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尹大統領、ハン・ドンフン氏の法相任命を強行…「捜査権回復」は掛け声どまりか

登録:2022-05-18 03:13 修正:2022-05-18 09:02
17日午後、就任式の行われる政府果川庁舎大講堂に入場する新任のハン・ドンフン法務部長官=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 「検察直轄統治」、「娘の虚偽スペック」問題が持ち上がっているにもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は17日午後、ハン・ドンフン氏の法務部長官への任命を強行した。

 ハン長官はこの日、法務部で行われた就任式で「本当の検察改革は社会的強者に対しても厳正に捜査できる公正なシステムを作ることだ。検察を恐れるのは犯罪者だけだ」と述べた。先月の長官内定直後、検察の捜査権縮小に乗り出した共に民主党を非難した「検察を恐れる犯罪者の夜逃げ」との言葉を、就任の辞で繰り返したのだ。

 ハン長官は直ちに検察高官とともに捜査権の回復に取り組む見通しだ。まず、法務部と検察は尹錫悦派の人物に早急に再編されるとみられる。検察庁法と刑事訴訟法の改正過程で、検察総長や最高検察庁の次長検事など高等検察庁長級の高位検事が大勢辞任しているうえ、文在寅(ムン・ジェイン)政権で重用された検事のうちかなりの数が辞職すると予想されるためだ。特に任期が半分も残っていたキム・オス前検察総長が「自ら」退いたことは、ハン長官の人事に対する苦悩を大きく減らしたと評されている。職権乱用とされる懸念から過去のように辞任を迫ることができない中、検事長級以上の高位職だけで少なくとも10席以上の人事の機会が開かれているのだ。

 検察総長の候補群も尹錫悦派一色だ。イ・ドゥボン(司法研修院25期)仁川(インチョン)地検長、パク・チャンホ(26期)光州(クァンジュ)地検長、イ・ウォンソク(27期)済州地検長、キム・フゴン(25期)大邱(テグ)地検長、ヨ・ファンソプ(24期)大田(テジョン)高等検察庁長ら、特捜の系譜を受け継ぐ検事たちの名があがっている。尹大統領は検察総長在職当時、外部の批判をものともせず、自身に近い特捜系統の検事たちを要職に配置している。刑事、公判、公安など、相対的に冷遇された部署の検事たちを中心に批判が高まり、人事を前後して70人あまりの検事が相次いで辞表を出すという、前例のない出来事が起きてもいる。ソウルのある部長検事は17日、「尹大統領は自分に近い人ばかりをひどく優遇した。尹錫悦派に属していない限り、ほぼ日の目を見ることはなかった。大統領の意思を受けたハン・ドンフン長官も、同様の人事を繰り返す可能性が高い。刑事部の検事たちの喪失感は大きいだろうし、内部の確執もそれだけ深まる」と懸念を示した。

 これに関連して、ハン長官が描いた人事案はすでに実現しつつあるという分析も示されている。ソ・ジヒョン検事はタスクフォース派遣中に法務部検察局から突然の復帰通知を受け、16日に辞表を出した。イム・ウンジョン法務部監察担当官は最近、職務遂行に関する深層適格審査の対象者となった。両検事とも、検察内で尹錫悦派に対する批判の先頭に立っていた人物だ。

11日午前、ソウル龍山の大統領室庁舎に出勤した尹錫悦大統領=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦派が大挙復活するという懸念の中、検察内部でハン長官に期待をかける捜査権回復の試みには、それほど成果がないだろうとの見方が示されている。ハン長官は就任初日、文在寅政権で廃止された証券犯罪合同捜査団を再び発足させた。検察による直接捜査が可能な分野を最大限拡大しようとの意図が背景にあると分析される。

 法務部は、検察の捜査権を縮小した改正検察庁法と改正刑事訴訟法に対抗し、憲法裁判所での違憲訴訟▽大統領令改正を通じた検察捜査権の拡大などを検討するものとみられる。ハン長官は9日の国会人事聴聞会で、法改正の違憲性を主張し、共に民主党所属の議員たちと正面衝突した。

 法曹界では、法務部が違憲訴訟に打って出たとしても「言葉の爆弾」にとどまる可能性があると見ている。憲法裁出身のある弁護士は「憲法裁判所は国会の審議・表決権を幅広く認めている。法務部と国民の力側は、法案の推進過程での手続きの違憲性を指摘するが、これを違憲と評価するのは難しい」と語った。大統領令を改正して検察の捜査権を拡大しようとの試みの方が、むしろ違憲の余地があるという指摘も出ている。法改正の趣旨は、検察捜査権を制限しようというものだが、同法の委任を受けて具体的な捜査権の範囲を調整する大統領令が、むしろ捜査権を拡大する方向へと改正されれば、委任立法の限界を越えてしまう可能性があるということだ。

ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1043230.html韓国語原文入力:2022-05-17 17:11
訳D.K

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