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一帯一路の「債務の罠」に陥ったスリランカ、中国に債務再調整を要請

登録:2022-01-11 07:56 修正:2022-01-11 08:51
スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ大統領(左側)と中国の王毅外相(右側)が9日、中国の投資で建設したコロンボ国際金融都市を見学している=コロンボ/EPA・聯合ニュース

 中国が仕掛けた「債務の罠」に陥ったという指摘を受けていたインド洋の島国スリランカが、中国政府に債務再調整を要請した。デフォルト(債務不履行)直前まで悪化したスリランカの経済状況のためだ。

 スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は9日、首都コロンボを訪問した中国の王毅外相と会談し、「コロナ禍が引き起こした経済危機に対する解決策として、債務償還の再調整について(中国が)関心を持ってくれるのであれば、スリランカは非常に安心できるだろう」と述べたと、スリランカ大統領室が明らかにした。スリランカの対中債務は約33.8億ドルに達する。ラージャパクサ大統領はさらに、最近になり新型コロナによって急減した「中国人観光客誘致に対する支援」も要請した。

 王毅外相はこの日、中国が投資したコロンボ国際金融都市の建設現場を訪問し、国交正常化65周年を迎えた両国関係の絆を強調する演説をしたが、債務再調整の要請については即答を避けた。

 スリランカは、新型コロナの影響で主要産業である観光業が打撃を受け、深刻な財政難に陥っている。資金がないため、昨年末には、イランから原油を輸入して作った負債2億5100万ドル(約290億円)を、4年間で毎月500万ドル(約5億8000万円)分の茶で返済するという異例の提案もした。紅茶はスリランカを代表する特産品だ。それだけではない。スリランカ外務省は外貨を節約しなければならないという理由を挙げ、昨年末にナイジェリアのアブジャ、ドイツのフランクフルト、キプロス共和国のニコシアの領事館を閉鎖した。

 国際信用格付け会社のフィッチは昨年12月17日、スリランカの国家信用格付けを投資不適格レベルの「CC」に下げ、「数カ月以内にスリランカがデフォルトに陥る可能性が高まったということが我々の見解」だと明らかにした。フィッチは、「2022年にスリランカが返済しなければならない外債は、元金と利子を合わせて69億ドルに達するが、これはスリランカの国内総生産(GDP)の430%に迫る」と警告した。スリランカの外貨準備高は、11月末時点で16億ドル(約1800億円)まで減り、中国との通貨スワップの15億ドル(約1700億円)などのおかげで、12月末には31億ドル(約3570億円)に増えた。しかし、目前の18日に5億ドル(約570億円)の外債の償還満期が来ることを皮切りに、7月にも10億ドル(約1150億円)の外債を償還しなければならない。

スリランカの外貨準備高の変化の推移//ハンギョレ新聞社

 スリランカの経済状況が悪化した理由は、新型コロナの世界的な感染拡大により、主要産業の観光業が大きな打撃を受け、各種の税金減免政策により税収は減ったにもかかわらず、政府支出が多かったという点などが、複合的に作用したものだと分析されている。

 それとともに、中国の「一帯一路」事業に参加し、中国から過剰な借金をして各種インフラを建設した点も、経済が厳しくなった主な原因に挙げられている。2017年にスリランカ南部のハンバントタ港の建設にともない巨額の借金をしたが、運営実績は低調で、約11億ドル(約1270億円)を得る対価として港の運営権を中国の招商局集団に99年間譲渡した。米国などの西側諸国は、この件を中国の一帯一路事業がスリランカのような第三世界諸国を「債務の罠」に陥れた代表的な例として挙げる。国際通貨基金(IMF)の資料によると、スリランカのGDPに対する国家債務の割合は、2017年までは70%台にとどまっていたが、2021年には109.2%に達したと推定される。

 スリランカの対外債務は4月時点で350億ドル(約4兆円)程度だが、そのうち10%ほどを中国からの負債が占めると、AFP通信が報じた。中国は国際金融市場、アジア開発銀行(ADB)、日本に続くスリランカの4番目の債権者だ。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/1026726.html韓国語原文入力:2022-01-11 02:30
訳M.S

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