実に目まぐるしい3日間だった。20年来の友人、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長が、それぞれ政府と与党の首長として向き合ってから1カ月も経たないうちに、「信頼と支持の撤回」にまで触れて正面衝突。ブランドバッグ授受について「(大統領夫人のキム・ゴンヒ)女史が謝罪すべきだ」と主張する非常対策委員を放置したとして、大統領が非常対策委員長に辞任を要求。それから二日後には和解のムードとなった。
あまりにも不可解で、与党関係者たちに「約束組手ではないか」と何度も尋ねた。彼らの答えはシンプルなものだった。「尹大統領のことが全く分かってないからこそ言えること」であり、「難しく考える必要はない」ということだ。キム女史が与党で自身の問題をイシュー化することに腹を立てており、尹大統領がハン委員長に注意してこれを押さえつけるよう指示したのにハン委員長が聞く耳を持たず、警告レベルを高めたが、周りに「これでは総選挙で惨敗する」と引き留められたため一旦停止した、というのが彼らの共通した説明だ。全国民がリアルタイムで見た通りだ。
ハン委員長は先月29日、非常対策委員会の初会議で「私たちの内部で宮中暗闘や合従連衡だらけの時代劇や三国志のような政治をするのはやめよう」と呼びかけたが、時代劇顔負けのドラマチックな出来事が与党内部で起きた。総選挙勝利のために党と政府の差別化を図り、ハン委員長の立場を強化するためのパフォーマンスだったなら、むしろ良かったかもしれないと思えるほど、恥さらしの展開だ。勝者はいない。権力者の恥部と弱点が露呈しただけだ。
尹錫悦大統領は名目も人気も体面もすべて失った。昨年10月、ソウル市江西(カンソ)区庁長補欠選挙の敗北直後に「国民は常に無条件で正しい」と述べていた態度は姿を消した。ブランドバッグ授受などキム女史に対する否定的な世論が高いが、尹大統領は与党が民意を口にすること自体を許さなかった。マリー・アントワネットの喩えに衝撃を受けたというキム女史をかばうことが最優先だった。龍山(ヨンサン=大統領室)からは「尹大統領のキム女史への愛は本物」という話があちこちで聞こえる。イ・ジュンソク、キム・ギヒョンに続き、ハン・ドンフンまで、与党代表を大統領の一存で擁立することも、引きずり下ろすこともできるという帝王的態度と即興的なスタイルも浮き彫りになった。ハン委員長揺さぶりには議員の同調もほとんどなく、与党内で確実に低下した尹大統領の影響力が確認された。
ハン・ドンフン委員長は、折れてはいないが、印象付けたことも特にない。ハン委員長はブランドバッグ授受問題と関連し、「キム女史が謝罪しなければならない」とか「尹大統領が直接説明すべきだ」と発言したことがない。「おとり取材工作」とともに「国民の目線」を口にしただけなのに、突如辞任要求を突き付けられた。「海兵隊チェ上等兵死亡事件をめぐる捜査外圧疑惑を厳正に捜査すべきだ」と求めたわけでもなく、「龍山は公認候補推薦に介入してはならない」と宣言したわけでもない。ハン委員長としては、今回の事態は痛手となっただろう。尹大統領と気軽に直言できるような間柄でもないことが判明した。中途半端にキム・ギョンユル非常対策委員「私認」騒ぎを自ら招き、「勝てる公認候補」を本格的に進める前に、大統領室にケチを付けられる余地を与えた。「独り立ち」する前に頭を下げるはめになると、中道の拡張にも失敗し、非常対策委員長を引き受けた理由も失うことになる可能性が高い。
キム・ゴンヒ女史は、誰も触れられない絶対的な存在であることをはっきりと見せつけた。キム女史がハン委員長とキム非常対策委員に表した「遺憾」が、尹大統領は「怒り」に移行し、リリーフとして投入された与党の代表がふらついた。キム女史関連事案に対する与党の対応は異常ともいえるほどだ。ソウル-楊平(ヤンピョン)高速道路の特恵疑惑が持ち上がった時、ウォン・ヒリョン国土交通部長官(当時)は突然「事業の白紙化」を宣言しており、ドイツモーターズの株価操作関与疑惑特検法は高い賛成世論にもかかわらず、大統領と与党が強く拒否した。昨年、国家安保室長、儀典秘書官、外交秘書官の一括交代など釈然としない人事のたびに、キム女史関連説が流れた。今回の尹大統領とハン委員長の衝突事態は明らかに「キム・ゴンヒ」をめぐる軋轢だ。大統領の配偶者リスクが国政運営にこれほど大きな影響を及ぼしたことがあるだろうか。このままいくと、4月の選挙も「キム・ゴンヒ総選挙」になりそうだ。
スリラー、メロドラマ、コメディが入り混じった3日間の乱闘の末に、「愛妻家の尹錫悦」だけが残った。解決したものはなく、与党は依然として剣の刃を渡るような状態だ。政治経験が全くない二人の元検事が現在の権力と未来の権力として並び立っているのは厳然とした事実であり、与党内部で「キム・ゴンヒという聖域」はさらに強固になっており、公認候補推薦という本ゲームがまだ残っている。不可解な状況をこれからどれくらい見なければならないだろうか。宮中暗闘はやめて、国民を見て、同僚市民を見ながら進んでほしい。