16日0時現在での新型コロナウイルス感染症の重症患者数が495人となり、再び過去最多を記録した。韓国政府が現在の医療システムで耐えられると公言した500人のラインに直前まで近づいたのだ。高齢層を中心に重症患者が急増し、懸念された病床不足の事態も次第に可視化しつつある。重病患者用の病床が不足すれば、重症患者は必要な時に治療を受けられなくなり、死亡者が増えることになりうる。昨年冬の「第3波」の際に実際に起きたことだ。「段階的日常回復」(ウィズコロナ)が始まれば感染者と重症患者が増えるだろうということは、十分に予見されたことだったにもかかわらず、政府が安易に対応したのではないかと省みるべきだ。
もちろん、重症患者数が500人を超えても、ただちに医療システムに大きな問題が生じるわけではない。政府も5日と12日に相次いで病床動員の行政命令を出し、次々と病床確保に乗りだしている。問題は、重症患者の増加スピードが病床の余力に比べはるかに速いという点だ。病床稼動率が日ごとに高まっているのがその傍証だ。特に、感染者が急増している首都圏の病床不足は深刻な状況だ。首都圏の重病患者専用病床の稼動率は76.1%(15日午後5時基準)に達する。政府が「ウィズコロナ」を一時中断する「非常計画」(サーキットブレーカー)発動の基準の一例として提示した75%はすでに超えた。
政府が確保したという「書類上の病床」と実際の稼動可能な病床の間に隔たりがあるという点も問題だ。医療現場では、実際に患者を受け入れ可能な病床は80~90%程度だろうとみている。新型コロナの重病患者を治療するには、担当人員と装備などが必要だからだ。首都圏の病床稼動率がまだ80%に達していないにもかかわらず、すでに病床が不足しており、非首都圏に患者を移送する事態が起きているのも、このような状況と無関係ではない。政府は非首都圏との「病床共有」を通じて病床不足問題を解決すると言っているが、無責任なその場しのぎの対応にすぎない。ただでさえ医療インフラが脆弱な非首都圏の医療対応の余力を減らすことになるだけでなく、患者の移送過程で病状が悪化することもありうるからだ。
ウィズコロナは、持続可能な医療システムの後押しがなければ維持は難しい。さらに、多くの専門家が繰り返し警告したように、新型コロナの流行は短期間で終わらない可能性が高い。もっと長い目で安定した医療対応システムを構築することに力を入れなければならない。