開幕を約2カ月後に控えた2022北京冬季五輪が、相次ぐ悪材料で揺れている。米国や英国などが相次いで外交ボイコットを示唆したのに続き、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン」まで登場し、不確実性が増しているためだ。オミクロン株はすでに香港でも感染者が見つかったうえ、ブレークスルー感染が発生したことが確認され、懸念がさらに高まっている。冬季五輪の開幕を控え、デルタ株の感染拡大により無観客で開催された東京五輪のに二の舞になる可能性もあると見られている。
オミクロン株はすでに各種の国際スポーツイベントに悪影響を及ぼしている。国際大学スポーツ連盟(FISU)は来月11~21日にスイスのルツェルンで開かれる予定だった2021冬季ユニバーシアード大会の開催を見送った。連盟は29日(現地時間)、声明を発表し、「予想だにしなかったコロナ禍の変化と旅行制限で、学生選手たちのための最大の総合スポーツイベントの開催が不可能になった」と発表した。
来月5日に南アフリカ共和国で開かれる予定だった国際ホッケー連盟(FIH)女子ホッケージュニアワールドカップ(W杯)も中止になった。南アフリカはオミクロン株の感染が比較的深刻な地域だ。大会に参加するため南アフリカを訪れた一部の選手たちは、各国が同地域への渡航歴がある人の入国を制限する措置を取ったことで、現地に足止めされている。ポルトガルでは、プロサッカー球団で選手17人の感染が確認され、没収試合となったが、このうち13人がオミクロン株に感染していたことが後で確認された。
世界的に国境を統制する動きも強まっている。デルタ株の感染拡大に対する懸念が高まる中で東京五輪を強行した日本政府は、先月30日から外国人の新規入国を全面的に制限した。すでにオミクロン株の感染者が発生し、ホテル内でブレークスルー感染も確認された香港は、30日からアフリカの一部国家からの入国を全面禁止する一方、12月2日からは過去21日以内にオーストリアやベルギーなどへの渡航歴がある外国人の入国も禁止する。
このように国境統制の動きが強化されれば、北京五輪への悪影響は避けられないものとみられる。五輪など国際大会専門メディアの「インサイド・ザ・ゲームズ」は29日、「トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)委員長が『東京五輪は人類が直面した(新型コロナ)トンネルの終わりであり光になるだろう』と言っていたが、非常に悲しいことに、それは終わりではなかった」としたうえで、「私たちは東京五輪を控えてスポーツイベント(五輪)の運命を心配していた時と同じ状況にある」と指摘した。
ただし、中国はまだ外国人の入国を統制する政策を打ち出していない。すでに海外からの入国者全員に3週間の隔離を義務付ける強力な政策を施行しているため、五輪開催に対する不安の拡散を防ぐ狙いがあるものとみられる。特に「環球時報」など中国官営メディアは、いわゆる「ウィズコロナ」と呼ばれる段階的日常回復政策を批判し、中国の強力な封じ込め政策を支持している。また中国は「ゼロコロナ」状態であり、中国こそウイルスに立ち向かう「鉄甕城」だと強調した。