選挙を狙った悪法」とし、1月5日に拒否権を行使した。大統領が再議を要求した法案が再表決で可決されるためには、在籍議員が過半数出席し、出席議員の3分の2以上が賛成しなければならない。
民主党が期待していた与党からの離脱票はなかったものとみられる。本会議に出席した与党の議員数は110人で、「キム・ゴンヒ特検法反対」は109票だった。民主党は、キム・ゴンヒ特検法の再表決を先送りし、総選挙の争点化を狙ったが、公認候補問題で激しい内紛に陥り、結束が弱まった。
国民の力のユン・ジェオク院内代表は本会議後、「晩時之嘆(時機を逸して嘆く)だが、幸いだと思う。(ハン・ドンフン非常対策委員長も)『うまく収まった』と語った」と伝えた。民主党のホン・イクピョ院内代表は、「ハン・ドンフン委員長と国民の力の議員たちが、良心と国民の目線に合わせることを完全に拒否した」と批判した。ホン院内代表は、「(キム女史の)ブランドバッグ授受や楊平(ヤンピョン)高速道路特恵疑惑など、さらなる犯罪容疑を加えて、また別の特検法を用意する」と述べたが、4月の総選挙と任期終了のため、第21代国会での実現は難しい見通しだ。