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[特派員コラム]終戦宣言の論議を止めてはならない理由

登録:2021-12-10 02:17 修正:2021-12-10 10:39

 朝鮮戦争は1950年6月25日に始まり、1953年7月27日に止まった。「止まる」という辞書的な意味は「動きや動作がなくなる」ということだ。 言い換えれば、いつまた動き出してもおかしくないという意味だ。「止んだ雨がまた降り出す」ように。戦争が「終わった」のではなく「止まった」というのは、だからこそ恐ろしい言葉だ。

 米国が来年2月の北京冬季五輪に政府代表団を派遣しない「外交的ボイコット」を表明した。それを受け、文在寅(ムン・ジェイン)政権が意欲的に取り組んできた終戦宣言の構想が道を外れたという声もあがっている。実際、政府は平昌(ピョンチャン)冬季五輪を皮切りに、東京夏季五輪を経て北京冬季五輪までの4年間の道のりを、朝鮮半島の平和のための舞台として積極的に活用する意志を何度も明らかにしてきた。

 北京冬季五輪に合わせて南北米中の首脳が集まって朝鮮半島で戦争が終わったことを宣言できるなら、それに越したことはないだろう。「一縷の望み」がないわけではない。しかし、現実的には「すでに水の泡に帰した」と言っても過言ではないだろう。ならば、これから何をすべきなのか。

 「双方に莫大な苦痛と流血を招いた朝鮮衝突を停止させるためにお互い最後的な平和的解決が達成される時まで、朝鮮での敵対行為と一切武力行為の完全な停止を保障する停戦を確立する目的で…」

 1953年7月27日夜10時を期して発効した「朝鮮における軍事休戦に関する一方国際連合軍司令部総司令官と他方朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令との間の協定」の序言で明らかにした停戦協定の目的だ。序言と5条63項目からなる停戦協定は、軍事境界線と非武装地帯の設置▽軍事停戦委・中立国監督委の構成▽戦争捕虜に関する措置などについて詳細に規定し、第4条60項で「双方の関係各国政府」にこのように建議した。

 「朝鮮問題の平和的解決を保障するために双方軍司令官は、双方の関係各国政府に停戦協定が調印され効力を発生した後3カ月以内にそれぞれの代表を派遣し、双方の一級高い政治会談を招集し、朝鮮からの全ての外国軍隊の撤収及び朝鮮問題の平和的解決などの問題を協議することをこれに建議する」

 協定は止まった状態の戦争を終わらせるための政治会談を「3カ月」以内に開くよう規定したが、68年5カ月が過ぎた今も「朝鮮問題の平和的解決」は実現していない。いま終戦宣言の論議を止めてはならないのは、そのような背景からだ。

 南北は2007年の南北共同宣言(10・4宣言)に続き、2018年の4・27板門店宣言でも終戦宣言の推進に合意した。しかし、米国と終戦宣言の文言まで具体的に検討したのは今回が初めてだ。中国も楊潔チ共産党外交担当政治局員が2日、ソ・フン大統領府国家安保室長と会い、終戦宣言を支持する意向を表明した。北朝鮮がまだ具体的な反応を示していないものの、終戦宣言の議論がこれほど進んだ前例はない。

 「第一次北朝鮮核危機」を鎮静化させた1994年ジュネーブ基本合意締結の直後、朝米は外交関係の樹立を前提に連絡事務所の開設問題を論議した。平壌(ピョンヤン)とワシントンを行き来しながら計5回にわたる直接交渉も進め、それぞれ事務スペースや駐在員の宿舎まで探したが、結局実現しなかった。朝米が連絡事務所開設問題を再び論議する時が来れば、その時に立ち止まったところが新たな出発点になるだろう。

 2017年5月10日に就任した文在寅大統領の任期は来年5月9日に終わる。任期内に終戦宣言を実現させることができるだろうか。容易ではないだろう。それでも、引き続き進まなければならない。現政権が任期最終日に立ち止まったところが、次期政権の出発点になるからだ。

//ハンギョレ新聞社
チョン・インファン|北京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1022719.html韓国語原文入力:2021-12-09 19:11
訳H.J

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