国民の力のユン・ソクヨル大統領候補の妻、キム・ゴンヒ氏の「7時間通話記録」をめぐる疑惑が続く中、今月25日には詐欺の疑いなどで起訴されたユン候補の義母、C氏(75)に対する控訴審の判決が言い渡される。相次ぐユン候補の「妻関連リスク」を前に、国民の力に緊張が走っている。
C氏は今月25日、ソウル高裁刑事5部(ユン・ガンヨル、パク・ジェヨン、キム・サンチョル部長判事)の法廷に立たされる。医療関係者ではないC氏は2013年2月に京畿道坡州市(パジュシ)で介護医療院を開設し、2015年5月まで国民健康保険管理公団から約22億9000万ウォン(約2億1900万円)を不正受給した疑い(特定経済犯罪加重処罰法詐欺、医療法違反)で2020年11月に在宅起訴された。4年前、同業者だけが処罰を受け、C氏は法の網をかいくぐった疑惑が持ち上がってからの起訴だった。そして、ユン候補の大統領選出馬宣言から3日後の昨年7月2日、議政府(ウィジョンブ)地方裁判所刑事合意13部(チョン・ソンギュン裁判長)は、C氏の有罪を認め、懲役3年を宣告して法廷拘束した。C氏は収監2カ月後の昨年9月、保釈で釈放され、在宅起訴の状態で控訴審裁判を受けた。検察は昨年12月、控訴審の結審公判で「C被告が介護医療院の開設と維持に本質的に寄与したとみるのが妥当だ」とし、一審と同じく懲役3年を求刑した。
C氏がもし控訴審で無罪を言い渡された場合、ユン候補としては本人と妻、義母関連「リスク」の一軸から自由になるが、再び有罪が認められた場合、少なからぬ打撃になるとみられる。ユン候補は先月14日、寛勲クラブの招請討論会で「5年前にすでに容疑なしと判断された事案を再び取り出し、関連者一人の陳述が変わったからといって起訴される場合はほとんどない」とし、「再捜査がユン・ソクヨルを狙ったもので、過剰捜査の一環だと思うか」という質問に「そうだ」と答えた。C氏の処罰が過剰・標的捜査の結果だという主張だが、裁判所で再び有罪が確認されれば、ユン候補本人が強調する公正と常識という基準が家族問題においては歪曲されているという批判は免れないものとみられる。旧正月連休を控え、勝機を見出さなければならない時期に、義母問題が決定的な障害になり得る。
さらに、キム・ゴンヒ氏の通話記録が追加公開され、巫俗(シャーマニズム)依存疑惑も続いている。今月22日の文化放送(MBC)「ニュースデスク」では、「ムジョン僧侶」と呼ばれる易占師がユン候補に「司法試験の勉強を続けろ」、キム氏には「ソクヨルと相性が良い」と結婚を勧めたというキム氏の通話内容が放送された。キム氏がインターネットメディアの記者との電話で、自分はクッ(祈祷師によるお祓いの儀式)をしたことはないが「ホン・ジュンピョやユ・スンミンはクッをした」と主張したことに対し、ホン・ジュンピョ議員とユ・スンミン前議員は「うそ」「虚偽捏造」だとして、不快感を露わにした。国民の力の選挙対策本部のイ・ヤンス首席報道担当は同日、「通話内容についてキム氏が直接謝罪する意向はあるか」という記者団の質問に対し、「検討されたことはある。(通話内容が)放送されているので、すべて終わった後に総合的な立場を表明する予定だ」と答えた。
与党側は、キム氏のドイツモーターズ株価操作疑惑と巫俗依存疑惑と関連し、攻勢を続けた。共に民主党の選挙対策委員会懸案対応TFは同日、「キム氏が2010年まで22億ウォン(約2億1千万円)を投じて買収し保有していたドイツモーターズの株式全量を、株価操作が集中した時期の2010~2012年の間にすべて処分したとみられる」とし、キム氏にドイツモーターズの株式取引内訳をすべて公開するよう求めた。2014年のドイツモーターズの監査報告書に、2012年12月31日基準で、キム氏はドイツモーターズの株式を全く保有していないことが明らかになっただけに、キム氏がドイツモーターズの株式取引でどれだけの差益を上げたかを公開すべきだと主張している。ユン候補は昨年10月、党内予備選挙の過程で「ドイツモーターズというのは株価の変動も大きくなく、妻がむしろ損をしたため手を引いた」と主張したが、キム氏は2013年度帰属分とし、2016年7月に証券取引税118万ウォン(約11万3千円)と譲渡所得税2058万ウォン(約197万円)を納付したことが確認され、差益が少なくとも7千万ウォン(約670万円)と推定されている。
開かれた民主党のキム・ウィギョム党議員は同日、国会で記者会見を開き、ユン候補陣営で秘密裏に活動した疑惑が持ち上がった「コンジン法師」と、彼の師匠「ヘウ僧侶」が、2015年にキム氏がソウル芸術の殿堂で主管した「マーク・ロスコ展」のVIP開幕行事に出席した写真と動画も公開した。キム議員は「当時、開幕式はVIP対象で与野党の院内代表など大物政治家とマーク・リッパート駐韓米軍大使が出席した」とし、「こうした行事にヘウ僧侶とコンジン法師が招待を受けて一緒に出席したもので、彼らとキム氏3人の長年の親交を確認できる」と述べた。国民の力は「マーク・ロスコ展の開幕行事にはパク・ヨンソン元長官やウ・ユングン元議員など現在の与党関係者も出席した」とし「キム・ゴンヒ代表は当時会場で感謝と挨拶の言葉を交わしただけだ。意図的に巫俗人と長い付き合いがあるかのように言うのは悪意的であり、事実無根だ」と反論した。
野党内部ではユン候補の妻と義母関連疑惑が決定的な打撃になっているわけではないが、大統領選が差し迫った時点で少しずつ影響を与えており、接戦の中では否定的な要因になり得るという懸念の声もあがっている。国民の力のある議員は「配偶者リスクほどではないが、大統領選まであまり時間がない時期なので(義母の裁判の結果も)決して小さな問題とは言えない」と述べた。国民の力の関係者は「義母事件は結果を見守らなければならないが、正直に言って、キム氏のドイツモーターズ疑惑や義母起訴事件で、ユン候補が持っていた公正と常識のオーラを失ってしまったといえる」と語った。